- 病院に入院中でも自宅での自傷行為とは異なる傾向があるのか?
- 自閉症の人が病院で自傷行為を行う要因は何か?
- 病院での自傷行為を防ぐためにはどのような準備が必要か?
病院に入院している間にも自傷行為を行う自閉症の人たちは知能指数(IQ)が低く、重度の反復行動をとる傾向があるという新たな研究結果が発表されました。
自宅で自傷行為を行う人の全てが、入院をした場合にも自傷行為を行うということはありません。
この研究でわかったことは、入院をしても病院で自傷行為を行ってしまう危険の高い人を特定し、それを防ぐのに役立ちます。
「自傷行為への治療はとてもむずかしいものです。防ぐことも難しいものです。」
米ボストンにあるタフツ大学の精神医学と小児医療の准教授のマシュー・シーゲルはそう言います。
「自傷行為を引き起こす要因がわかれば、病院のスタッフは防ぐのに必要とするものを準備することができます。」
自閉症の人の半分は、噛んだり、傷をつけたり、殴ったりするなどの自ら体を傷つける、自傷行為をします。
一般に、自閉症であり入院している人は、自閉症でない人に比べて多いと考えられています。
その大きな原因は、自傷行為によるものです。
自傷行為と自閉症に関するこれまでの研究に比べて、この新しい研究は重度の自閉症で病院に入院している人に焦点を当てたものです。
シーゲル准教授と全国の6人の精神科医からなる研究チームで、4歳から20歳までの重度の自閉症の302人について参加してもらい調査しました。彼らは平均すると25.6日間入院をしています。
参加者は、入院しているときに言葉を必要としない非言語的IQテストを受けました。
親や介護者は、反復行動や自閉症の度合い、そして自傷行為についてアンケートに答えます。
病院のスタッフたちは入院している間、自閉症の人たちの行動についてチェックを行います。
一日に1回以上、自傷行為を行うかについては特に注意をしました。
参加者の1/4は、自宅でも病院でも自傷行為を行いました。
半分の人は、自宅では自傷行為を行うものの、病院では行いませんでした。
残りの1/4の人たちは、自傷行為を全く行わないか、ほぼ行いません(行うのは1日に一回未満)。
自宅でも病院でも自傷行為を行う人たちの非言語的IQスコアの平均は58でした。
これは、自宅では自傷行為を行い病院では行わない人たちの平均に比べて、18ポイント低く、
自傷行為を行わない人たちの平均に比べて30ポイント低いものでした。
この研究はJournal of Autism and Developmental Disordersに掲載をされています。
自傷行為が病院でも行われるかは、反復行動の頻度や、また自傷行為の重症度と頻度とも関係することがわかりました。
また、これまでの研究報告と同様に、これに男性や女性での差はありませんでした。
病院でも自傷行為を行うかは、IQのスコア、反復行動、自傷行為の頻度と重症度に関連する。
この今回の研究からわかったことは、病院のスタッフたちは自傷行為を防ぐためによりよく準備ができるとともに、また他人への危害を防止することに役立ちます。
また、自閉症の人たちが自傷を行う前に、親が早い段階でその兆候を見つけることを助けることにもつながります。
子どもが幼く、非言語的IQが低く、頻繁に反復行動を行っている場合には、医師は親に予防措置を助言することができるようにもなります。
「早くわかればわかるほど、より自傷行為を防げるはずです。」
そう、シーゲル准教授は語ります。
今後の研究では、重度の自閉症の人が自傷を行ってしまうメカニズムを解明したいとしています。
(出典:米Spectrum)(画像:Pixabay)
うちの子も、何か気になるとずっと掻き続けて、全身に傷が耐えませんが、これは自傷行為というべきか微妙です。
何か感情的になるたびに自傷を行ってしまう場合には、まわりの人は本当に心配だと思います。
本人もとてもつらいでしょうが、まわりもとてもつらいはずです。そして危険を感じることも少なくないかもしれません。
そういうことが少しでも減るように、このような研究は本当に有用だと思います。
暴力の危険がある発達障害の子にした決断
(チャーリー)