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自閉症・知的障害の支援にソーシャルロボットの可能性。研究

time 2025/02/13

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症・知的障害の支援にソーシャルロボットの可能性。研究
  • ソーシャルロボットは自閉症や知的障害を持つ人々のコミュニケーション能力をどのように向上させるのか?
  • ソーシャルロボットの助けが、社会的スキルや自己肯定感にどのように影響を及ぼすのか?
  • ソーシャルロボットの活用にはどのような課題や必要な工夫があるのか?

近年、医療や介護の現場でロボットの活用が進んでいます。

とくに、「ソーシャルロボット」と呼ばれる人とコミュニケーションをとることができるロボットが注目されています。
ソーシャルロボットは、すでに介護施設や自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもの療育などで活用されていますが、精神医学の分野ではまだ研究段階です。
しかし、最新の研究では、自閉症や知的障害を持つ人々への有効性が示唆されており、新たな治療法として期待が高まっています。

今回、オーストリアのグラーツ医科大学の精神医学・心理療法医学部の研究チームが、ソーシャルロボットの精神医学分野での活用について総合的に検証した研究を発表しました。
本研究は、医学系ジャーナル「Frontiers in Psychiatry」に掲載され、とくに自閉症スペクトラム障害(ASD)や知的障害を持つ人々に対するロボットの効果をまとめたものです。

ソーシャルロボットとは、人と対話したり、感情を表現したりできるロボットのことです。
会話ができるヒューマノイド型(人間の形をしたロボット)や、動物型のロボットなどさまざまなタイプがあります。

精神医学の分野では、ソーシャルロボットを患者のコミュニケーション支援やストレス緩和、社会的スキルの向上を目的として活用する試みが行われています。
しかし、これまでの研究は主に認知症患者向けのものであり、自閉症や知的障害を持つ成人に対する効果については十分なデータがありませんでした。

本研究では、ソーシャルロボットが精神医学にどのような影響を与えるかを検証するため、過去の研究データを分析しました。
具体的には、統合失調症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、知的障害を持つ成人を対象とした7つの研究を取り上げました。
その結果、自閉症や知的障害を持つ人々に対して、ロボットが次のような効果をもたらす可能性があることが分かりました。

1.ロボットを使った面接訓練が自信向上に役立つ

日本の研究チームが行った実験では、ASDの若者にロボットを使った模擬面接訓練を実施しました。
ロボットとの訓練を受けたグループでは、自己肯定感が向上し、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が減少したことが確認されました。
この結果は、ソーシャルロボットが社会的スキルの向上に役立つ可能性を示しています。

2.コミュニケーション能力の向上

別の研究では、ロボットが話しかけたり、動作を模倣することで、自閉症の成人がよりスムーズにコミュニケーションを取れるようになったことが確認されました。人間相手では緊張しやすい人でも、ロボットだとリラックスして会話しやすいというメリットがあると考えられます。

3.関心を引き、興味を持たせる

スペインの研究では、知的障害を持つ人々がNAOという小型のヒューマノイドロボットと交流することで、普段よりも高い関心を示し、積極的に関わろうとする様子が見られました。とくに、ロボットがインタラクティブな動作(ダンスやゲームなど)をすると、より楽しんで活動に参加していたと報告されています。

4.情緒の安定に寄与

オランダの研究では、アザラシ型ロボット「PARO」が知的障害者の感情を安定させる効果があるかを調査しました。
結果として、一部の参加者はPAROとの交流によりリラックスし、安心感を得られることが分かりました。
ただし、全員に効果があったわけではなく、個々の特性に応じたアプローチが必要とされています。

本研究の著者らは、ソーシャルロボットが精神医学において有望なツールであると評価しながらも、次のような課題を指摘しています。

  • 研究の規模が小さい: これまでの研究はサンプル数が少なく、効果を一般化するにはさらなる大規模研究が必要。
  • 個別対応が求められる: ASDや知的障害を持つ人々は個々の特性が異なるため、ロボットの機能やプログラムをカスタマイズする必要がある。
  • 人間の専門家との連携が重要: ソーシャルロボットは治療を補助するツールであり、医師やセラピストとの協力が不可欠。

研究チームは、今後さらに大規模な臨床試験を行い、ソーシャルロボットがどのように精神医学に貢献できるかを明確にしていく予定です。
また、将来的には、自宅や学校、職場など日常生活の中でも活用できるソーシャルロボットの開発が進められることが期待されています。

今回の研究により、ソーシャルロボットが自閉症や知的障害を持つ人々の生活を豊かにする可能性があることが分かりました。
まだ発展途上の分野ではありますが、技術の進歩により、より効果的で実用的なロボットが開発されることが期待されます。

(出典:frontiers)(画像:たーとるうぃず)

目覚ましく進化しているAIを取り込んだ、新しいソーシャルロボットの活躍を期待しています。

自閉症の子どもたちへのヒューマノイドロボット療育の可能性

(チャーリー)


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