- ペットは発達障害や知的障害の人々にとって社会的な交流に役立ちますか?
- 犬を連れていると知的障害者へのまわりの人の態度は変わりますか?
- 知的障害を持つ人が犬を連れて出かけることで、まわりの人とより多く交流できますか?
まわりの人たちとのやりとりの障害をなくしてくれる力も犬は持っているのかもしれません。
4つの都市を対象にこれまでに行われた研究では、ペットは、地域コミュニティを作ることに貢献する、知り合いを作る方法となっていることがわかっています。
まわりの人とのやりとりに困難をかかえる知的障害や発達障害の人たちにも、ペットは同じように役に立つのでしょうか?
オーストラリアのラ・トローブ大学のエマ・ボルド博士が”the Journal of Intellectual Disability Research”で発表した最近の研究で、犬の散歩が知的障害の人たちにも効果があるか調査されました。
ケアハウスに住んでいる知的障害のある人たちは、一緒に住んでいる人や職員、そして家族以外とは、関わることがあまりありません。
そこで、定期的に犬の散歩をすることによって、知的障害のある人たちもこれまでに関わることのなかった人たちと関係を築けるのではないかと考えたことが、この研究の始まりでした。
知的障害のある16人が参加しました。
そのなかで発達障害である自閉症スペクトラム障害がある人、ない人も同数にし2つのグループに分けられました。
どちらのグループも、カフェに行ったり、買い物に行ったり、公園に行ったり1時間ほどの外出を14回行いました。
このとき一方のグループは犬を連れていました。そしてもう一方のグループには犬はいません。
犬を連れていたグループは、他の人との出会いが多くなっていました。
犬を連れていた知的障害の人たちが交流できたのは一回のお出かけにつき2.6人。
連れていなかった知的障害の人たちではそれは1.2人でした。
そして、犬を連れていた場合には、知的障害の人たちに対するまわりの態度も違っているように思われました。
犬がいない知的障害の人たちは無視されたり、無礼にされることもありました。
しかし、犬を連れていたグループではそのようなことはありませんでした。
毎週同じ場所を訪れると、犬を連れていた知的障害の人たちのほうが早く、まわりの人たちに認識もされてもいました。
知的障害の人と他の人とのやりとりは、犬の話や犬を触らせてほしいというお願いから始まっていました。
この実験に参加した知的障害の人の一部は話すことができないために意見を聞くことができませんが、こう語る人がいました。
「犬がいると、人が親切になります。人が笑顔になっていました。」
犬を連れていなかった知的障害の人たちが、交代して犬を連れるようになった場合でも、結果は同じでした。
知的障害の人たちのグループ構成による差ではないことが確認できています。
研究チームはこう言います。
「知的障害の人たちが犬と一緒に出かけると、そうでないときと比べて、はるかに多くの人たちと交流することができました。
犬の存在は、まわりの否定的な態度から、知的障害の人たちを守り、喜びを与えていました。
そして、社会的な交流をする機会をつくることができ、知的障害の人たちはこれまで関わっていなかった人たちと関係を築くことができていました。」
より客観的な結果を導くためには、今後多くの研究が必要と考えられるものの、犬を連れることにより知的障害、発達障害のある人たちの社会的な交流の頻度やその性質に変化が起きたことを報告するこの研究は意義あるものでしょう。
犬の散歩を行うことは、知的障害、発達障害のある人たちにとってもメリットがあることが示唆されました。
犬はこれまで関わることのなかった人たちと、友好的な交流を増やしてくれるのです。
(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay)
ワンちゃんは、発達障害や知的障害の人たちに、まわりの人との関係づくりにも役立ってくれるんですね。
本当に大切な存在だと思います。
発達障害の息子を支えてくれるアヒルたちとこれからもずっと一緒
(チャーリー)