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自閉症の症状が発熱時に改善する「発熱効果」の研究。米MIT

time 2024/05/16

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自閉症の症状が発熱時に改善する「発熱効果」の研究。米MIT
  • 自閉症の症状が発熱時に改善することがあるのはなぜですか?
  • 発熱効果を模倣して自閉症の症状を改善する治療法は開発されるのでしょうか?
  • IL-17aと自閉症の関係はどのようなものですか?

自閉症の症状が発熱時に改善することがあるため、それを治療に応用する研究が進められています。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学者と米ハーバード医科大学の免疫学者が「発熱効果」を調査し、その有益な効果を模倣する治療法の開発を目指します。

科学者たちは、長年にわたり親や介護者が報告してきたことを追いかけています。
自閉症スペクトラム障害を持つ一部の人々が感染による発熱を経験すると、自閉症関連の症状が改善することがあるようです。

マーカス財団からの新しい助成金を得て、MITとハーバード医科大学の科学者たちは、この現象を解明し、同様に症状を改善する治療法の開発を目指します。

「発熱そのものが引き金ではありませんが、『発熱効果』は確かに存在します。これは自閉症スペクトラム障害の症状を軽減する治療法を開発するための機会です」

そう、MITのピカワー学習・記憶研究所と脳・認知科学科の准教授であるグロリア・チョイは述べています。


チョイ准教授はハーバード医科大学の免疫学准教授であるジュン・ハーと共同でこのプロジェクトを進めます。
この2つの機関への助成金は3年間で合計210万ドルにのぼります。

「私の知る限り、『発熱効果』は発達上決定された自閉症の症状が顕著に、しかし一時的に改善する唯一の自然現象かもしれません。私たちの目標は、細胞や分子レベルでこの現象の仕組みを解明し、免疫学的な要因を特定し、広範な自閉症の人々に有益な持続的な効果を生み出すことです」

そう、ハー准教授は述べています。
マーカス財団は30年以上にわたり自閉症研究に関わり、啓発から治療、新しい診断機器の開発に至るまで幅広く取り組んできました。
マーカス財団の創設者で会長のバーニー・マーカスはこう述べています。

「私は長い間、自閉症の症状を治療し軽減する新しいアプローチに興味を持ってきました。チョイ博士とハー博士は大胆な理論に焦点を当てています。このマーカス財団の医学研究賞が彼らの理論を実現し、最終的に自閉症の子供たちとその家族の生活を改善することを願っています」

10年間にわたり、ハー博士とチョイ博士は感染と自閉症の関係を研究してきました。
彼らの研究によると、発熱に関連する有益な効果は、体温の上昇そのものではなく、感染時の免疫システムの分子変化から生じる可能性があります。

マウスを用いた彼らの研究では、妊娠中の母体の感染が、母親の微生物群の構成によって調節され、子孫に自閉症様の症状を引き起こす神経発達異常をもたらすことが示されています。

ハー博士とチョイ博士の研究室は、この効果がIL-17aと呼ばれるタイプの免疫シグナル分子の母体レベルの上昇に起因し、それが発達中の胎児の脳細胞の受容体に作用して、脳のS1DZと呼ばれる皮質の領域での過活動を引き起こすことを突き止めました。

別の研究では、母体の感染が後の人生で感染時に子孫がより多くのIL-17aを産生するように準備させることを示しました。

これらの研究を基に、2020年の論文は自閉症における「発熱効果」を明確にしました。
この研究では、妊娠中に母親が感染したことで自閉症の症状を発現したマウスが、感染時に社交性が改善することが示されました。
この発見は、人間での観察結果と一致しています。

研究者たちは、この効果がIL-17aという分子の過剰発現に依存していることを発見しました。
このIL-17aは、自閉症の影響を受けた脳の回路を落ち着かせるように見えました。

さらに、妊娠中に感染していない母親から生まれた自閉症様の症状を持つマウスにも、直接IL-17aを投与したところ、自閉症の症状の改善をもたらしました。

この研究は、IL-17aを追加投与することで「発熱効果」を模倣し、異なる原因を持つ複数の自閉症スペクトラム障害に対して同様の治療効果をもたらす可能性を示唆しています。

しかし、臨床的に実現可能な治療法を開発する前に、解決すべき重要な疑問が残っています。

IL-17aは正確にどのようにしてマウスの症状緩和と行動変化を引き起こすのでしょうか?

発熱効果は人間でも同じように機能するのでしょうか?

新しいプロジェクトでは、チョイ博士とハー博士はこれらの疑問に詳細に答えることを目指しています。

「発熱効果の背後にある科学を理解し、症状改善のメカニズムを知ることで、自然に発熱効果を経験しない人々でもそれを模倣できるだけの知識を持つことができます」

そう、チョイ博士は述べています。
チョイ博士とハー博士は、マウスを用いてIL-17aや類似の分子が引き起こす分子、細胞、神経回路の効果の連鎖を解明し、社交性の向上と反復行動の減少につながるプロセスを探求し続けます。
また、母体感染にさらされたマウスの免疫細胞がなぜIL-17aを産生するように準備されるのかをさらに深く掘り下げます。

人間での発熱効果を研究するために、チョイ博士とハー博士は、発熱に関連する症状を経験する自閉症のボランティアと経験しない自閉症のボランティア、および自閉症ではない比較対象のボランティアからサンプルを収集する「バイオバンク」を設立する計画です。
研究者たちは、血漿と便中のこれらの免疫システム分子と細胞反応を測定、分類、比較し、発熱効果の生物学的および臨床的指標を特定します。

研究が発熱による改善を経験する人々の免疫反応の明確な細胞および分子の特徴を明らかにすれば、研究者たちは実際の発熱を誘発せずにその効果を模倣する治療法を開発するための洞察を得ることができます。

免疫反応が脳でどのように作用するかを詳細に説明することで、治療法が同様の効果を生み出すように設計されるべき方法がわかります。
ハー博士はこう言います。

「この機会を得て非常に感謝し、興奮しています。
「私たちの研究が『波紋を広げ』、発熱反応の根本原因を発見する第一歩となることを期待しています。
いつの日か、私たちの研究に触発された新しい治療法が多くの家族とその自閉症児の生活を変える助けとなるかもしれません」

(出典:米MITピカワー学習・記憶研究所)(画像:たーとるうぃず)

自閉症の症状が発熱時に改善することがある「発熱効果」。

その原因の追求とその結果からの「症状の改善」へにつなげる研究です。

うちの子については、熱があるときは、ただ少しおとなしくなっていたかなというくらいですね。(ただ、調子が悪そう)

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(チャーリー)


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