- 細かい、複雑なものやユニークなものが好きな人は、どうやってその興味を活かせるのか?
- 自閉症や知的障害を持つ人がコミックイラストレーターになるためには、どんなサポートやステップが必要なのか?
- 才能を持っているけれど、仕事や社会とのつながりが少ない場合、将来の夢を実現するために家族や支援団体がどのようにサポートできるのか?
ケニス・リーのA4サイズのノートを開くと、日本のアニメAKIRAに描かれていた街並みがスケッチされています。
建物の様々な大きさの窓や、屋上のアンテナまで、複雑な細部も描かれています。
次のページには、アニメキャラクターの筋肉が精巧に描かれています。
自閉症スペクトラムの25歳のリーはこう言います。
「私は発達障害によってどう変わっているのかはわかりませんが、
細かい、複雑なもの、ユニークなものが好きなんです。」
風景や建物などリーが描く、SF的なものはテレビやインターネットで見ていると言います。
リーは、最近コミックを出版することができる出資を受けました。
これから、ストーリーとキャラクターを決定していきますが、日本やアメリカのコミックを混ぜたようなものにしたいと考えています。
リーの将来の夢は、人気コミックイラストレーターになることです。
そしてこれまでに、パークロイヤル・ビーチ・ロードホテルからはシンガポールの史跡地区、カンポン・グラムの街並みのイラスト、マウント・アルバニア病院からは、ノベルティグッズのデザインの依頼を受けてきました。
リーは、ホリデーインホテルで、清掃の仕事を行っています。
仕事をしていない時には、アニメやイラストを見ています。
このAKIRAの街並みの絵は、仕事が終わってからの時間で三日で描きました。
絵具やクレヨンなどは汚れてしまうので、鉛筆やペンで描くのが好きです。
リーが、いつもひとりぼっちで、他の人とほとんど関わっていないのに両親は気づきました。
3歳のときに、自閉症スペクトラム障害と診断をされました。
そしてその頃に、絵の才能があることにも気づきました。
51歳の母親のスエは次にように言います。
「いつも、リーに紙、ペン、鉛筆を渡していました。
手だけで描くのですが、きれいな直線を描くんです。」
リーは12歳から18歳までの間、軽度の知的障害や自閉症の生徒のための特別支援学校に通いました。
そして、リーが持っている才能を伸ばすことができると母親が思った支援団体の芸術クラスにも通いました。
リーは建築物を描くことに興味を持ち始め、14歳の時に駐車場、庭、そして鳥や雲がある、夢の街を描いて母親を驚かせました。そんな場所には一度も連れていったことがなかったためです。
「後から気付いたのですが、おそらく息子はテレビでそういったものを見ていたのでしょう。」
そう母親が言うと、静かだったリーは突然こう言いました。
「いや、新聞と雑誌を見たんだ。」
家族で海外に行ったときの写真を見て、リーはスケッチもします。
例えば、タイのバンコクにあった書店が描かれています。
母親のスエは、今回得た、コミックへの出資金についてこう語りました。
「息子は、まだフルタイムでホテルの仕事をしているので来年、コミックが出せると思います。」
(出典・画像:シンガポールTODAY)
すごいと思わせる作品は、説明もいらず、言葉が違う国の人も圧倒します。
そんな才能を伸ばせて、かたちに出来たら、本当に本人も家族もうれしいはずです。
キャプテン・アメリカとアベンジャーズを支える才能
(チャーリー)