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危険なうえに科学的根拠もない発達障害の子へのキレーション療法

time 2018/09/01

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

危険なうえに科学的根拠もない発達障害の子へのキレーション療法
  • キレーション療法は発達障害の子どもに対して効果があるのか?
  • 発達障害の子にキレーション療法を行うことは安全なのか?
  • キレーション療法以外に、発達障害の子に必要な適切な支援や治療法はあるのか?

アンネ・ボーデンキングは、息子が発達障害と診断されたときのことをこう言います。

「恐ろしいことでした。
私はできる限りのことをしなければならない、たくさんのことをあきらめなければならない。
息子の発達障害のためにすべてを捧げなければならないと思いました。」

そして、ボーデンキングは、たくさんの親たちから発達障害の子の「治療」を促されたことも怖かったといいます。

ボーデンキングと彼女の夫は、これまでの発達障害に対するアプローチ、療育などに頼ることにしました。

今、8歳になった息子のバクスターは、おしゃれで楽しい子どもになりました。
明るい光や人混みを避けるなど、バクスターにあわせた配慮に気を使っています。

発達障害の特定の原因はまだわかっていませんが、現在の研究では遺伝的な要因の関与が多く示唆されています。
そして、それを引き起こす環境的な要因の存在についての研究もなされています。
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しかし、親たちはネット上で驚くべきほど古い理論に基づいた情報などを知り、他の家族に話をしたりしています。

発達障害の子への支援団体を作ったボーデンキングは、親たちの間で「キレーション療法」が話題になっていることに驚きました。

キレーションとは、鉛や水銀などの重金属を人間の体から除去することです。
金属をつかまえる薬を静脈注射などで投与して、尿で排泄します。

キレーションに用いられる薬は、重症の金属による中毒に対する薬としてカナダ保健局の認可を受けています。
産業事故や、水銀や鉛による中毒になった場合に利用されるものです。

発達障害の子への治療として、キレーションを用いることは、数年前に発達障害は予防ワクチンに含まれる水銀より引き起こされると考える人が現れてから始まりました。

しかし、そのような考えを支持する科学的な証拠はありません。

そして、発達障害に関わる専門家のあいだでは、発達障害に対してキレート療法を行うことに全くメリットがないことは広く知られています。
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カナダのトロントにある、ホーランドブルービュー子どもリハビリ病院の小児神経科医で、発達障害について研究を行っているエドキア・アナグノストウ博士はこう言います。

「キレーション療法については、その効果について証拠はありません。
むしろ、有害であることがわかっています。」

アナグノストウ博士を前に、多くの親たちは発達障害の子の役に立つと考える代替医療について相談をします。

アナグノストウ博士も実証されている効果のある療育などと、一緒に「安全なこと」を行う場合には悪いものではないと考えています。

しかし、アナグノストウ博士はキレーション療法については全く否定します。
血液から金属を除去することで、必要なミネラルなども奪ってしまうことで代謝に異常を引き起こす可能性がある、危険なものだと指摘します。
心臓や腎臓に損傷を与え、死亡に至らしめることもあるのです

発達障害の子に対するキレーション療法により死亡に至った子どもが2例、すでに報告されているとアナグノストウ博士はいいます。
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発達障害の息子をもち、発達障害の子を支援する団体を作ったボーデンキングは、発達障害の子に対してキレーション療法を行っている医師を政府機関に告発し、違法でないかの調査を依頼しました。

しかし、違法性はないとの結論でした。

「発達障害の子どもにキレーション療法を行ってはいけない、という法律がないのです。」

発達障害の子に対してキレーション療法を行うことについて、明確なガイドラインがないことは全国的な問題です。

カナダ保健局はこう伝えています。

「発達障害の子に対する治療として、キレーション療法を行うことは認可したものではない。」
しかしカナダでは、医師は自らの裁量によって、それを行うことができるのです。

発達障害の子に対するキレーション療法は、発達障害の子への危険性だけでなく、別の問題もあります。

そのキレーション療法により、親に大きな費用負担がのしかかることです。

発達障害の子を専門に扱っている小児科医のウェンディー・ロバーツ博士はこう言います。

「そんなことに費用をかけるのなら、発達障害の子に必要な社会性、コミュニケーションへの支援を行ってください。

発達障害と診断をされたら、早期の療育が重要になります。」

(出典:カナダCBC)(画像:Pixabay

良くなるのなら、もう何でも。

そう考える親がいることも想像できます。

しかし、大事な子どもを危険にしてしまうのであれば、本末転倒です。取り返しのつかないことになります。

頭がパニックになってしまいそうでも、だからこそ頼るべきは、長い時間をかけ、たくさんの時間と目でチェックがなされてきた、きちんとした医療です。

死亡する恐れも。発達障害の子への漂白剤の偽治療

(チャーリー)


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