- 発達障害の子どもたちがスポーツを通じて得られるメリットは何か?
- オースキックやオールプレイ・プログラムはどのような支援を提供しているのか?
- 発達障害の子どもたちにとって、スポーツ参加がなぜ重要なのか?
オーストラリアのメルボルン西部の公園で子供たちが遊んでいます。
アナベルは、フットボールをハンドボールのようにしないようにコーチから言われました。
アナベルのコーチ、ジョディ・ドナルドはきっとできると言います。
わからないとアナベルは答えます。
ハーパーが興奮していると、
コーチの9歳の息子のルーカスが近づいて落ち着くように話します。
ハーパーは落ち着くことができ、4回めのシュートでゴールを決めました。
オースキックはフットボールの基本を学べる子ども向けの子のための取り組みです。
以前は障害のある子は参加していませんでした。
今、参加している子どもはみんな発達障害です。
コーチのドナルドの息子のルーカスも発達障害です。
スポーツが子どもたちに身体的、社会的、精神的によいことはよく知られています。
オースキックは発達障害の子どもたちへ、スポーツによる支援に取り組み始めました。
ジャーナル・オブ・モーター・ラーニング・アンド・デベロップメント誌に掲載された研究では、オースキックのトレーニングは発達障害の子に効果があることを伝えています。
その研究を行った、豪ディーキン大学のニコール・ラインハート教授はこう言います。
「本当に大きな問題です。
発達障害、特に自閉症の子はその80%が運動機能に困難をかかえています。
ボールをつかみ、他の子といっしょに行うことができれば、
不安が減って、幸せになります。
そして、夢中になって、笑顔ができて、他の子が近寄ってくるようになります。
子どもが、遊び場で運動をする簡単なことで、今後の人生の多くを改善することができるのです。」
ラインハート教授は、発達障害の子のためのスポーツの取り組み、オールプレイ・プログラムを立ち上げました。
発達障害などの障害がある子どもへの指導方法や、保護者に向けた専門家のアドバイスや情報を提供をオーストラリア・フットボール・リーグとも提携して行っています。
「私の息子がオースキックでフットボールをして、とても楽しんでいるのを見て、私も取り組み始めたんです。
臨床心理学者として、そこで遊ぶ周りの子どもを見てみると、障害がある子は一人もいませんでした。
私は、障害のない子どもだけが、この幸せになれる機会を得ているのに不平等を感じました。
もっと、こういう機会が必要な子どもたちがここにいないのです。
私の目には涙が浮かびました。」
コーチのドナルドは、ラインハート教授が開発した方法に従って指導を行っています。
ドナルドの息子のルーカスは、オースキックに3年間通いサッカーを続けています。
そして、今はドナルドのアシスタントコーチになっています。
「最初の1年はたいへんでした。
子どもたちは、ただ集まって、けるだけです。
けんかになっていると感じる子もいました。」
ラインハート教授のオールプレイのWebサイトにはフットボール・ストーリーというコーナがあります。
他の子どもたちとの出会いから、泥まみれになったときの気持ち、怒りや不満に対処する方法などを子どもたちに案内するものです。
「実際に、長い時間をかけて研究をしたことを書いてあります。
子どもでも大人でも、発達障害の人が何か新しいことをしようとするときに、わかりやすくサポートとなる情報です。」
そうラインハート教授は語ります。
コーチのドナルドは手伝ってくれている発達障害の息子のルーカスも変わってきたと言います。
「息子はとても社交的になりました。
自分と同じくらいの年齢のこどもたちとはとても仲良く交流できるようになりました。
そして、本当にフットボールを愛しています。
週に2回自分の練習をして、そして手伝いに来てくれます。とても感謝しています。
発達障害の子にはいろいろな子がいます。
それでも息子の指導は素晴らしいものです。
パニックになりそうな子がいても、それをいやな目で見たり、笑ったりする子はここにはいません。
なので、息子は落ち着くように寄り添います。」
リサとシェイン・アーチは、息子のミッチェルがここで成長するのを見てきました。
「息子のミッチェルはここに来て、友だちができました。友だちを見つけるとこんにちはと挨拶をします。
社会的なスキルが身についてきて、素晴らしいです。」
ラインハート教授はこう言います。
「発達障害の子どもたちも、自分のしたいことをすることができるのです。
そんな子どもたちに必要な機会を提供しなければなりません。」
オーストラリアでは、5人に一人の子が何かしらの発達障害であると推定されています。
ラインハート教授は、オールプレイの取り組みをもっと大きくして、もっと多くの人たちに支援することです。
ダンススクールとの提携なども始めています。
そして、発達障害の子どもたちによりよいものとなるように、科学的な評価も行っています。
5年後には、科学的な証拠をもって、
「薬や医療的な処置に加えて、子どもたちに効果のあるスポーツによる処方もできるようになります。」
ことを目標にしています。
コーチをしているドナルドはこう言います。
「私はただの発達障害の子の母親です。
しかし、私は何をすればいいのかわかりました。
私はフットボールが上手ではありませんし、フットボール選手でもありません。
しかし、ただ、息子のような発達障害の子のチャンスになる、楽しい時間を一緒に過ごそうとしてきたんです。」
(出典・画像:オーストラリアABC)
発達障害の自分の子どもと一緒になって、他の発達障害の子どもたちに役に立つことができたら、それはうれしいでしょうね。
チャンスになる楽しい時間を一緒に過ごす。
ぜひ、したいですね。
こちらも親子でスポーツに取り組んでいます。
発達障害の子と視覚障害の父が補い合い走る
(チャーリー)