- STEM教育において、発達障害の子どもたちがどのような学び方が効果的か?
- ロボットを活用した教育が、自閉症スペクトラム障害の子どもたちにどのような影響をもたらすか?
- ロボットを介した学びが、自閉症スペクトラム障害の子どもたちの発達や社会性にどのように関わるのか?
世界中の学校で、科学、技術、工学、そして数学、それらSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)を教える効果的な方法が模索されています。
そして、発達障害の子どもたちがSTEMを学ぶのに、その姿や動きからロボットが役に立つことが知られてきました。
たとえば、Bee-Botsを使って、数学の問題を解いていく授業や、迷路の中を走るSpheroロボットの摩擦をコントロールすることで、運動と摩擦の原理を学ぶような授業が行われています。
米ノースカロライナ大学のアメリア・ムーディー准教授は、ロボットが自閉症スペクトラム障害の子どもたちが楽しんで学ぶことができるようになる、とても有用なツールだと話します。
「自閉症スペクトラム障害の子どもたちは、楽しんでいるだけでなく、物理や数学を学べています。
また、行動や感情を教えるためにコズモ(Cozmo)を使って、落ち着くことを学ぶこともしています。
子どもたちはただ遊んでいるだけと感じているでしょうが、重要なことを学べているのです。」
「発達障害の子どもたちの学びのために作られている、NaoやMiroのような人型のロボットもあります。
これらのロボットでは、人の顔の特徴や、人間らしさが少し足りないことで、発達障害の子どもにとっては、むしろコミュニケーションや社会的なスキルが学びやすくなります。」
ムーディー准教授は数年にわたって、さまざまなロボットの学校向けキットを開発し提供してきました。
それぞれのキットには先生がすぐに授業に利用できるレッスンが準備されていますが、先生が慣れれば自分でレッスンを作れるようになります。
「私たちは専門のエンジニアや科学者と協力して、自閉症スペクトラム障害の人たちがSTEMを学びやすくする取り組みも始めています。こうした協力しての取り組みは、異なる専門知識を共有したうえで、お互いのアイデアを利用できるため、とても有用なものです。」
プログラミング教育用ロボットのOzobot社のチーププロダクトオフィサー、ジョビー・オテロはこう言います。
「学習する場合、特にSTEMの場合にはタブレットよりもロボットの方が役に立ちます。」
その理由の一つは、子どもたちがロボットと物理的なやりとりをすることができるからです。
「スクリーンをタッチするよりもたくさんの刺激を受けることができます。
また、難しい現実の物理的な世界の中であっても、ロボットは高度にパターン化された予測できる行動をとります。これは自閉症スペクトラム障害の人にとっては安心できることなのです。
また、ロボットは自閉症スペクトラム障害の人が不安にならないように、それぞれの人にあわせて調整された方法でコミュニケーションをすることができます。
自閉症スペクトラム障害の子どもでは、目を合わせることが簡単ではありません。
しかし、ロボットには目を合わせてくれます。
ロボットは顔さえも、子どもにあわせて変更することができます。
それぞれの子どもにあわせてロボットはやりとりをすることができ、子どもたちを広い世界へ導くことができるんです。」
オテロは、自閉症スペクトラム障害の人を含めて、あらゆる人にあわせて、やりとりをすることができる人工知能も現在開発中だといいます。
自閉症スペクトラム障害の人のために、行動心理学者やこれまでに関わることのなかった領域の研究者たちと協力して、ロボット工学とAIによるシステムを開発しています。
「いろいろな領域の人たちが集まって、人間みんながもっている能力を引き出す新しい方法を見つけることを楽しみにして取り組んでいます。」
また、オテロはより複雑で高価なロボットの場合には、個人向けにはロボットを貸し出すサービス(RaaS)にすることを考えています。
RaaSであれば、自宅でロボットを利用するために親たちは高価なロボットを購入する必要はありません。毎月、使用料金を払えばよくなります。
「また、今後求められていくのは、さまざまな生活の場面で支援を行える、小さな個人向けのロボットです。
学校、家庭、どこでも、遊び、学び、創造すること、人ととやりとりすることを支援するものです。」
また、オテロはたくさんのロボットたちが、たくさんの子どもたちと一緒に過ごすことで、よりロボットは賢くなるといいます。
「テスラ社の電気自動車と同じように、当社のロボットも他社のロボットも、ネットに接続して更新されるようになっています。
それは、自閉症スペクトラム障害の人やすべての人たちに役立つロボットの実現を加速させるものです。
人間全体の可能性を広げるものにもなります。」
(出典・画像:米rbr)
・高価なロボットは買うのではなく、安い料金で必要にあわせてレンタル
・安価なロボット
となれば、自宅でも利用ができますよね。
本当に期待するところです。
特別支援教育で活躍するNAOに会いに行く
(チャーリー)