- 文字を書くことができない理由は何でしょうか?
- 理解することが難しいのはなぜでしょうか?
- 学校で孤立してしまった経験はどのように感じたのでしょうか?
10代の青年がこう言います。
「何度も説明してもらって、練習をしても、単語を見ないで単語を書くことができません。
私には他の人のように文字として見えないのだと思います。
絵としてしか見えません。
テレビ、映画、漫画では見たことを憶えていますが、書き取りの練習をいくらしても言葉を覚えることができません。」
自閉症スペクトラムのジャクソンは、同年代の友だちを超えているスピーチや読書ができる能力を持っています。そのために、文字が書けないとは思われることがありません。
「僕がかかえている問題は、言葉や単語がどのような意味を持っているのか理解することと関連をしています。
何度も何度も練習しても、できないのです。」
ジャクソンの母親であるCQユニバーシティのスー・デイビス博士は、様々なやりかたで教育をしてきたものの、どれも効果がないと言います。
ジャクソンの学校生活は厳しいものであるとも言います。
「それは、先生や同級生のジャクソンへの対応方法に大きく関係します。
ジャクソンの障害は目に見えません。
そのため、たびたびジャクソンがわざとそうしているのだと思っていたようです。」
単語の書き取りやテストは小学校の授業で大部分を占めるものであり、ジャクソンのような子どもには辛い時間でしかありません。
デイビス博士は、ジャクソンが書くことができないために、知性も低いとみなされていたと言います。
「小学校では、基本的なスキルを学ぶことが多いため、どれかができないと全てに影響があります。」
ジャクソンは、小学校1年生、2年生のときにはまわりとの断絶や孤立感でいっぱいだったそうです。
「怠け者だと言われました。
もっと努力をしろ、授業にもっと集中しろと言われました。
私はもう学校でやっていけないと思って、耳をふさぎました。
幼かったころは、先生とも友だちとも、そして勉強もうまくいかなくてずっとイライラしていました。
多くの人から孤立していました。」
ジャクソンが変わったのは、中学生になって学校を変えてからです。
最初は新しい学校が今までの学校とどう違うのかがわからなかったため、心を開きはしませんでした。
しかし、新しい学校はこれまでの学校とは全く違っていました。
「サンシャイン・ビーチ州立学校では、ウェイトリフティングや運動、そして料理のようなレクリエーション活動に力を入れていました。
僕にストレスがかかる時間が少なくなったのです。
英語と数学はありましたが。」
ジャクソンは、激しい不安に悩まされて、学校の授業も受けれないような状況になっていました。
そのため、学校ではテストや書き取り練習のときにはサポートをする人をつけることにしました。
そうして、ジャクソンにとって学びやすい環境になっていくと、ジャクソンと先生たちとも良い交流ができるようになり、ついには優秀な成績をおさめるようになりました。
しかし、友だちはまだいないままでした。
ジャクソンが高校を卒業する日、母親であるデイビス博士は息子を誇りに思いました。
「こんなに立派になるとは思っていませんでした。」
成績優秀なジャクソンは謙虚です。
「僕は、本当の自分を表現できるように少しなっただけです。」
高校を卒業することが難しいと感じる学習障害のある子どもに、ジャクソンはこれまでの12年間の学校生活で得た知恵を語ります。
「先生や友だち、またあなたが嫌いだと思う人たちに迷惑をかけてはいけません。
そうしてしまうのは、自分が持っている不安が原因だからです。
多くの人たちは同情してくれます。しかし、できることはありません。
自分自身で動機をもって学んでいきましょう。」
ジャクソンは大学に進学することも決まっています。
「僕はずっと、人間社会の構造や、国や文化の交流に興味をもっていたので、それを専攻していきたいと考えています。
将来は政治家、社会学者になっているかもしれません。
けれど、5年後に何をしているかはわかりません。」
(出典・画像:豪abc)
文字が書けない。文字がない時代であれば、それは全く障害にならなかったはずです。
ADHDなどじっとしていられない、たくさんのことに注意がいってしまう。これも狩りをしていた時代にはむしろ優れた特性であったと思います。
時代や社会によって、障害とされたものでしかないかもしれません。
ちょっとしたサポートでこの時代、この社会でもどんどん活躍されるかもしれません。
そんなちょっとしたサポートをみんなでたくさん見つけて、できるようになったらいいなと思います。
技術と音楽と情熱が発達障害の生徒を変えた
(チャーリー)