- 発達障害の女の子はなぜ重度である場合にしか診断されないのか?
- 発達障害の診断方法にはどのような性別による偏りがあるのか?
- 軽度の発達障害の女の子が診断されにくい理由は何か?
規模の大きな調査の結果、発達障害と診断をされた女の子は、そう診断された男の子に比べて、障害がより重度であることがわかりました。
一般的に思われていることとは、まるで逆であったことが発見されたのです。
発達障害の男の子は、女の子に比べて4倍の数にのぼります。
この比率は発達障害の診断方法に偏りがある可能性を示唆します。
発達障害の診断で用いられる方法は、主に男の子が対象となったデータに基いて作られてきたためです。
今回の新しい研究では「女の子は重度である場合にしか発達障害と診断されていない。」可能性を示唆するものです。
米カンザス医療大学のリーン・ジェミソン助教授はこう言います。
「これは真剣に考えられなければなりません。
重度ではない発達障害の女の子は、発達障害であると診断をされていないかもしれないのです。」
ジェミソン助教授はこう言います。
「今回の研究は、これまでにない大規模な人数で自閉症スペクトラム障害の方たちが参加されています。
その結果、性別により発達障害の診断に違いがあることを考える必要性が示されました。」
米サウスカロライナ医科大学のローラー・カーペンター教授もこう言います。
「これは確かに懸念しなければなりません。
軽度の発達障害の診断をされている女の子がいないのです。」
カーペンター教授らによる研究チームでは、男の子1731人、女の子1789人について、親が回答した社会コミュニケーションアンケート(SCQ)のデータを用いました。
SCQのスコアから男の子の約9%、女の子の約5%が発達障害の可能性があると判定しました。
この子どもたちのうち、112人が実際に発達障害と診断をされていました。
SCQのスコアから可能性があると判定をされた男の子のうちの25%が実際に発達障害と診断をされていました。
SCQのスコアから可能性があると判定をされた女の子で、実際に発達障害と診断をされていたのは7.4%でした。
今回の調査、SCQのスコアから可能性があると判定をされても、実際に発達障害と診断をされていた女の子は男の子に比べて大幅に少ないのです。
これは、女の子は発達障害の診断とされにくい、偏りがあることを示唆します。
「私の直感的な解釈では、女の子の発達障害の診断は、女の子が見せる目に見える状況によって大きく左右されるということです。」
今回の研究には関与していない、英ロンドン大学のウィリアム・マンディー上級講師はそう言います。
この研究は、”Journal of Clinical Child and Adolescent Psychology”に掲載されました。
その直感的な解釈を支持するように、発達障害と診断を受けていた女の子は、SCQが平均より4倍も多く、重度の女の子のみが発達障害と診断をされていることがわかります。
発達障害と診断を受けていた女の子は、具体的には友だちと遊んだり、笑ったりするなど目に見える社会的なコミュニケーションに問題を抱えている子が多い傾向がありました。
今後、研究チームでは、他の診断方法やツールを利用して、より幼い子どもたちにおいての、発達障害についての男女差を調査する予定です。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
「発達障害の女の子は重度の方が多い。
それは、重度ではない発達障害の女の子は発達障害とされていないから。」
大規模な今回の研究調査がそう示唆しています。
正しく診断がされ、必要とする方に適切なサポートがされることを心より願います。
発達障害の原因は「冷蔵庫の母」とされた昔
(チャーリー)