- 感覚過敏や鈍麻のある子供や大人の日常生活での困難にどのように対処すればよいのか?
- 環境を調整することで感覚的なストレスを軽減する具体的な方法は何か?
- 感覚に配慮した取り組みは、どのようにして多くの人々に利益をもたらすのか?
コーラル・ローダーは息子の幼少期を振り返ると、買い物のような日常的な行動でも簡単にパニックになることがあったと話します。
「音がとても大きく感じられて、息子は頭を打ちつけたり、自分を殴ったり、どうにかしてその場から逃げようとしたりしました。
いろいろな音が一度に入ってきて、圧倒されてしまうのです」
23歳になる息子のコーリーは、自閉症スペクトラムの多くの人と同じように、感覚情報を処理するのが難しく、感覚が非常に鋭敏です。
周囲の雑音や特定の食べ物、匂いなどが簡単に過剰刺激となり、日常生活を難しくすることがありました。
「スーパーで子どもがパニックになっていると、周りの人は『しつけがなっていない』と思うでしょう。
でも実際は、冷蔵庫の音や明かりのちらつき、床を歩く靴音を遮断することができないだけなのです。
聴覚が非常に鋭敏な人にとっては、そうした音がすべて頭の中を占めてしまい、動けなくなるのです」
オーストラリアではおよそ100人に1人が自閉症であり、その多くが感覚情報に対して通常とは異なる反応を示します。
自閉症スペクトラム・オーストラリアによると、こうした感覚の困難は自閉症の人の最大96%に影響を与える可能性があります。
非営利団体Amazeの最高変革責任者アレックス・ラザラス=プリーストリーは、感覚への過敏さだけでなく、感覚の不足も問題になることがあると指摘します。
「過敏症だけでなく、感覚が足りずにより多くの刺激を求める『感覚鈍麻』もあります」
これらの感覚のニーズは自閉症だけでなく、他の神経多様性や認知症、PTSDなどの症状を持つ人々にも影響を及ぼします。
「職場や公共の場で感覚に優しい空間をつくる際には、感覚のストレスを減らすか取り除くことを目指します」
そう、プリーストリーは述べます。
また、個々のニーズに応じて空間を調整する重要性も強調しました。
「たとえば、照明を調整できるランプや、さまざまな種類の椅子を用意することが考えられます。
感覚刺激を減らし、神経系をリセットすることで、過剰な刺激やパニックを避けることができるのです」
豪ビクトリア州バララット市では、地域の障がい者コミュニティと協力して作成された4年間の障がい者アクセスと包摂計画を実施中です。
「障がいを持つ方々の経験から得られる洞察には、いつも驚かされます」
そう、市長のトレイシー・ハーグレイブスは語ります。
「たとえば、視覚障がいがある人でなければ気づかないことや、移動に制限がある人が直面する問題など、私たちが考慮すべきさまざまな課題があるのです」
この計画の一環として、ビクトリアパークにある包摂的な遊び場には感覚に配慮したゾーンが設けられました。
「このゾーンは周囲からフェンスで区切られていて、小さな子どもを持つ親にとっても、道路に飛び出してしまう心配がないので安心です。
さらに感覚に配慮した設備も備えています。
遊歩道やシェルター、椅子、小さな丘、そして包摂性を考慮して設計された遊具などが揃っています」
ローダーによれば、スーパーでの「静かな時間」などの感覚に配慮した取り組みは、息子だけでなく多くの人々に役立っています。
スーパーのコールスとウールワースは、それぞれ2017年と2019年に一部の店舗で静かな時間を導入しました。
この時間帯には照明を50%落とし、店内ラジオやアナウンスを停止し、カートの回収作業を控えています。
「私たちが静かな時間にスーパーを歩いていると、息子のような子どもだけでなく、多くの高齢の方々にも助けになっていると感じました」
そう、ローダーは話します。
「高齢の方々は『素晴らしい取り組みだ』と言っていて、『自分たちにとっても音が大きすぎた』と喜んでいました」
(出典:豪abc)(画像:たーとるうぃず)
ちょっとしたことで、すくなくない方々が助かるのなら、多くのところで実施していただきたいと願います。
自閉症の人に「エレベーターとエスカレーター乗り放題」イベント
(チャーリー)