- 自閉スペクトラム症を持つ子どもや大人は、どのように自分の体験を生かして他者を支えることができるのか?
- 特別支援を必要とする生徒たちのために、どのような環境づくりや支援が有効なのか?
- 家族や周囲の人々は、発達障害を持つ人々をどのようにサポートできるのか?
米オークパーク高校に通う高校1年生のイーサン・ディアは、自身の自閉スペクトラム症(ASD)の経験を生かし、同じ障がいに悩む人々を支援する活動を行っています。
16歳のイーサンは、カリフォルニア州サウザンドオークスにあるTemple Adat Elohimに所属するボーイスカウトの一員で、最近、イーグルスカウトプロジェクトを完成させました。
このプロジェクトは、彼が通っていたオークパーク高校で特別支援教育を担当していた元担任のジャネット・ブラウン先生に捧げたものです。
イーサンは、自身が自閉スペクトラム症と向き合ってきた経験に基づき、特別な感覚ボードを設計・制作しました。
このボードは、簡単にテントの形に変形するようになっており、特別な支援が必要な生徒たちが利用できるよう作られています。
自閉スペクトラム症(ASD)は、人との関わり方やコミュニケーション、学び方、行動に影響を与える複雑な発達障がいです。
アメリカでは約35人に1人の割合でASDの子どもがいるとされています。
このプロジェクトは、イーサンにとって、幼少期に大きな支えとなってくれたブラウン先生への感謝の気持ちを形にしたものです。
自閉症の子どもたちが直面する困難を理解したうえで、イーサンはこう言います。
「穏やかで刺激的な環境を作り、早期発達を助けるとともに、静かな休息を必要とする子どもたちが安心して過ごせる場を提供したいんです」
これは、テントのような空間になっており、教室の喧騒から離れて静かに過ごせる安らぎの場を提供します。
「感覚ボードは、若い心を落ち着かせ、興味を引きつける工夫が詰まった、エンジニアリングと優しさの結晶です」
そう、イーサンの叔母であるディーナ・ハイトは話します。
イーサンは、この取り組みがASDの生徒たちの生活をより良いものにし、さらにこのプロジェクトを通じて学校がASDを持つ生徒のニーズにもっと対応できるようになることを願っています。
「イーサンのプロジェクトは、個人的な経験が他者の生活を良くするための原動力になることを示しています。
彼のプロジェクトへの献身、ASDを持つ生徒たちを支える姿勢、そして全ての生徒が学べる包摂的な学びの環境を作る教師の重要性を理解する姿勢は、思いやりが多くの人の人生にいかに大きな影響を与え得るかを示しています」
イーサンは、さらに感覚テントを制作し、ここオークパーク学区内のすべての小学校に届ける計画です。
イーサンの母、キャリー・ディアさんはこう話します。
「イーサンは、神経多様性を持つ生徒が、神経典型的な世界で生き抜くのにどれほど苦労するかを身をもって知っています。
彼は自閉症コミュニティの声を届ける活動に取り組んでおり、1つの感覚テントを通じて世界を少しでも良い場所にしようとがんばっています」
(出典・画像:米THE Acorn)
このテントだけでなく、こうして作って活動していることも、大きな励み、希望になっていることに間違いありません。
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(チャーリー)