- 自閉症の子どもたちは、社会的な状況でどのように顔を注視するのか?
- 自閉症における視線パターンの違いは、どのように社会的スキルの向上に寄与するのか?
- どのような方法で自閉症の人々の顔認識能力を改善することができるのか?
米ヒューストン大学の心理学研究者ジェイソン・グリフィンが、自閉症スペクトラム障害(ASD)の理解を深めるための新しい目の動きの測定方法を開発し、子どもたちが顔をどのように注視するかについての重要な発見を報告しました。
彼の研究によると、自閉症の子どもたちは、特に視覚処理の初期段階で、他の子どもたちとは異なる方法で顔を注視することが明らかになりました。
この成果は、自閉症の人々の顔認識能力を向上させる手がかりになるかもしれません。
私たちにとって、会話中に相手の目を見ることは自然な行動の一つですが、自閉症の人々にとってこれは大きな挑戦です。
自閉症は社会的コミュニケーションの特性に違いがあることで知られ、その一つに顔の認識能力の低下が挙げられます。
グリフィンの研究は、「自閉症の子どもたちは社会的な状況で、独自の視線パターンを示す」という仮説を検証することを目的としていました。
研究では、新しい分析技術を使って、自閉症児と神経発達が典型的な子どもたちの視線行動を比較しました。
その結果、自閉症児は、顔を見る際に「探索型」の視線パターンを使う傾向が高いことが分かりました。
このパターンは、顔以外の物体にも視線を向ける広い視野を持ち、即座に顔に注視しない特徴があります。
一方、「集中型」のパターンでは、顔の一部にすぐ視線が集中する傾向が見られました。
グリフィンによると、視覚処理の初期段階で顔を正確に注視する頻度が低いことは、自閉症の重要な特性の一つであり、症状と関連している可能性があります。
このような特性をより深く理解することで、自閉症の人々の顔認識能力を改善する手法の開発が期待されています。
また、グリフィンは、自閉症の青少年向けに目の動きを訓練するためのコンピュータゲームを開発するプロジェクトにも参加しており、これが社会的スキルの向上に役立つ可能性があるとしています。
グリフィンが自閉症研究に熱意を注ぐ背景には、彼自身の弟が自閉症だったという個人的な経験があります。
弟と一緒に遊び、共に成長する中で、自閉症に関する知識や理解を深めたと言います。
この経験が、彼を自閉症研究に駆り立てる大きな原動力となりました。
グリフィンの研究室では、現実世界に近い環境で自閉症の子どもたちの視線行動を研究する「自然主義的神経科学」というアプローチに力を入れています。
これには、モバイル視線追跡技術を使い、実際の会話や日常生活の中で顔を見る際の視線パターンを観察する試みが含まれています。
「最終的には、私たちみんなが生きているのは現実の世界です。だからこそ、現実の場面での視線行動を研究することが重要です」
この研究は、自閉症の人々が日常生活で直面する課題の理解と、それをサポートする手法の開発に大きく貢献する可能性があります。
グリフィンの研究は、自閉症の人々が社会的な場面で感じる困難を軽減し、より良い生活を送るための手助けとなるかもしれません。
(出典:米ヒューストン大学)(画像:たーとるうぃず)
「きょうだい」であるからこそ、使命感や情熱をもって研究に取り組まれているところもあるはずです。
ますますのご活躍と研究成果を期待しています。
(チャーリー)