- PDAについての理解を深めるにはどうすれば良いのか?
- 子どもが学校に行くのを拒む場合、親はどのように対応すべきか?
- 低要求アプローチが子どもや家族に与える影響とは何か?
PDA(病的要求回避症)は、何かを要求されたときに極端な癇癪を起こすことが特徴とされていますが、専門家によると、これは要求そのものではなく、強い不安が原因だといいます。
4歳のステラは、頭が良く、ユーモアもあり、エネルギーにあふれています。
言語能力や認知能力は同年代の子どもよりも進んでいますが、これまで通ったどの学校でも苦労してきました。
ステラは2歳のときに自閉症と診断され、それ以来、母親のリンは、彼女に合った教育環境を見つけようと奮闘してきました。
最初は保育園、次に幼稚園。リンは入園前に必ず、自閉症スペクトラムの子どもに対応できるかを確認していましたが、うまくいきませんでした。
ステラは集団活動が苦手で、ルールに従うのも難しく、自分のペースを強く求めました。
しかし、それ以上に学校は彼女の健康に大きな影響を与えていました。
すべてが彼女を消耗させているように見えたのです。
「放課後に激しい癇癪を起こすようになりました」とリンは言います。
さらに悪化し、ステラは頻繁にお漏らしをするようになりました。
2歳でトイレトレーニングは済んでいたのにです。
また、食事を拒否し、爪を噛み、学校に行くときには泣き叫ぶようになりました。
「学校のドアを見ると泣いて、『お願いだから家に帰らせて。行けないよ。ママ、お願い、行かないで』と言うんです」
ステラはパニック発作を起こすようになり、学校以外の場面でも不安が広がっていきました。
何を試してもうまくいかず、リンは娘の状況を理解し、助ける方法を探すために、必死に答えを探し始めました。
そして、PDAというあまり知られていない状態にたどり着きました。
PDAは「病的要求回避症」の略で、臨床心理学者のナオミ・フィッシャーによれば、「日常生活での要求が強い不安を引き起こし、その不安に対処するために子どもたちは要求を避けようとする」状態を指します。
フィッシャーは自閉症と教育の代替アプローチに詳しい専門家で、PDAに関しても先駆者の一人です。イギリスではPDAは自閉症のサブタイプとして提案されていますが、アメリカではまだ正式には認識されていません。
要求とは、「靴を履いて」とか「夕飯を食べて」といった日常的なものから、「お腹がすいた」や「トイレに行きたい」といった身体的な要求まで含まれます。
その結果、子どもたちは受け身の回避をしたり、激しい癇癪を起こしたりします。
幼い子どもはよく癇癪を起こすので、普通の癇癪とPDAを区別するのは難しいことがあります。
「ポイントはその深刻さです。癇癪は、いろいろなことが積み重なって起こることが多いです」
そう、フィッシャーは言います。
たとえば、子どもが学校から帰ってきて、親が「今日はどうだった?」と聞くと、その一言で子どもが限界を超えてしまうことがあります。
「たったその質問が、その子にとってはもう一つの要求になり、癇癪が爆発するんです」
PDAの子どもたちはしばしば「わがまま」や「反抗的」と誤解されますが、フィッシャーはそれが不安に根ざした反応だと強調します。
「要求に対する強い不安が原因で、大きな反応や癇癪が起こるのです。自分がやりたいことでも、それが要求として感じられると、不安が募ってできなくなってしまうこともあります」
ある専門家は、PDAの子どもたちは非常に敏感な神経系を持っており、学校のように要求が多い環境で、すぐに「戦うか逃げるか、もしくは凍りつく」状態に陥ると指摘しています。
リンはPDAについて調べるうちに、これがまさに自分の娘のことだと思うようになりました。
そして、娘が学校に通うことで、深刻な不安やトラウマ、燃え尽き症候群に陥っているのではないかと心配するようになりました。
そこで、リンと夫、そしてステラのセラピストたちは「低要求アプローチ」を採用することにしました。
これは、ステラに対して要求を減らす方法です。
このアプローチは、リンにとって娘の見方や子育ての方法を大きく変えるものでした。
「これが娘の神経系の障害であり、彼女が『悪い子』ではないということを受け入れる助けになりました。
娘にはサポートが必要なんです」
そう、リンは言います。
フィッシャーは、低要求の子育てが「要求を完全になくすこと」を意味するわけではないと強調します。
「低要求アプローチの目的は、子どもの不安を減らして学べるようにすることです。最終的には、自分の不安の原因を理解し、対処法を学ぶための第一歩です」
リンにとって、この子育ての道は孤独なものです。
「私たちは孤立していて、娘も非常にストレスを感じています。毎日なんとか乗り切るだけで精一杯です」
ステラが通ったどの学校でも、適切な支援を受けることができなかったため、リンは途方に暮れました。
しかし、同じような状況にある自閉症やPDAの子どもたちが他にも多くいることがわかりました。
米モンタナ州の教育コンサルタントで、PDAや自閉症の子どもたちを支援しているザック・モリスは、「多くの家庭が同じ状況に直面している」と言います。
PDAの子どもたちは、学校に通うことで強い不安や恐怖を感じ、それが改善されないまま通学を続けることが、問題を引き起こすのです。
最終的に、多くのPDAの子どもを持つ親は、ホームスクーリングを選択します。
リンも同じように悩み抜いた末、ステラを自宅で学ばせることに決めました。
現在、ステラは学校や学校に似た環境を強く嫌っていますが、それでも学ぶことは大好きです。
リンはその気持ちを大切にしたいと考えています。
ステラを家で学ばせることで、パニックや不安はかなり改善されました。
(出典:米WHYY)(画像:た=とるうぃず)
子どもが行きたがらない。
本人はもちろんそれ以上ですが、親にとってもとてもつらいことです。
学ぶために学校に行くのに、学校に行けないために学ぶことができなくなったら、本末転倒です。
必要とする子にホームスクーリングはどんどん広がるといいと思います。
(チャーリー)