- 自立した生活を送るためには、デジタルリテラシーが必要なのか?
- 発達障害や知的障害を持つ人がコンピュータを安全に使用できる環境が整っているか?
- 就職に向けてコンピュータスキルを磨くための支援が適切に行われているか?
赤いスーツを着たエリック・ウェドンは自分の夢の仕事について、パワーポイントでプレゼンテーションする準備をしています。
「アーク」の授業を受けている21歳のウェドンは、ディズニーのキャラクターの格好をした人がお客さんを迎えるレストランをオープンしたいと考えています。
「子どもたちは、ディズニー映画のどれに出ていたキャラクターかわかります。
あなたと同じで、僕はディズニーのファンなんです。」
ウェルドンは、新しいパソコンで、パワーポイントの資料を作っています。
アークは、全米で活動をする非営利団体で、発達障害、知的障害の人とその家族を支援する活動を行っています。
ここ、米オレゴン州レーン郡のアーク支部では、600人以上が支援プログラムに参加しているとアークのディレクターのアンジェラ・フィニーが言います。
このアーク支部は、ケーブルテレビ会社のコムキャストから、デジタル・リテラシーを向上させるための助成を受けています。
「障害がない私たちにとっては当たり前となっていますが、技術の進歩によって私たちは、こんなにも人とつながることができるようになりました。
私たちに必要なのは、一歩戻って、障害のある方も全ての人たちがつながれるような機会を作ることです。」
そう、コムキャストのディレクターのレベッカ・ブラウンは語ります。
アークによれば、全米では83%の家庭にパソコンがあります。
しかし、家庭のパソコンを使い、インターネットを利用できるのは、障害のある成人では25%未満だといいます。
非営利団体のアークは、コンピュータ・リテラシーを向上させて、このデジタル・デバイド、情報格差をなくしたいと考えています。
「安全な、支援を受けられる環境で、コンピュータについて学べるようにすることは、障害のある方たちがチャンスを持てることにつながるのです。」
この非営利団体アークの6週間のパソコンの授業は無料です。
授業では、ノートパソコンの使い方のような基礎段階から始まります。
そして、インターネットを安全に使う、個人情報が盗まれないようにする、ことなども学びます。
電子メールでの書き方のルールや、就職に向けて企業に応募する場合の書き方なども学びます。
キーボードでタイプをすることもできなかった生徒でも、ワードで1ページの履歴書を書けるようにします。
授業が終わる頃には、卒業式への招待状も作ります。
そして、一番最後に行うのが自分の夢をパワーポイントで資料に作ることです。
アークの授業を受けた人たちの目標は、就職することです。
この授業を受けた人の一人は、有名なスーパーに就職することが出来ました。
「とても内気な男性がいました。
この授業を通じて、自分への自信を持てるようになったと、その男性の母親から聞きました。
コンピュータについてだけ、身に付けたのではなかったのです。
今その男性は、自分のことを人に伝えられるようになりました。」
アークのフィリーはそう言います。
ウェドンは、この授業を通じて親友が出来たといいます。
「ここのみんなは、障害があります。
それが、私にはぴったりの環境でした。」
ウェドンは、さらに高度な内容の授業も受けたいと言います。
悪意のあるソフトウェアを見つけたり、コンピュータ・ウィルスに対応する方法についてです。
アークでは、その他ビジネス文章の作成方法、コンピュータを使った予算作り、ソーシャルメディアを使う方法などを教えるもっと高度な内容の授業も行っています。
(出典・画像:米Register-Guard)
パソコンやスマホを当たり前に使っていると、考えることもありませんでした。はっとしました。
パソコンやスマホを自分だけ使うことができなかったら、どうでしょうか。
まわりと小さくない断絶が生まれそうです。
そして、障害もかかえていたら。
なおさら、情報格差による弊害をなくす必要があるはずです。
これはとても重要な取り組みです。
米IT企業も取り組んでいます。
Googleなどが学校で発達障害の子に教える
(チャーリー)