
- 自閉症の子どもに医療的ケアが必要な場合、どのような支援が最も効果的でしょうか?
- 自閉症と医療的ケアを必要とする子どもを持つ家族は、どのようなサポートが必要とされていますか?
- 自閉症かつ医療的ケアを必要とする子どもに対する医療費の負担を軽減するためには、どのような政策が考えられますか?
アメリカで行われた最新の研究により、自閉症の子どもと医療的ケアを必要とする子どもとの間に深い関係があることが明らかになりました。
この研究は、米ドレクセル大学のフィリップ・H・スミス博士を中心とする研究チームが実施したものです。
研究チームは、2017年から2022年の「全米子ども健康調査」および2010年から2021年の「医療費パネル調査」という2つの全国規模の調査データを分析しました。
その結果、自閉症の子どもの約59%が医療的ケアを必要とする子どもに該当することがわかりました。
これは、自閉症ではない子どもと比べると23倍高い割合です。
逆に、医療的ケアを必要とする子ども全体の約41%が自閉症の診断を受けていました。
つまり、医療的ケアが必要な子どものうち約4割は自閉症であるということです。
この結果は、自閉症の子どもと医療的ケアを必要とする子どもの間に強い関連があることを示しており、これまで別々に扱われることが多かった両者の支援を統合する必要性を示唆しています。
さらに、この研究では医療的ケアを必要とする子どもと自閉症が重なる場合、医療費が大幅に増加することも明らかになりました。
- 自閉症のみの子どもの年間医療費の中央値:1,372ドル(約20万円)
- 医療的ケアを必要とする子どものみの子どもの年間医療費の中央値:3,842ドル(約57万円)
- 自閉症かつ医療的ケアを必要とする子どもの子どもの年間医療費の中央値:5,510ドル(約81万円)
自閉症でありながら医療的ケアを必要とする子どもに該当する子どもは、どちらか一方のみの子どもに比べても医療費がとくに高額であることがわかります。
また、全米の子どもの医療費総額の5.4%は自閉症かつ医療的ケアを必要とする子どもの子どもによるものであり、医療的ケアを必要とする子ども全体の医療費の49.6%、自閉症の子どもの医療費の77%を占めていることも明らかになりました。
これまで、自閉症の子どもには行動療法や教育支援が中心のサポートが提供され、医療的ケアを必要とする子どもには医療的なケアが主に提供されることが一般的でした。
しかし、この研究結果は、自閉症の子どもと医療的ケアを必要とする子どもの間に大きな重なりがあることを示しており、両者に対応できる包括的な支援が必要であることを示唆しています。
研究チームは、今後の医療や福祉政策に向けて、次のような課題を提起しています。
- 自閉症と医療的ケアを必要とする子どもの支援の統合
– 自閉症の子ども向けの支援と、医療的ケアを必要とする子ども向けの医療支援を連携させる必要がある。 - 専門的な医療・福祉サービスの拡充
– 自閉症と医療的ケアを必要とする子どもの両方に対応できる医療機関や福祉施設の整備が求められる。 - 家族への支援強化
– 自閉症であり医療的ケアを必要とする子どもでもある子どもを育てる家庭の負担は大きく、経済的支援や相談窓口の拡充が必要とされる。
この研究により、自閉症と医療的ケアを必要とする子どもの関連性がこれまで考えられていた以上に強いことが明らかになりました。
また、自閉症であり医療的ケアを必要とする子どもに該当する子どもは、とくに多くの医療費が必要であることも判明しました。
今後は、自閉症と医療的ケアを必要とする子どもを別々に考えるのではなく、両者に対応できる新たな支援体制の整備が求められます。
この研究は、子どもたちがより適切な医療と支援を受けられるよう、政策や医療体制を見直す重要な一歩となるでしょう。
(出典:Pediatrics)(画像:たーとるうぃず)
実態を把握することで、効果的、効率的な支援につなげるよう、願います。
(チャーリー)