発達障害のニュースと障害者のハンドメイド

自閉症の子に「声」を。iPadがかなえたコミュニケーション

time 2024/11/12

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子に「声」を。iPadがかなえたコミュニケーション
  • 特別なコミュニケーションアプリは、どのように言葉を話せない子どもたちの意思表示を助けるのか?
  • 家族は、iPadによって日常生活がどのように改善されたと感じているのか?
  • 支援技術の導入が、子どもたちの社会的コミュニケーションにどのような影響を与えているのか?

米フロリダ州オカローサ郡にある小さな小学校、サウスサイド・プライマリー・エレメンタリーでは、iPadに特別なコミュニケーションアプリを搭載することで、言葉を話せない子どもたちが自分の気持ちや考えを伝えられるようになっています。
これにより、教室内外での生活が大きく変わり、早期の支援が実現しています。

昨年、エリザベス・ハバード先生のプリ・キンダーガーテン(未就学児)クラスで、先生はザイデンという生徒が朝から不機嫌であることに気付きました。
以前ならその理由を知ることは難しかったでしょうが、今年はザイデンがiPadを使って「襟付きのシャツを着替えたい」という意思を伝えることができました。
着替えた後、ザイデンはすっかり落ち着き、自由に動き回り、笑顔を見せました。
彼が自分の意思を表現できたことで、安心して過ごせるようになったのです。

このエピソードは、iPadとコミュニケーションアプリが自閉症を持つ子どもたちの生活をどれだけ変えたかを物語っています。
ハバード先生はこう言います。

「この子たちには伝えたいことがたくさんあるんです。
でも、私たちのように話すための神経経路がまだ発達していないだけなんです」

この学校では、3歳から小学2年生までの子どもたちを対象に、約1年半前から「TouchChat」というコミュニケーションアプリを搭載したiPadを使い始めました。
エイミー・ボウルズ校長によると、結果は非常に良好で、開始時167人だった生徒数は今では300人近くに増えています。

サウスサイド・プライマリーは1947年に創立され、もともとは小学5年生までの伝統的な小学校でしたが、今では特に障害を持つ子どもたちのための早期教育の拠点として機能しています。
現在、障害を持つ子どもたちのための16のクラスや、特別支援を必要とする子どもと健常児が一緒に学ぶクラスも設けられています。
ボウルズ校長はこう言います。

「小さなうちから子どもが自分の希望やニーズを伝えることができることが重要です。
それが画像でも支援技術デバイスでも言葉でも、とにかく早い段階で始めないと難しくなるのです」

ザイデンのお母さん、アシュリー・アレンは、このiPadの導入が大きな変化をもたらしたと語ります。以前は、ザイデンが何かを欲しいときには彼女を物理的に引っ張って伝えようとしていました。
しかし今では、デバイスを使って「チップスを食べたい」と言えば、アレンは要求をすぐに理解できます。
これにより、日常生活が格段にスムーズになったと言います。

この技術の導入は、家族での外出など、以前は難しかった活動にも広がっています。
今では、買い物に行く前にデバイスで「ウォルマート」や「パブリックス」と表示するだけで、ザイデンは買い物の準備ができ、スムーズに行動できるようになりました。

このテクノロジー導入のきっかけは、元スクールセラピストの紹介で、ハバード先生がAAC(拡大・代替コミュニケーション)デバイスに触れたことでした。
それまでは、プリントやラミネートされたカードを使って意思を伝える方法に頼っていましたが、選択肢が限られ、生徒が本当に伝えたいことを正確に把握するのは難しかったといいます。

今では、iPadのおかげで、生徒たちは自分の感覚的なニーズや助けが必要な場面を正確に伝えられるようになり、フラストレーションや行動上の問題も減少しています。
また、iPadがもたらす新しい可能性によって、彼らの隠れた能力が引き出されることもあります。
ハバード先生はこう言います。

「自閉症は必ずしも認知障害ではありません。
才能に恵まれた子どもたちが多く、機器がその才能を引き出しているのです」

また、こうしたテクノロジーを通じて、クラスの友達とやり取りしたり、遊具の順番を守ったりと、社会的なコミュニケーションも増えています。

「自閉症の子どもたちは言葉の処理方法が異なることがあるけれど、視覚で見せることで脳の異なる部分が活性化されます」

この学校では、必要な生徒がiPadを家庭に持ち帰り、新しい学校でも継続して使用できるようにしており、この一貫した支援が生徒にとって重要な意味を持っています。
ボウルズ校長は、今後さらに多くの教師がこうしたコミュニケーション技術を学び、より多くの生徒が支援を受けられるよう努めていく計画だとしています。

ハバード先生は、「誰かの生活の質を高めることにお金の価値は付けられません」と述べ、行動問題として見られがちな生徒が実はコミュニケーション手段を探していたというケースもあると指摘します。

この小学校では、今後も早期支援とコミュニケーションの強化に力を入れ、生徒の教育やその先の人生を豊かにすることを目指しています。

(出典・画像:米get the coast

現在は、特別な機器がなくても、誰もがよく使っている機器が助けてくれます。

iPadやiPhone,Macも最新のOSであれば、なんと標準で「目の動き」で操作もできます。

目の動きでiPadを制御する

うまく利用していきたいですね。

18年、話すことができなかった自閉症の女性をiPadが変えた

(チャーリー)


たーとるうぃずを「いいね!」をする。フォローする。

その他の最新の記事はこちらから
福祉作業所で障害のある方々がひとつひとつ、心をこめて作り上げた良質なハンドメイド・手作りの品物をご紹介します。発達障害の関連ニュースや発達障害の子どもの4コマ漫画も。
気に入ったものはそのままamazonで簡単にご購入頂けます。

商品を作られた障害のある方がたーとるうぃずやAmazonに商品が掲載されたことで喜ばれている、売れたことを聞いて涙を流されていたと施設の方からご連絡を頂きました。

ご購入された方からは本当に気に入っているとご連絡を頂きました。ニュースや4コマ漫画を見て元気が出たとご連絡を頂きました。たーとるうぃずがますます多くの方に喜ばれるしくみになることを願っています。


NPO法人Next-Creation様からコメント

「たーとるうぃず様で販売して頂いてからは全国各地より注文が入るようになりました。障がい者手帳カバーは販売累計1000個を超える人気商品となりました。製品が売れることでご利用者の工賃 UP にもつながっています。ご利用者のみんなもとても喜んでおります」

テキストのコピーはできません。