- 自閉症の未診断であることに気づくためのサインは何ですか?
- スティミング行動が自閉症においてどのように役立つのでしょうか?
- 大人になってからの自閉症の診断や治療にはどのようなアプローチがありますか?
米カリフォルニア州を拠点に活動する心理学者のキム・セージ博士は、大人の「未診断の自閉症」が意外と一般的であると指摘しています。
博士自身も数年前になって初めて、自分が自閉症スペクトラム障害(ASD)の可能性が高いことに気づいたそうです。
米国では540万人以上、つまり人口の約2.21%が自閉症スペクトラム障害を持っています。
近年では自閉症の診断が増加傾向にあり、特に若い世代での診断が一般的になっています。
しかし、米ラトガース大学の研究によると、自閉症の10代の若者の約4分の1が診断されず、そのまま大人になっても気づかないことがあるとされています。
セージ博士によれば、「未診断の自閉症」を示す明確なサインの一つは「スティミング」(反復的な身体動作や行動)です。
自閉症関連のスティミングは、激しい行動、例えば頭を打つ、体を前後に揺らすなどのイメージが強いかもしれませんが、実際にはもっと微妙な形で現れることが多いといいます。
博士は髪をくるくると回す動作がスティミングの一例であると説明しています。
また、ペンダントやチェーンのアクセサリーで遊ぶ、柔らかい毛布を何度も触る、ペンのキャップを弄ぶといった行動も挙げています。
他には、口で音を立てる、爪を叩く、同じ曲や音を繰り返し聞くこともスティミングに該当する場合があります。
ただし、博士は「誰でも多少なりともスティミングをするものであり、それだけで自閉症とは言えません」と注意を促します。
それでも、自閉症の人々にとってスティミングは非常に落ち着きや自己調整の役割を果たすことが多いそうです。
カリフォルニア州のドレイク神経物理医学研究所も同様の見解を示しており、「自閉症のスティミングは、不安、退屈、興奮などを感じたときの対処法として機能します」と説明しています。
自閉症のスティミングは個人差があり、全ての自閉症の人がスティミングを行うわけではありません。
専門家によれば、スティミングは多くの場合無害であり、自閉症の人が自己を落ち着かせるための自然な行動です。
しかし、一部のスティミング行動、特に頭を打つ、蹴る、過剰な皮膚を摘むといった行為は身体的な怪我につながる可能性があります。
また、このような行動が周囲に誤解され、攻撃的な行動と見なされることもあるため、子どもや大人を問わず否定的な影響を受けることがあります。
「悪いスティミング」の治療には、行動療法、環境の変更、ストレス軽減ツール、さらには薬物療法が含まれることがあります。
大人になってもスティミングが続き、生活に支障をきたす場合には、治療を受けることで症状を軽減できる場合があります。
セージ博士は自閉症の特徴的な行動について解説しています。
たとえば、「敏感すぎると長年言われてきた」「慢性的に過覚醒で不安を感じやすい」「特に社会的な場面で自分がエイリアンのように感じる」といった特徴が挙げられます。
また、社会的な場面は非常にストレスがかかり、「その後に多くの回復時間が必要」になるとも述べています。
これは、自閉症の人々が社会的な合図を理解することや、複雑な社会的相互作用をこなすことが難しい場合があるためです。
この結果、不安や混乱、疲労感が生じることが多く、特に大勢の人が集まる場面や馴染みのない状況ではさらに悪化します。
そのため、一人で過ごす時間や、少人数で過ごすことを好む傾向があります。
研究によると、自閉症と自己免疫疾患の間には強い相関関係があることが示されています。
セージ博士によれば、未診断の自閉症を持つ大人は、アレルギー、自己免疫性結合組織疾患、慢性痛、消化器系の問題など、さまざまな健康問題を抱える可能性があります。
最後に、博士は自閉症が誤診されやすいことを指摘しています。
たとえば、双極性障害、うつ病、強迫性障害といった診断がなされることが多いそうです。
以前はアスペルガー症候群、自閉症障害、カナー症候群、小児自閉症、非定型自閉症、特定不能広汎性発達障害(PDD-NOS)などと細分化されていた自閉症の診断名ですが、現在では「自閉症スペクトラム障害」という総称で統一されています。
大人の自閉症への治療は個々のニーズや課題に応じたアプローチが可能です。
治療法には心理療法、カウンセリング、認知行動療法(CBT)、社会的スキルトレーニング、作業療法などがあります。
(出典・画像:英Mail Online)
スティミングは程度は違えども、誰もがしています。
「自傷」につながらなければ、無理になくす必要はないと思います。
なくすのではなく、うまくできるようになるといいですね。
(チャーリー)