
- 医療制度の中で、自分の子どもに最適な治療を決定するための情報はどこから得ればよいのか?
- 子どもに対して行われる診断が本当に必要なものなのかどうか、どう判断すればよいのか?
- 経済的な側面が医療判断に影響を与えることをどう考え、対策すればよいのか?
アメリカの医療制度は混乱を極めています。
お金の使い方も、人々の健康への悪影響も深刻で、とりわけ子どもの医療においては、その問題がとくに深刻です。
自閉症やADHD、さらにはトランスジェンダーの診断が増えている背景には、社会の歪みに乗じた「儲け主義」があるのではないかという指摘もあります。
資本主義の自由市場は、革新を促し、需要と供給をうまく調整できるという点では、社会主義や単一支払者制度(国が医療費を一元管理する制度)より優れています。
しかし、「提供する側」と「受ける側」の間に知識の差があると、うまく機能しません。
とくに子どもの医療では、医師や心理士が親よりも情報を持っていることが、危険につながることがあります。
悪意ある専門家が親の不安をあおることもできますし、逆に親が診断や治療を拒否した場合、それが「育児放棄」とみなされる恐れもあります。
では、医療業界の一部が、子どもを利用して金儲けをしているのか?
その答えは「イエス」であることを示す証拠が出ています。
たとえば、アメリカではADHDの診断率が他の先進国の2倍以上というデータがあります。
しかも、高所得エリアでの診断率がとくに高いこともわかっています。
これは、「制度にどこかおかしいところがある」証拠といえるでしょう。
(ちなみに、ハロウィンの日にはADHDの診断が14%も増えるという調査があります。科学の問題というより、子どもたちが砂糖でテンション爆上がりしてるだけかもしれませんね。)
また、1970年代の障害者支援法が、診断件数を増やすインセンティブ(動機)を生んでしまったことも指摘されています。
学校は、障害を持つ子どもが多いほど、国や州から多くの資金を得られる仕組みになっているからです。
大人に対しても、メディケイド(低所得者向け医療保険)や社会保障制度から追加の給付が支払われます。
これは「嘘の診断をしている」という単純な話ではなく、もっと巧妙です。
自閉症やADHDの定義そのものが変えられ、診断される範囲が広がっているのです。
かつては「ある/ない」で判断されていた病気が、今では「スペクトラム(連続的な傾向)」として扱われ、少しでも基準に引っかかれば「診断された」となってしまうのです。
もちろん、病気には軽重の差があるのは当然ですが、たとえば軽い心臓発作に対して開胸手術はしませんよね?
それと同じで、スペクトラムの拡大によって、実際には必要のない子どもまで「障害者」として分類されることになっています。
他国の先進的な医療制度と比べても、その数は異常に多いのです。
トランスジェンダーの子どもは、今のところそれほど多くはありませんが、こちらは医療業界にとってより「儲かる分野」と言えます。
性別適合手術には最大で75,000ドル(約1,100万円)かかり、そこに思春期ブロッカー(性ホルモン抑制薬)やホルモン治療、カウンセリング費用なども加わります。
この分野でとくに問題なのは、「性別は社会的に作られた概念である」という、科学的根拠の薄い主張が一部で広まっていることです。
「自分の性別は自由に選べる」と考えるのは自由ですが、身体的な性別を変えるには手術が必要ですし、それにはお金がかかります。
しかも、診断や治療の基準が医師によってバラバラです。
実際に「トランスジェンダーをやめた(デトランジション)」人たちが存在するという事実は、診断のあり方に疑問を投げかけています。
デトランジションは少数派だと言われていますが、2022年に発表された医学論文では、現在は精神的な適性評価が不十分なまま治療が進められていることが多く、過去のデータはもう当てはまらない可能性があると指摘しています。
子どもにおけるトランスジェンダー傾向と家庭の収入の関連を示す調査は見つかりませんでしたが、政治的な傾向との相関は強いと言われています(完全に一致するわけではありませんが)。
そして、アメリカ社会には「被害者であること」に価値を見出す空気があることも、背景にあります。
スペクトラム上にいる、あるいは性別に違和感を持っている=自分は「被害者」である。
親も「被害者の親」として特別な立場になれる。
そうした被害者意識は、とくにリベラル派の間で「社会的地位」として評価される傾向があります(保守派にも広がりつつあります)。
さらに、自分が「普通ではない」とされることで、社会から特別扱いされ、共感や支援を得やすくなるという心理的なメリットもあります。
親にとっても都合がいい一面があります。
子どもの問題は「親の責任」ではなく「病気のせい」にでき、薬やカウンセリングに任せてしまうことができるのです。
もちろん、実際に本当に困っている子どもたちも存在します。
そしてロバート・ケネディJr.が指摘するように、アメリカの食生活には問題が多いのも事実です。
砂糖の摂りすぎ、加工食品の多さ、怪しい着色料や添加物――これらは確かに健康に悪影響を与えます。
でも、多くの子どもにとって本当に必要なのは、ワクチンを避けることでも、薬や手術でもありません。
「治療など必要ない」というのが正解の場合もあるのです。
つまり「そもそも病気ではない」ケースが非常に多いのです。
(補足:麻疹のワクチンが健康に害を与えるという証拠はありません。
ワクチンと自閉症の関連性を示す大規模かつ信頼性のある研究は存在しません。
アーミッシュの子どもが自閉症にならないという話も誤解です。
実際、ワクチンを受けているアーミッシュの子どもも多くいます。)
残念ながら、健康な子どもたちは「儲からない」存在です。
そして、医師の多くは良心的ですが、すべてがそうだとは限りません。
それは、どの職業にも言えることです。
子どもの健康に関して、今こそアメリカの政治家たちは、「本当の科学」と「透明性」を優先すべきです。
金儲けや政治的な思惑に基づく怪しい医療を、終わらせなければなりません。
キース・ノートン
(公共・規制対応コンサルティング会社共同創設者/元米ペンシルベニア州の政治コンサルタント)
(出典:米THE HILL)(画像:たーとるうぃず)
米国での指摘ですが、あいまいな定義とそれによる診断の結果、限りない増加が続き、本当に支援を必要とする方に支援が届かなくなる未来は避けなければなりません。
(チャーリー)