- 社会的なスキルと不安障害の関係は一方向なのかどうか?
- 発達障害の人が社会的な不安に影響を受けることはあるのか?
- 社会的なスキルが不足している場合、どのようにして社会的な不安が生じるのか?
社会的なスキルが足りないことは、不安障害の一因になることがあります。
しかしその逆、不安障害が社会的なスキルに影響を与えるとは必ずしも限りません。
たくさんの典型的な子どもたちを対象に行われた、新しい研究からそれがわかりました。
この研究は、発達障害の人が共通してもつ社会的な不安を理解することも助けるものです。
社会的な不安に対する治療は、社会的なスキルの構築が必要です。
社会的なスキルが十分でないことは、発達障害の方がかかえる大きな共通の問題です。
社会的な不安とは、ふつうに人と話すこと、やりとりをすることに恐怖を感じることをいいます。
社会的な困難があるために、社会的な不安が引き起こされるのか、それとも社会的な不安があるために、社会的な困難が引き起こされるのか、どちらが原因なのかは明らかになっていませんでした。
例えば、社会的な不安があるために、人とのやりとりを避けるようになれば、社会的なスキルが低くなっていく可能性もあるからです。
英ロンドン・ユニバーシティ・カレッジの臨床心理学者、ウィリアム・マンディは今回の研究結果から、「社会的なスキルが十分でないために、社会的な不安が起きる。」と述べています。
マンディと研究チームは、1991年と1992年にイングランド南西部で生まれた子どもたちについて長期的な調査を行い、9491人の子どものデータを分析しました。
7歳、10歳、13歳の時に、母親が子どもたちの社会的なスキルと不安症状に関するアンケートに答えました。
そして、社会的なやりとりの問題から、社会的な不安が生じることを予測できることを発見しました。
7歳の時に、社会的なスキルが低い子どもは、10歳になると社会的な不安の症状を示しました。
10歳で社会的なコミュニケーションがうまくない子どもは、13歳で社会的な不安のかかえることが多くありました。
社会的な不安の症状が先にあって、社会的なコミュニケーションが低くなることは認められませんでした。
社会的なスキルが低いと社会的な不安を引き起こすことは、男女で変わりありませんでした。
社会的なスキルが低いほど、社会的な不安が大きくなるという、その程度の関係は認められていません。
今回の研究調査では、社会的なスキルが低いと、社会的な不安になることについて、明確な証拠を示します。
「社会的なスキルと、社会的な不安についての関係はこれまでの研究でも示されていますが、この因果関係を示す長期にわたっての証拠は初めてのものといえます。」
そう米バージニアテック発達障害クリニックのスーザン・ホワイトは言います。
この分析では、発達障害である子ども、そうでない子どもの区別はされていません。
発達障害の子どもについても、社会的なコミュニケーションが低いために社会的な不安が起きるのか、それは確かめる必要がありました。
研究者たちは、発達障害の人は社会的な不安が高い。という、これまでの研究結果についも、それは本当に正しいのか調べました。
発達障害の人のスコアが高いのは、社会的な不安があることよりも、社会に関心がないことから生じているのではないかと考えたのです。
発達障害の人は社会的な不安が高い。それは、やはり正しくないということが確認できました。
しかし、発達障害の人と社会的な不安との関係について、無視していいものではないといいます。
「発達障害の人がかかえる社会的な不安について、これまでのテスト方法など捉え方に問題があるのではないでしょうか。もっと踏み込んで考え直す必要があります。」
この研究の全体を通じた結果「社会的なスキルが低いと社会的な不安が起きる」ということを考えれば、発達障害の程度が低い場合でも、社会的な不安をかかえる問題が生じる可能性があるとマンディーはいいます。
現在、マンディーと研究チームは発達障害が社会的な不安にどのように影響を与えるかについて研究を進めています。それは、発達障害の人がかかえる社会的な不安への治療に貢献するものとなるはずです。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
つまり、不安症状が起きる原因になっているのは、社会的なスキルなので、社会的なスキルを改善することが不安症状の治療につながると考えられます。
治療を考えた場合には、たしかにどちらが先、原因なのかは大事です。
また、発達障害の人は社会的な不安が高い。これは今回の調査からはそうではなかった。
しかし、発達障害の人は共通して社会的なスキルに問題をかかえている。そうであれば社会的な不安につながるはずなので、今回の調査データ、アンケートの問題などがよくなかったと考える。そのため、発達障害の人の社会的な不安をきちんと理解するためにもっと研究調査を行う。
そう理解しました。
うちの子どもは発達障害で、お話なども全くできませんが、多くの時間、にこにこしていて、こちらも幸せになるくらいです。
だからといって、私がきちんと理解できていないだけで、困っていることや嫌なこともたくさんあるのだろうと思います。
しかし私が、発達障害で話すこともできないから、苦労しているはず。と結論ありきで思い込んでいるだけで、それは失礼で余計なお世話かもしれません。
実は、発達障害、話せない、そんなことは関係なく、そうでない人と変わらないくらいの苦労かもしれません。
ずっとわかりません。もっとわかりたいと思うばかりです。
発達障害の子は統合失調症になることもある
(チャーリー)