- 自閉症スペクトラムの人々が抱える自殺リスクを軽減するためにはどのような対策が必要か?
- 自閉症スペクトラムの人々が直面する社会的な困難はどのように解決できるか?
- 自殺リスクを低減するために、家族やコミュニティはどのようにサポートできるか?
豪クイーンズランド大学が主導した研究によると、自閉症スペクトラムの人々は、自閉症ではない人に比べて自殺で亡くなる確率が約3倍高いことがわかりました。
この研究を率いたのは、クイーンズランド大学公衆衛生学部とクイーンズランド精神衛生研究センターのダミアン・サントマウロ博士です。
彼のチームは、約1500本の国際的な研究論文を系統的にレビューしました。
「私たちの目的は、自閉症スペクトラムの人々における自殺リスク、死亡率、そして自殺がもたらす影響を数値化することでした。
この研究にはいくつかの衝撃的な発見が含まれていました。
とくに、自閉症スペクトラムの人で知的障害のない人は、スペクトラム外の人に比べて自殺で亡くなるリスクが5倍以上も高いことがわかりました。
2021年には、自閉症スペクトラムの人々が抱える自殺リスクによって失われた合計寿命は、コカイン使用、狂犬病、精巣がんによる寿命の喪失を超えました。
さらに、2021年に全世界で発生した自殺の約2%は、自閉症スペクトラムの人々の自殺リスクが低ければ防げた可能性があります」
サントマウロ博士は、自閉症スペクトラムの人々が自殺リスクを抱えやすい理由はさまざまであると述べています。
「自閉症スペクトラムの人々は、いじめ、社会的な拒絶、偏見や差別を経験することが多く、これらはうつ病のリスク要因です。
また、教育の進展や就職、独立した生活、人間関係においても課題が生じることがあります」
サントマウロ博士は、この結果から、対策や予防策の重要性が浮き彫りになったと強調しています。
「自閉症スペクトラムの人々に対する自殺リスクを減らすための対策を講じることで、世界的な自殺による死亡率を大幅に減らすことができるでしょう。
また、自閉症スペクトラムの人々が抱える健康上の負担も軽減されるはずです。
こうした研究は、自閉症スペクトラムの人々にどのような問題が影響を与えているかを理解するために重要です。
こうしたデータがなければ、政策立案者や支援サービス提供者は、自閉症スペクトラムの人々における自殺リスクや影響を把握する手段を持てないでしょう」
この研究には、ディーキン大学、ラ・トローブ大学、レスター大学、健康指標評価研究所、ワシントン大学の研究者も参加しています。
研究結果は『Psychiatry Research』誌に掲載されました。
(出典:豪クイーンズランド大学)(画像:たーとるうぃず)
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・自閉症スペクトラムの人々は、自閉症ではない人に比べて自殺で亡くなる確率が約3倍
・自閉症スペクトラムの人で知的障害のない人は、自殺で亡くなるリスクが5倍以上
・2021年に全世界で発生した自殺の約2%は、自閉症スペクトラムの人々の自殺リスクが低ければ防げた可能性
世界における数字です。
この悲劇が広く知られ、多くの人に相手を尊重する対応を、そしてそうならないよう適切な支援が、すぐになされることを切に願います。
(チャーリー)