- 体性感覚の処理がうまくいかないことが、どのような具体的な問題を引き起こすのか?
- 自閉症の人々における体性感覚の異常をどのように客観的に測定できるのか?
- 感覚処理の問題が日常生活や社会的な適応に与える影響はどれほど大きいのか?
神経発達に関わる疾患では、しばしば体性感覚の処理がうまくいかないことがあります。
研究者たちは、この感覚システムの欠如が何を意味するのか、そして自閉症の人々にどのような影響を与えるのかに注目し始めています。
私たちは、今、人との接触に少し敏感になっているかもしれません。
コロナ禍の社会的距離のルールで、人と触れ合う機会が減り、親しい友人との抱擁を求める人もいれば、触れること自体がウイルス感染の象徴だと感じる人もいます。
このような新しい「触れること」への反応が、もともと触覚を独とくに感じる人々の感覚に対する理解を深めるきっかけになるかもしれません。
自閉症は感覚処理障害と深く関わっています。
Leekamら(2007年)の研究では、調査に参加した自閉症の子どもの90%以上が、複数の感覚領域で感覚異常を示していることがわかりました。
触覚に対する防御反応、つまり「触られること」を過敏に感じることは、自閉症の子どもたちにしばしば見られる症状です。
たとえば、食べ物でないものを頻繁に口に入れること、特定の食感を強く好んだり嫌ったりすること、または自分から他人に触れたがる一方で、他人から触られることを嫌うといった行動が見られることがあります。
感覚処理障害を持つ人々は、日々の生活の中で触覚に対する過剰な反応に苦しんでいます。
ここでは、とくに体性感覚(触覚や痛み、温度、体の位置感覚などの感覚全般)に焦点を当てて話を進めます。
体性感覚システムは神経系の一部であり、痛みや温度、体の位置、そして触覚を感知・認識するために重要な役割を果たします(Jacobs, 2011)。
このシステムは、細かい動きや大きな動作の発達にも関与しており、皮膚だけでなく、筋肉や関節からも刺激を受け取ります。
体性感覚システムには、皮膚、筋肉、骨、腱などにある受容器とニューロンが含まれています。
これらは、体の位置や動きを脳に伝える情報を運びます。
これらの感覚情報の処理は、生存や環境との最適なやり取りに欠かせないものであり、社会的・感情的な機能にも関与しています。
言い換えれば、私たちの体性感覚システムは、周囲の環境の触覚的な特徴を認識し、それに反応することを可能にしています。
したがって、この感覚に異常があると、温度などの刺激に対する異常な反応が生じます。
感覚処理の問題は、行動や学習、日常生活にも影響を及ぼすことがわかっています。
そのため、自閉症スペクトラムにいる人々において、体性感覚がどのように影響されているのかを調べることが重要です。
自閉症における感覚の問題は、言語障害やコミュニケーションの困難さほど頻繁に研究されてきませんでした。
しかし、最近の研究(Dellapiazzaら, 2020年)は、自閉症スペクトラム障害において感覚処理の異常が一般的であるものの、その異常が適応の困難や行動問題にどのような影響を与えるかはまだ十分に理解されていない可能性があることを指摘しています。
この研究によると、感覚処理の異常が、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子どもの行動問題の大部分を説明できるかもしれません。
しかし、とくに体性感覚の問題に焦点を当てた研究はまだ少なく、さらなる調査が求められています。
たとえば、Büyüktaşkınら(2021年)の研究では、自閉症の子どもたちの体性感覚の違いに注目しました。
この研究では、自閉症の子どもたちは通常発達している子どもたちよりも触覚の識別閾値が高いことがわかりました。
この研究は、自閉症の子どもたちにおける感覚の違いを実際に測定する方法を提案しているため、重要です。
親たちが長年訴えてきたように、自閉症の子どもにおける感覚の問題が多くの行動上の困難の原因となっていることが、研究によって証明されつつありますが、課題はこれらの感覚の違いを客観的かつ正確に測定する方法を見つけることです。
Dellapiazzaら(2020年)の研究によれば、自閉症の子どもにおける感覚処理の異常を測定することは、臨床症状や自閉症の神経生物学的側面をより深く理解する手助けになる可能性があるとされています。
体性感覚と自閉症に関する研究が進み、感覚処理の課題を客観的に測定できるようになれば、感覚の問題に苦しむ自閉症の人々にとって大きな進展となるでしょう。
また、職業療法士などの専門家が、より効果的な治療法を提供できるようになるかもしれません。
親たちは、自閉症の子どもが痛みや温度に対して鈍感であったり、服のタグに異常なほど敏感だったりすることをよく報告します。
これらの感覚に対する異常な反応は、しばしば行動上の問題や社会的動機の低下につながります。
最後に、Dr. Lauren Oreficeの研究は、自閉症の理解に新しい視点を加えました。
彼女の研究では、脳の外側にある体性感覚ニューロンが、自閉症に関連する行動に影響を与える可能性が示されています。
彼女の研究が今後、自閉症症状の治療に役立つことが期待されています。
(出典:米Autism Parenting Magazine)(画像:たーとるうぃず)
抱えている困難が、ますます理解されるようになることを願います。
(チャーリー)