- どの情報源を信頼すべきか？
- 新しい治療法についてのニュースはどれくらい信じていいのか？
- 危険な治療法に騙されないためにはどうすればよいのか？
メディアは、多く見てもらえるように医学や科学の記事を掲載しようとします。
しかし、「画期的な」「希望の」「常識を覆す」というようなタイトルがつけられた、発達障害や自閉症の方、家族を混乱させる情報には気をつけなければなりません。
インパクトのある形容詞をつけ、自閉症スペクトラム障害などの発達障害の方や家族に、発達障害について説明をしたうえで、新しく発見された有望な治療方法を伝えるものです。
こうした情報によって、才能ある科学者が発達障害について研究を行うきっかけになることもあるかもしれません。
発達障害についての啓蒙や発達障害の人に役立つ研究資金の獲得につながることもあるでしょう。
しかし、エセ科学や偽治療を信じさせ、発達障害の人や家族を危険にさらすことにつなげる情報もあります。
効果がないだけでなく、危険な発達障害の治療方法を信じて、それを行う家族も実際にいるのです。
例えば、エクスタシーと呼ばれることもある幻覚剤のMDMAによる発達障害の治療についてのニュースが多くあります。
これらの多くでは、神経的な毒性の指摘や安全な投与量が確立していないことが伝えられていません。
そのため、ニュースを通じて誤情報を受け取った多くの家族たちが、MDMAに偽りの希望を見出し、違法入手を行ったり、死に至るまでの量を使用する可能性もあります。
そして、こうしたニュースは初めてのものではありません。
２０１３年には著名なメディアで、寄生虫の卵を摂取し腸内で成長させる、自閉症の治療方法が紹介されたことがあります。
これは、クローン病や大腸炎の治療方法として研究がされてきたものです。
しかし、自閉症の治療方法としては証拠が乏しく、そのことをきちんと伝えていないものでした。
そのために、一部の自閉症の家族たちの間で、寄生虫の卵を入手して自宅で「治療」することがブームになってしまったのです。
また、「幹細胞が発達障害の治療方法の希望に」というタイトルのニュースでは、この治療を行おうとこの医療行為が規制されていない外国へ向かう家族も現れました。
現在は、マリファナの発達障害への効果についてニュースが、家族たちを混乱させています。
マリファナがもつ成分のフィトカンナビノイドが、自閉症の子どもたちも共通的にかかえる「てんかん」への治療薬としての可能性について研究が進んでいるというのが事実であり、自閉症など発達障害を治療するものではありません。
発達障害や自閉症に関わるニュースは、求めているひと人には重要なものとなります。
そのためにメディアは、嘘でない情報を伝えていく必要があります。
（出典：米SCIENTIFIC AMERICAN）（画像：Pixabay）
私が医学科学的なニュースをお伝えする場合には、著名な科学論文誌や大学のプレスリリースなどを主なソースとしてお伝えしています。そして内容についても、日本でも問題にならないものを。（例えば大麻に関わるものなどは扱っていません。）
私も発達障害の子の親ですし、怪しいと思うものは絶対にお伝えしたくありません。
また一見、医療的、科学的なタイトルがついていても、一個人の体験談でしかなかったり、客観的なエビデンスがない一個人が信じているだけのことが書かれているものを、海外だけでなく国内のメディアでも見受けることが多くあります。
そうした混同がないようにも気をつけています。
発達障害は治せないしワクチンが原因という嘘が命を奪っている
（チャーリー）
