- 面接や応募書類における差別的な質問や設計が、自閉症の人々の雇用にどのような影響を与えているのか?
- 自閉症の人たちが仕事を見つけたり維持するために、どのようなサポートが必要なのか?
- 雇用主や企業が、自閉症の人たちを受け入れるためにどのような改善を進めるべきなのか?
報告書によると、曖昧な面接質問や応募書類が、自閉症の人たちが仕事を得るのを阻んでいることがわかりました。
英国では最新の公式統計によると、障害を持つ人たち全体の53.6パーセントが就労している一方で、自閉症の人たちの就労率は30パーセントにとどまっています。
ある自閉症の人は、応募書類にチェックボックスを増やすことが面接を得る手助けになるかもしれないといいます。
英国政府は、職場における自閉症に関するロバート・バックランドの報告書で示されたすべての推奨事項を「支持する」よう雇用主に促しました。
自閉症は、人が世界をどのように認識し、他人とどのように交流するかに影響を与える発達障害です。
バックランドの報告書によると、イギリスには自閉症の診断を受けた人が約100万人います。
アダム・マーフィーは、自閉症と学習障害のある息子ライアンのフルタイムの介護者として20年以上過ごした後、今は仕事に就く準備ができていると言います。
しかし、マーフィー自身も自閉症であり、10月以来6つの仕事に応募しましたが、今のところ成功していません。
マーフィーは書類の記入が苦手なため、通常は雇用主に電話で応募質問を話し合うよう求めますが、拒否されることもありました。
「自閉症の人たちはみな異なっており、すべての人に合理的な調整を施すことはできない」
そうした返信もありました。
マーフィーは、応募書類に自由記述式のテキストボックスの代わりにチェックボックスを設け、面接の質問を事前に受け取ることなどが、自分には助かる方法だといいます。
サポートの要求が拒否されたことについて、こう言います。
「自閉症の人たちが応募するために、基本的な対応もしていないなら、自閉症の人は失敗してしまいます」
バックランドの報告書では、特定の職種において、自閉症の社員が定型発達の社員よりも生産的である可能性があるという証拠を示しています。
そして報告書は、企業と政府が次の5年間でどのような協力ができるかを示しています。
これには、19の推奨事項が含まれており、その中には次のようなものがあります。
- 雇用主指標に登録して、包括的なプロセスの設計に関するガイダンスにアクセスすること
- 自閉症のスタッフに焦点を当てたキャリア進展トレーニングを提供すること
- キャリアアドバイザーが自閉症の求職者に適切なアドバイスを提供できるようにすること
2010年の英国平等法では、雇用主が障害者を不当に選考から排除することを難しくし、障害のために著しい不利益を被っている人たちに対して合理的な調整をする義務を確立しました。
そして、すでに職場で自閉症の人たちを支援している企業もあります。
2019年に開業して以来、「カフェ・トラック」は120人以上の自閉症の人たちを有給の雇用および職場体験の支援を行っていきました。
元教師のトーマス・クリフは、自閉症の人たちの雇用の見込みが少ないことに「憤り」を感じ、この社会的な企業を設立しました。
トーマスは、職場をよりアクセスしやすくするために、企業を支援しています。
「自閉症の人を雇うことは、慈善事業というよりも、ビジネスとして良い選択になります」
ロンドン中心部の「キューブリンクス」は、ほとんど全員のスタッフが自閉症です。
この企業はバックランドの報告書に貢献した数百の企業の一つです。
そこで働く、ダーシー・アイザックスは仕事をするために様々な合理的な調整を受けています。
柔軟なスケジュールでパートタイムで働き、日中は静かな部屋を利用でき、ノイズキャンセリングヘッドフォンを使用しています。
「合理的な調整をしてもらうことで、安全で、私には価値があると感じることができ、会社に貢献できます。
私は、障害を持つただの女性ではありません」
そして、自閉症の人たちのユニークなニーズ、スキル、強み、弱みは、「定型発達の人たちと同じように」それぞれの人で異なるとダーシーは言います。
研究慈善団体オーティスティカの最高経営責任者であるジェームズ・キューザック博士はこう言います。
「自閉症の人たちを含む全従業員から最高の成果を引き出し、彼らが最高の状態でいられるようにするためには、雇用主は採用方法と社員のサポートの仕方を変える必要があります。
これは少数の人たちのための合理的な調整についてではなく、私たち全員が異なって考え、異なって働くため、全員に利益をもたらすための、変更です」
この報告書の作成を主導した、バックランドはこう言います。
「『ふつうの人』というのは存在しない。
そのことを、私は自閉症の子どもを、長い間育ててきた親として学びました。
そして、私はそうであることをうれしく思っています」
(出典:英BBC)(画像:たーとるうぃず)
「ふつう」は存在しない。
なお、「平均」も統計上だけの存在です。
みんな、それぞれが違うのです。
だからこそ、簡単に決めつけないで、それぞれの人を尊重してください。
(チャーリー)