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発達障害の子への音楽療法の効果は脳の接続の最適化によるもの

time 2018/11/08

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発達障害の子への音楽療法の効果は脳の接続の最適化によるもの
  • 音楽活動が発達障害の子どもたちのコミュニケーション能力を向上させるのか?
  • 音楽療法による効果は家族の生活にも及ぶのか?
  • 自閉症スペクトラム障害の子どもたちに音楽療法がどのような影響を与えるのか?

カナダのモントリオール大学とマギル大学の研究によれば、1対1のマンツーマンで歌ったり、演奏したりと音楽活動を行うことは、発達障害の子どもたちのコミュニケーション能力を向上させるだけでなく、家族の生活も良くすると伝えています。
発達障害である自閉症スペクトラム障害(ASD)と音楽との関連についての研究結果は初めて発表されたのは70年以上も前になります。(その研究は、自閉症スペクトラム障害の人のおよそ半数が絶対音感を持っているというものでした。)
それ以来、自閉症スペクトラム障害の人に対する音楽の効果が多く伝えられてきました。
音楽のより確かな効果を探るために、この研究では6歳から12歳の自閉症スペクトラム障害の子ども51人を対称に音楽療法を数ヶ月間行いました。
まず、親たちが子どもの社会的なコミュニケーションスキル、そして家族の生活の質、子どもたちの自閉症スペクトラム障害の程度についてのアンケートに答えました。
そして、子どもたちはMRIによって、音楽療法を受ける前の脳の活動状態も測られました。
子どもたちは無作為に2つのグループに分けられました。
音楽療法を受けるグループと、音楽療法を受けないグループです。
音楽療法を受けるグループでは、子どもたちは療法士とやりとりをしながら、歌い、楽器を演奏したりしました。
受けないグループでは、同じ療法士が音楽的な活動はせずに子どもたちとやりとりを行いました。
音楽療法の期間を終えた後、親たちからは聞き取りを行いました。子どもたちは再びMRIによる脳活動のスキャンを行いました。
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音楽療法を受けたグループの親たちからは、そうでないグループの親たちに比べて、子どものコミュニケーションスキルの向上と家族の生活の質の向上について多くの報告がありました。
しかし、どちらのグループでも自閉症スペクトラム障害の程度の変化については報告されることはありませんでした。
「音楽療法によるこの結果は、自閉症スペクトラム障害の子への療育への効果をはっきりと示すものです。」
そう、モントリオール大学のメサ・シャリダ研究員が言います。
この研究結果は”Translational Psychiatry”に掲載されています。
そして、音楽療法を受けた子どもたちがコミュニケーション能力を向上させたのは、MRIによりスキャンした脳活動のデータから、脳の聴覚領域と運動領域の接続の増加、そして聴覚領域と視覚領域の接続の低下によるものだと考えられます。
シャリダ研究員は、これらの脳の領域の接続が最適化されていくことは、環境に対して正しい感覚刺激を得るために重要なことであり、人とのやりとりにも不可欠だと説明します。
例えば、私たちが他の人とコミュニケーションをしているときには、相手が何を言っているのかに注意をし、関係のない音や声を無視することなどが必要となります。
こうしたことが、たびたび自閉症スペクトラム障害の人には困難になっているのです。
つまりこの研究で、発達障害の自閉症スペクトラム障害の子どもたちへの音楽療法が、コミュニケーションスキルを改善させるとともに脳の領域の接続を変化させたことがわかりました。
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共同して研究を行ったマギル大学のアパルナ・ナディグ准教授はこう述べています。
「音楽の普遍的な魅力は、世界共通です。
そして、音楽療法は家庭や学校で行うことができます。
今回の研究で注目できることは、わずか8週間から12週間程度行うことで、音楽療法の効果がみられたことです。
こうした結果を、他の療法士たちにも再現できるようにすること、またもっとたくさんの子どもたちでもそうすることができるかを評価していく必要があります。
しかし一方、他の大規模な音楽療法についての研究と同様に、音楽療法が自閉症スペクトラム障害の程度、重症度合いを変化させることはありませんでした。
それは、私たちの程度を測る尺度が、社会的なコミュニケーションのスキルの向上を汲み、正しく評価できるものになっていないことが原因なのかもしれません。」
(出典:米Medical Xpress)(画像:Pixabay
この研究は、音楽療法による発達障害、自閉症スペクトラム障害の子への効果がMRIによる脳活動のスキャンデータからも示されたというものです。
音楽は世界中誰もが好きなもの。それを使って、より効果的で標準的な療育方法がますます広がっていけばと思います。
みんなで一緒に歌えば発達障害の子へのいじめが減るという研究

(チャーリー)


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