- 目を合わせることができない、ひとつのことに注意していられない、人と共感することができない。どうやって解決できるのか?
- お面を使って演劇を行うことで、自閉症児にどのような変化が起こるのか?
- 演劇を通して、自閉症児とその周りの人たちの関係がどのように発展していくのか?
演劇家であるパラシュラム ラマムージは、最初に「自閉症(Autism)」という言葉を聞いた時、「芸術(Art-ism)」と聞き間違えました。
この間違いは、今振り返れば間違いではありませんでした。
というのも、この時から「芸術」が多くの「自閉症」児を変えてきたからです。
世界中の医療関係者が自閉症児が抱える3つの大きな問題を解決しようとしてきました。
目を合わせることができない。ひとつのことに注意していられない。人と共感することができない。
この難しい問題の解決に、医学の進歩ではなくインドの劇場で利用されている簡単な道具「お面」が役に立っています。
インドの舞台で役者が顔に鮮やかな色を塗って、役になりきるように、
自閉症児が顔に色を塗ったり、お面をつけることによって変身します。
子どもたちは、顔に色を塗った人の目を見つめ、目をあわせるようになります。
「子どもたちは、ふだんの顔の目にあわせる必要がないので安心を感じます。お面によってそうなるのです。」
パラシュラムは言います。
子どもと目が合うと、顔を塗った相手はつながることができます。そして、その子どもの世界に入り込むことができます。
子どもが顔に塗ると、落ち着けるようになり、相手の視線に邪魔されなくなります。
顔にお面をつけても同じです。視野が制限されて、他の人の視線が気にならなくなります。
子どもは相手の目をよく見るようになります。
お面をつけると、焦点をあわせて、注意をして演劇もできるようになります。
お面の力で、子どもは親の顔をよくみるようになり、親子の絆も強いものになります。
自閉症児が注意を向けられるのは、およそ15秒から30秒です。
お面を使うと、なんと300秒以上にもなります。
自閉症児が自分の手に色を塗ったり、母親の顔にひげを描いたりして大きな声で笑い出したりしたら成功です。
「お面をつけている間は、自分が新しい自分になったように思えます。お面は、自信をつけるのにも役立っています。」
パシュラムが所属する組織、ベルビが行う劇では、自閉症児は急かされることも、競わされるようなこともありません。
どの子どもも、無理やりお面をつけられたりすることもありません。演劇がうまくできなくても全く構いません。
ある子どもはグリム童話の演劇中に、大笑いが止まらなくなってしまいました。しかし、全く問題ありません。
結果ではなく、していることが重要なのです。
パラシュラムがお面をつけると、劇場での訓練がはじまります。
舞台にはたくさんのお面が転がっています。
お面をひろって顔につける子ども、つけない子どもがいます。
お面をつけた子どもは、パシュラムと演劇を始めて、まわりにいる人に興味をもつようになります。
他の子どもも、みんながだんだんとお面をつけて楽しみ始めます。
子どもたちは可笑しな声や音をだしながら、リズムにあわせて動き出します。
そのうちに、決まってはいない、自由な演劇の筋書きが与えられていきます。
「子どもたちがつくっていくストーリーには、考えもしていなかった、さまざまなものがあって、本当にそれは素晴らしい。」
自閉症児には創造性がかけているのではないか。という間違った考えをパシュラムは否定します。
ベルビの劇では自閉症児が真似ることで、周りとのやりとりを学んでいけるように、お面を渡して、演劇やリハーサル、ゲーム行っています。
ベルビの劇には、自閉症児の親や先生も参加します。
自閉症児と大人で演劇を行うことで、大人も子どもたちとの関係を深めていきます。
ベルビの劇は、これまでに5000人を超える人たちの助けとなりました。
お面を使うこれらの指導方法は、海外の多くのところで行われるようになってきました。
ベルビはネットで、これらの指導方法が学べるようにもしています。
この組織による、自閉症児のための演劇祭は毎年一回、いろいろな場所で開催されました。
今年はバンガロールにて行われます。
誰もが楽しめて、本当に他では得られない経験ができることを約束します。
(出典・画像:印THE BETTER INDIA)
最初に写真を見た時に、こんな 犬神家の一族のスケキヨみたいなマスクはどうかと思ったのですが、
舞台のうえではおかしくないですね。
その効果をもたらす理由は、納得ができます。
海外の真摯なとりくみを、ぱっと見で軽率に判断をしてはいけないと反省です。
人形劇によるものも行われています。
人形劇での発達支援プログラム
(チャーリー)