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感覚に優しい状況で発達障害の子がスミソニアンを見学できる機会

time 2018/01/07

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

感覚に優しい状況で発達障害の子がスミソニアンを見学できる機会
  • 博物館を楽しむために、どんな配慮が必要なのか?
  • 発達障害の子どもが博物館を訪れる際、どんな環境が適しているのか?
  • 博物館が行う取り組みは、発達障害の子どもやその家族にどんな影響を与えているのか?

日曜の朝、ワシントンD.C.にあるスミソニアン協会の国立アフリカ系米国歴史文化博物館では、いつもより静かな状態になっていました。
63の家族が参加しています。
各フロアに自由に過ごしてよいスペースが設けられています。
照明が落ち着くものに変えられ、音量も小さくされた展示もあります。
「私の息子は芸術家のようなものです。
描くことなら何でも大好きです。」
訪れているイェッタ・ミリックはそう言います。
これまでの4年間、イェッタと14歳の息子のアイデンはスミソニアン博物館の「モーニング・アット・ザ・ミュージアム」イベントに参加しています。
2011年から行われているこの取り組みは、通常よりも早い時間から入館できるようにして、感覚にやさしい状況で見学ができるものです。
「他の子どもと同じような経験を息子にはさせたいと思っています。
この取り組みは、本当に助かるものです。」
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発達障害の人たちのために博物館を楽しめるようにしたのはスミソニアン博物館が初めてでした。
今では、全国の文化施設で発達障害の子どもが楽しめるようになってきています。
非営利団体で働くエリス・フリードブラウンは大学で博物館学を学び、発達障害児のための博物館プログラムの開発という論文では、自閉症スペクトラム障害などの人たちをもっと歓迎できるようにする方法を追求しています。
エリスは、博物館の説明員などにインタビューを行い、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館などでの取り組みの成果も得て、このスミソニアン博物館での取り組みを行っています。
エリスは、発達障害の子どもが博物館に行くことが簡単ではないことを認識する、それがまず重要だと言います。
音や光が、発達障害の子どもたちのストレスになることがあります。
エリスは、自閉症スペクトラム障害の人の42%以上が、過度に刺激があることにより幻覚をみたり、常同行動を始めたりすることがあるために、予期しない刺激の発生をなくすことが重要であることを伝えています。
「博物館では、5つの感覚を用いています。
1つの感覚だけにしぼることができなければ、厳しくなります。」
博物館内の明るい照明、大きな音、たくさんの人混み、それらは発達障害の人には避ける必要があります。
そのために、通常とは異なる時間に見学できるようにすることは、それらをなくすのに簡単で効果的な方法となります。
その時間であれば、博物館は照明を通常より暗くし、音を消すこともできます。
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またスミソニアン博物館の取り組みは、いつも同じように行います。
発達障害の人は、予測していないことが起きると不安になります。
そのため予測可能とすることで、発達障害の人はうまく楽しめるようになります。
展示物などは変化しても、スケジュールはいつも同じにしてあります。
そして、少人数のグループになって見学を行います。
そして、博物館側のスタッフは発達障害の子は一人ひとり異なっていることを理解しています。
「本当にうまくいくためには、発達障害の子の介護者からよく話を聞くことです。
それにあわせてスタッフが柔軟に対応できる博物館でなければなりません。」
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スミソニアン博物館の取り組みでは、参加する発達障害の子が増えれば増えるほど、より静かに気配りされたものとなっていきました。
発達障害の子をもつ親からの問い合わせなどがあったため、2011年に委員会が作られ、この取り組みが始まりました。委員会は博物館職員、特別支援教育の先生、大学の作業療法士、発達障害の当事者により構成されています。
アシュリー・グレイディは2015年から委員となり取り組んでいます。
「スミソニアン博物館が参考にしたのは、動物園、水族館、美術館などで行われていた取り組みです。
親が安心して連れて来られるようにするためには、何が必要で、何を準備し、どうやって有意義な時間にしてもらうかを考える必要がありました。
そして3つのポイントに力を入れるべきとわかりました。
・博物館に来る前に見ることができる資料
・通常よりも早い時間の入場
・休むことができるスペースの設置

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12月、スミソニアン博物館の国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館での取り組みでは、博物館が一般公開される1時間半前の午前8時30分に開館しました。
こうすることで、待つ時間と人混みが少なくなり、発達障害の人にとって負担が少なくなります。
また、通常の展示時間には行えない、落ち着けるスペースの設置も可能となりました。
現在、このスミソニアン博物館の「モーニング・アット・ザ・ミュージアム」は1年に25回実施されるまでに拡大し、発達障害の人に限らず、ダウン症候群や脳性麻痺の人たちも訪れるようになっています。
委員会のメレディス・グレゴリーはこう言います。
「さまざまな人たちにとって、良い機会になっていることはもう明らかです。
より多くの機会を設けて、これまで以上にたくさんの子どもたちに来て欲しいと願っています。」
(出典・画像:米Smithonian)(画像:米Smithonian
スミソニアン博物館。そんな風に耳に残っていますが、米スミソニアン学術協会による19の博物館などの施設群になります。1つの博物館ではありません。
いつか、うちの子どもと一緒に行きたいです。行ってみたい!
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(チャーリー)


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