- 自閉スペクトラム症の子どもたちはなぜ特定の色を好まないのか?
- 色の好みが学習にはどのように影響するのか?
- 適切な色を選ぶことでどのように学習環境を改善できるのか?
自閉スペクトラム症(ASD)や発達遅延のある子どもたちが学習においてどのように色の好みが影響するかについてお話しする前に、まず、なぜ彼らがとくに黄色などの明るい色を好まないのか、その理由について考えてみましょう。
一般的に、発達に問題がない子どもたちは赤や青が好きです。
そのため、多くのおもちゃやアニメが赤色を基調にしているのです。
これは、赤などの色が子どもの興味を引きやすいからだとされています。
一部の研究者は、赤や青が感情の違いを識別する助けになると考えています。
たとえば、怒った顔や悲しい顔の違いを赤を通じて感じ取るという説もありますが、このメカニズムについてはまだはっきりとした答えが出ていないのが現状です。
では、特別な支援が必要な子どもたちの場合はどうでしょうか?
彼らの色の好みはどのようなものなのでしょうか?
長年にわたり、ASDや発達遅延のある子どもたちは一般的な色の感覚とは異なる色の感じ方を持っていることが親や教師から観察されています。
とくに緑色への執着が多くの研究で確認されています。
たとえば、あるASDの男の子が3年以上も緑色のストローを使って「スティミング」(自己刺激行動)を行っていたケースが報告されています。
また、2016年のフランスと日本の共同研究では、ASDや発達遅延のある子どもたちは黄色だけでなく、ピンクや赤に対する好みも低いことがわかりました。
これらの違いはなぜ生じるのでしょうか?
一つの原因として考えられるのが「過敏性」です。
ASDや発達遅延のある子どもたちは感覚が鈍感な部分もありますが、逆に過敏であることも多いです。
たとえば、音が過剰に強く聞こえて集中が難しくなったり、軽く触れただけでも痛みや不快感を覚えたりすることがあります。
同じように、一般の人が好きな明るい色にも敏感に反応し、苦手とすることが多いのです。
色の好みが重要なのはなぜでしょうか?
まず、不快な色は彼らにとってストレスとなり、集中力を妨げる可能性があります。
一方で、適切な色を使った教材は、作業効率や読解力の向上に役立つことが多くの研究で明らかにされています。
つまり、色の選択は非常に大切です。
ASDや発達遅延のある子どもたちにとって、適切な色の選択は感覚過負荷を避け、より良い学習環境を整えるために欠かせない要素です。
(出典:米Autism Parenting Magazine)(画像:たーとるうぃず)
色はたしかに影響を与えそうです。
うちの子は現在、金色が綺麗なコーヒーの缶を見ていることがお気に入りです。
(チャーリー)