- 自閉症スペクトラムの人の意思決定は他の人たちと比べて正確で一貫しているのか？
- 自閉症の特徴により、マーケティングの誘惑から守られることがあるのか？
- 自閉症の人は、商品選択時におまけや提示方法の影響を受けない傾向があるのか？
自閉症スペクトラムの人たちの意思決定に関する新しい研究で、商品を選択する場合の評価がそうでない人たちよりも正しく一貫していることがわかりました。
消費者は、いつも購入の意思決定に影響を及ぼそうとする、たくさんの誘惑を受けます。
しかし自閉症の特徴をもっていると、そのようなマーケティングの誘惑魔法から守ることができるようです。
情報を処理して、さまざまな課題に取り組もうとする場合、自閉症スペクトラムの人は気を散らす刺激や、その背景にある文脈について、整理したほうがよいことが知られています。
「自閉症の人は、より詳細なところに集中をしてから、広く見ると考えられています。
例えば、自閉症の人は錯視の影響を受けにくいことなどが、これまでの研究から伝えられています。」
英ケンブリッジ大学のジョージ・ファーマーがそう言います。
「このような傾向が、より高いレベルの意思決定にも当てはまるのかをつきとめたいのです。」
研究チームは、自閉症と診断されている９０人とそうでない２１２人に実験に参加してもらいました。
参加者たちには、携帯電話、オレンジジュース、USBドライブなどさまざまなカテゴリーの１０の商品を繰り返し提示しました。
参加者たちは、二つの特徴から商品を選ばなければなりません。
例えばオレンジジュースであれば、ビタミンCの含まれる量やカロリーからです。
しかし、それだけで選ぶのであれば心理学の実験にはなりません。
この実験のポイントですが、比較する商品の一方には「おまけ」をつけました。
参加者たちが、完璧に合理的な判断ができるのであれば、おまけがあることは関係なく、示された二つの特徴で製品を評価し選択するはずです。
「サーモンよりもステーキが好きなのであれば、カエルの足がおまけに追加されただけで、変わるはずはない。」
そう研究者たちは述べています。
しかしこれまでの研究では、人は選択をするときにその提示方法に影響されます。どちらか１つを選ばなければならない場合にはなおさらそうであることが、何度も実証されています。
例えば、選べる商品がたくさんある中で、１つでも悪い製品があると、選択が変わってきます。
これは、マーケティング担当者がよく活用する「アトラクション効果」として知られています。
今回の実験で、おまけをつけると選択する商品は変わりました。
商品自体が同じでも、おまけをつけると魅力的になるのです。
しかし、自閉症の人たちは、おまけに影響を受けることはなく一貫して同じ商品を選んでいました。
「経済的な観点からすると、自閉症の人たちのほうが合理的な判断をしているといえます。
選択肢の提示方法による影響可能性が低いことを示唆しています。」
研究者たちは、自閉症の人たちが、社会、経済的に重要な存在だと考えています。
なぜなら、心理学の吸引効果は、あなたがスーパーマーケットでどの歯磨き粉を選ぶかということだけでなく、政策決定、選挙にも影響を及ぼすようなものだからです。
研究者たちは、自閉症の人たちが「おまけ」に全く影響を受けないわけではないことも強調しています。
しかし、そうでない人たちに比べれば、影響をあまり受けないのです。
「これまでの経済理論では、一貫した判断は良いものとされています。
おまけなどに影響を受けないことは、自閉症の人たちが全ての面において「障害」であるわけではないことを実証するものです。」
そして、自閉症の人たちは正しい価値もわかっています。
最適な選択を行う場合、特に広告や宣伝に騙されたくない場合には、それに従うのは便利な戦略といえます。
自閉症の人たちが参加して、心理学の「アトラクション効果」の研究がされたのは今回が初めてです。
興味深い結果にもとづいて、自閉症スペクトラムの人たちが世界をどのように見ているのかをより深く理解するために、さらなる研究が期待されます。
（出典：米SCIENCE Alert）（画像：Pixabay）
世界の捉え方が違うからこそ、頼りになることも当然あると思います。
違うだけなんです。
違いがあるので、頼ることもできますし、支える必要もあるのだと思います。
発達障害の人の方が合理的な判断ができる
（チャーリー）
