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自閉症傾向と「性別に特有の遊び」との関連。スウェーデン研究

time 2024/09/02

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症傾向と「性別に特有の遊び」との関連。スウェーデン研究
  • 性別に合わない遊び行動がある場合、子どもにどのような支援が必要か?
  • 男の子・女の子で遊び行動の特性が異なることは、どのような影響を与えるのか?
  • 自閉症傾向のある子どもに対して、遊び行動を理解することがなぜ重要なのか?

スウェーデンのカールスタード大学を中心に、ウプサラ大学やニューヨークのアイカーン医科大学の研究者たちが共同で実施した最新の研究が、7歳の子どもにおける性別に特有の遊び行動と自閉症傾向、さらに行動上の困難との関連性を明らかにしました。
この研究は、スウェーデンの「SELMAスタディ」という大規模な縦断研究の一環として実施され、合計718人の子どもたちが対象となりました。

幼少期における性別非適合的な行動は、心理的な苦痛や行動上の問題と関連することが知られています。
また、性別非適合や性別違和感と、自閉症スペクトラム障害(ASD)やそれに関連する特性との関連性も示唆されています。
しかし、これまでの知見は主に臨床的な集団に基づいており、一般集団における実態については十分に理解されていません。
そこで、今回の研究では、性別特有の遊び行動が自閉症傾向や行動上の困難とどのように関連しているのかを、一般集団を対象に検証することを目的としました。

この研究は、スウェーデンのヴェルムランド県で行われている「スウェーデン環境長期母子喘息・アレルギー(SELMA)スタディ」のデータを用いています。
このスタディは、妊娠中の母親とその子どもを対象とした縦断研究であり、妊娠初期に登録された6,658人の女性のうち、2,582人が参加を同意しました。
その後、子どもが約7.5歳になった時点で、彼らの遊び行動や行動上の結果に関するデータが収集されました。

遊び行動の測定には、「幼児活動インベントリー(PSAI)」という保護者が記入する質問票が使用されました。この質問票は、子どもの遊び行動を「女性的」および「男性的」に分類し、これらのスコアを合計して算出します。
また、行動上の困難や自閉症傾向を評価するために、「強みと困難質問票(SDQ)」および「社会的応答性尺度(SRS)」が用いられました。

この研究の結果、特に女の子において、男性的な遊び行動が強くなるほど、自閉症傾向のスコアが上昇することが明らかになりました。

具体的には、遊び行動の「複合スコア」が高い女の子では、社会的認知や社会的意識のスコアが有意に増加しており、これが自閉症傾向を示す一つの指標となっています。
また、こうした傾向は男の子よりも女の子において顕著に見られました。

さらに、性別特有の遊び行動と行動上の困難の関連性についても、興味深い結果が得られました。

女の子の場合、男性的な遊び行動が強くなると、行動上の問題、特に行動上の問題全体のスコアや過活動・不注意のスコアが増加し、友人関係における問題が生じることが示されました。

一方で、女性的な遊び行動が強い女の子は、行動上の問題が少なく、対人関係においてより協調的である傾向が見られました。

男の子の場合、女性的な遊び行動が強いと、特に友人関係において問題が生じやすいことが示されました。

また、男性的な遊び行動が強い男の子では、過活動や行動上の問題が増加することが確認されました。
このように、性別に関連した遊び行動が、子どもの心理的および行動的な発達に影響を与えることが示唆されています。

今回の研究は、一般集団における性別非適合的な遊び行動と自閉症傾向や行動上の困難の関連性を明らかにした点で、大きな意義があります。
とくに、性別に関連した遊び行動が子どもの発達に与える影響を理解することで、性別に関する固定観念や社会的プレッシャーが、子どもの精神的健康にどのように影響を与えるかを考察する新たな視点が提供されました。

この研究の結果は、子どもたちが性別に合わない遊び行動を示す場合でも、早期からの支援が重要であることを示唆しています。
とくに、自閉症傾向が見られる子どもたちには、性別非適合的な行動を容認しつつ、適切な支援を提供することで、より良い精神的健康と社会的適応を促進できる可能性があります。

この研究を主導したのは、ウプサラ大学のファティ・オゼル(Fatih Özel)博士、カールスタード大学のマルレーネ・ストラトマン(Marlene Stratmann)博士、ウプサラ大学のフォティオス・C・パパドプロス(Fotios C. Papadopoulos)博士、そしてアイカーン医科大学のカール・グスタフ・ボルネハーグ(Carl-Gustaf Bornehag)教授です。
彼らは、それぞれ異なる専門分野からこの研究に貢献し、今回の発見が子どもたちの発達と健康に与える影響についての新たな理解を提供しています。

研究チームは、今後も性別に関連した行動や発達に関する研究を続け、子どもたちがより良い社会的および精神的な発展を遂げるための効果的な支援方法を模索する予定です。
今回の研究は、子どもたちの性別に関連した行動の柔軟性を理解し、個々の子どもに合った支援を提供することの重要性を強調しています。

(出典:Plos One)(画像:たーとるうぃず)

1.女の子において、男性的な遊び行動が強くなるほど、自閉症傾向のスコアが上昇

2.女の子の場合、男性的な遊び行動が強くなると、行動上の問題、特に行動上の問題全体のスコアや過活動・不注意のスコアが増加し、友人関係における問題が生じる

3.男の子の場合、女性的な遊び行動が強いと、特に友人関係において問題が生じやすい

4.男性的な遊び行動が強い男の子では、過活動や行動上の問題が増加する

だそうです。

個人的には納得する気もします。

自閉症の女の子は診断が遅れることが多い。現れ方が違うため

(チャーリー)


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