- 自閉症の人々の感情をより深く理解するためには、どのようなアプローチが必要ですか?
- 自閉症に対する社会的な偏見を減らすためには、何ができるでしょうか?
- 自閉症の人が自分の感情を表現するのを助けるために、周囲の人はどのように支援できるでしょうか?
自閉症の大人たちは、複雑な感情を体験しており、これは神経発達の違いを持つ人々へのより良い治療法の開発につながる可能性がある、と米ラトガース大学の研究者が述べています。
「高揚感や喜び、怒りってどんな感じ?」
ラトガース大学の研究に参加した自閉症の大人たちによると、たとえば高揚感は「ハチが飛び回っている感じ」、小さな喜びは「朝の美味しいコーヒーのよう」で「気分が上がる感じ」、怒りは「体が緊張してから頭痛が始まる感じ」だと言います。
一般的な認識やこれまでの研究では、自閉症の人々は感情を表現しにくい、あるいは感情反応が鈍いと言われてきましたが、ラトガース大学の研究では、自閉症の大人たちは実際には自分の感情を鮮明に、しばしば色彩豊かに表現できることが明らかになりました。
この研究は『American Journal of Occupational Therapy』に掲載されました。
「自閉症に関する私たちの認識がすべて間違っていたらどうでしょうか?」
そう、この研究を主導したラトガース大学健康専門職学部の作業療法学のアシスタント教授、アーロン・ダルマンは語ります。
「私たちは自閉症を問題視することばかりに時間を費やしてきましたが、実際に自閉症の人がどのように世界を感じ、体験しているのかを理解するための努力が足りなかったのです。
自閉症の人々が豊かな感情を持たないという一般的な考え方は、単に誤りです」
ダルマンは、自閉症の若い大人たちが感情をどのように表現し、他者とどのように関わっているのかを明らかにするため、また、自閉症の人と非自閉症の人の間にある感情のギャップを埋めるための戦略を模索するため、個々の体験を理解することを目的としたフォーカスグループを開催しました。
18歳から35歳までの自閉症の大人24名が、6回のビデオ会議形式のフォーカスグループに参加しました。
ダルマンが進行役を務め、感情がどのように身体に現れるか、治療セッション中に何を感じるか、そして他者に対してどのように感情を伝えるかなどについて話し合いました。
これらのセッションの記録は大学院生の研究アシスタントによって匿名化され、質的研究手法を用いて、個々の経験がどのように理解されるかを分析しました。
参加者たちは、一般的な「幸せ」や「悲しい」といった感情の言葉では、自分たちの複雑な感情を十分に表現できないと口を揃えました。
代わりに、感情を表現する際には、豊かで動的な言語を用い、従来の感情表現と身体的な感覚、とくにお腹に関する表現を組み合わせることが多いと報告されました。
また、自閉症の人たちは自閉症でない人たちとの間で「感情的な接触」を持つことが難しいと感じており、とくに自閉症でない人が自閉症の人の感情表現を誤解することが多いと報告されています。
「『今すごく幸せそうだね』と言われたことがあるんですが、そのときはただリラックスしていただけなんです。
私のどこがすごく幸せそうに見えたのかわかりません」
そう、ある参加者は語っています。
自閉症が初めて定義された当初から、人との関わり方に困難があることは自閉症スペクトラム障害の一般的な特徴とされてきました。
ダルマンは、セラピストや自閉症でない人たちが、感情に対する神経典型的(自閉症でない人たちの)な定義を自閉症の人に押し付けようとすると混乱が生じると説明します。
たとえば、笑顔は「幸せ」、しかめっ面は「悲しい」という固定観念が、自閉症の人には当てはまらないことが多いのです。
ダルマンによれば、アイコンタクトがその代表的な例です。
自閉症でない人にとって、目を合わせることは社交的な興味を示すものですが、自閉症の人には不快な体験であることがよくあります。
同様に、自閉症の人は感情を調整するために「スティミング」と呼ばれる反復的な行動(手を振る、揺れるなど)をよく行いますが、自閉症でない人たちにはそれが否定的に見られることがあります。
ダルマンの研究は、新たな自閉症治療戦略の可能性を示唆しています。
彼は、自閉症の人々のコミュニケーション方法を変えるようにするのではなく、自閉症の人々がどのように世界を体験し、感情を表現しているかを、周囲の人々が理解し合うことが重要だと述べています。
「すべての人を変える必要はありません。
しかし、教室や介護者の態度を変えて、自閉症の人々が何を伝えようとしているのか、どのように感情を表現しているのかを理解することを考えてみましょう。
私たちの社会が、自閉症のコミュニティメンバーの独自の視点や貢献を受け入れる時が来ているのです」
(出典:米ラトガース大学)(画像:たーとるうぃず)
「笑顔は「幸せ」、しかめっ面は「悲しい」という固定観念が、自閉症の人には当てはまらないことが多い」
うちの子も大きくなって、もう長い付き合いですが、話すことができないため、何をどう思っているのか今でもわからないことが多くあります。
笑顔にしていれば、幸せなのだろうと思って、私も幸せになるのですがそう言われるとやはり、不安でますますわからないようにも思ってしまいます。
それでも、困っていたらすぐに助けたいです。
これまでもそうでしたが、これからもずっと、
「自閉症の人々が何を伝えようとしているのか、どのように感情を表現しているのかを理解する」
そうしていきます。
(チャーリー)