- ペットとの触れ合いが人々のストレスを減らし、免疫システムを強化することは本当か?
- 子どもがペットを飼うことでアレルギーや喘息、糖尿病の発症リスクが本当に低下するのか?
- 発達障害を持つ子どもたちに、どのような効果がペットや動物との交流があるのか?
多くの人々はペットと一緒にリラックスするのを楽しみます。
かわいい猫とくつろいだり、遊び好きな犬を撫でたりすることで慰めを見つけるかもしれません。
また、カメや魚のような触れ合いの少ない動物と過ごすことでも、多くの人々は元気をもらいます。
米アリゾナ大学で、人と動物の絆を研究しているケリー・ロドリゲスはこう言います。
「ペットを飼う最大の利点の一つは、彼らがあなたに決して偏見をもたいないことです。
あなたが馬鹿げたことを言ったとしても、シャツにケチャップのシミがあったとしても、息が臭かったとしても気にしません」
多くの場合、ペットは単に私たちを見るだけで嬉しく思っています。
私たちに愛情を感じさせます。
動物からの愛情は、一時的な気分の向上をはるかに超える利益があるかもしれません。
ロドリゲスのような研究者は、ペットがストレスを減らし、人々の免疫システムを強化し、おそらく学習を助けることさえできると発見しました。
そのような利点をよりよく理解することが、人々が動物との時間を過ごすことにより心身の健康を改善するインスピレーションを与えるかもしれません。
米ワシントン州立大学の発達心理学者、パトリシア・ペンドリーはストレスの多い家庭環境が子どもたちの健康にどのように影響するかを何年も研究してきました。
最近の実験では、ペンドリーは動物と過ごすことが体のストレスシステムに測定可能な効果を持つかどうかを調べています。
ペンドリーの研究は、コルチゾールと呼ばれるホルモンに焦点を当てています。
人々がストレスを感じると、体はそのホルモンをより多く作り出します。
人々が落ち着いているときは少なくなります。
ペンドリーは、大学生が動物と過ごす前、その最中、そして後に唾液のコルチゾールを測定します。
ときには特別に訓練された介助犬がキャンパスに連れてこられることもあります。
地元の動物愛護協会が連れてきた猫や犬もいます。
学生たちは到着すると、唾液サンプルを提供するために管に唾を吐きます。
それから、次の10分間で次の4つのうちの1つの行動をします。
- 動物を撫でるために部屋に入ります。
- 列に並んで待ちながらペットを撫でる人を見ます。
- 動物の写真を見ます。(本物の動物は見ません)
- 写真も含め、まったく動物を見ません。
そうする10分間の間と後にコルチゾールを測定するために、さらに2回唾液サンプルを提供します。
動物を撫でた学生は、他のどのグループよりも10分後のコルチゾールレベルが低くなっていました。
ペンドリーは、動物との相互作用がオキシトシンのレベルを高めることによって体が作るコルチゾールの量を減らすと考えています。
オキシトシンはストレスシステムを落ち着かせるのを助けるホルモンです。
「動物をリズミカルに撫でている間、あなたの体はオキシトシンを作り出します」
しかし、動物に触れなくても、その反応を得ることができます。
他の研究によると、犬と目を合わせるだけで人のオキシトシンレベルが上がることが示唆されています。
ペンドリーが集める唾液サンプルのような形でオキシトシンを測定することが可能になったのはつい最近のことです。
まだ、高いオキシトシンレベルがどのようにコルチゾールレベルを下げるかについて詳細な研究はできていません。
しかし、ペンドリーは次のプロジェクトで両方のホルモンが動物との相互作用にどう反応するかを見る計画です。
動物が与えてくれる落ち着く効果は、特定の課題を克服するのに役立つことがあります。
たとえば、犬に声を出して読むことが、子どもたちの読解能力を向上させる手助けをするという研究結果があります。
犬に読むことは、生徒たちにサポートを提供し、新しいスキルを学ぶことに自信を持たせると考えられています。
2020年のオーストラリアの研究では、介助犬を学校に連れて行きました。
読むのに苦労している1年生と2年生が犬とマンツーマンのセッションを行いました。
彼らは動物に読み聞かせ、必要に応じて大人からの助けを受けました。
12週間の間に、子どもたちは読む能力が向上し、読むことに対する自信が増しました。
介助犬は、他のストレスの多い状況にある子どもたちを助けることもできます。
2021年の研究では、歯のクリーニングを受けている間の子どもたちの不安を、介助犬が減らすことがわかりました。
しかし、ロドリゲスが言うように、動物がどんな状況でも誰もが落ち着くわけではありません。
「これは少し残念なことを言うかもしれませんが、動物は万能の治療法ではありません」
彼女の研究では、動物がいつ助けになるか、そしていつそうでないかを見極めようとしています。
いつか、人々が頭痛がするときに頭痛薬を飲むように、不安なときにはそれを軽減するのに動物に助けてもらう、薬のような存在になることを望んでいます。
ロドリゲスの研究はすでに、精神的な課題を持つ人々に対して介助犬がどれほど助けになるかを示しています。
介助犬は単なるペットではありません。
彼らはその人を助けるために特別に訓練されています。
たとえば、トラウマを経験した人は不安や他の精神的な問題に苦しむかもしれません。
介助犬は、ロドリゲスが見つけたように、それらの問題を減らすのに助けになります。
特別な訓練を受けた犬でなくても、他の人たちが見つけたように、違いを生むことがあります。
イスラエルの約50人の若者を対象とした2021年の研究では、介助犬ではない犬との時間が気分に与える影響を調べました。
犬の訓練を1年間した若者は、外傷後ストレス障害からの不安と抑うつが減少したことがわかりました。
動物は、自閉症の子どもたちを助けることもできます。
この障害を持つ子どもたちは、感覚に圧倒されやすいかもしれません。
他の人とコミュニケーションを取るのに苦労することがあります。
介助犬は、彼らが動揺しているときに落ち着かせるために圧力をかけることができます。
また、子どもがその犬と交流したいと他の子どもたちが思ったとき、新しい人々に会うための機会を提供することもできます。
これらの犬は、子どもたちだけでなく、ロドリゲスの研究によると、親も安心させるのに役立ちます。
子どもを見守ってくれる犬がいると知っているだけで、親も心を休めることができるかもしれません。
そしてそれは、家族全体の関係を助けるかもしれません。
自閉症の子どもたちに感情的な支援を提供するのは犬だけではありません。
モルモットと交流した自閉症の子どもたちは、他の人と接近して交流する可能性が高くなると、2010年の研究でわかりました。
また、ペットと一緒に育った子どもたちは、ぜんそくを発症する可能性が最大40パーセント低下するかもしれません。
アレルギーを発症する可能性が28パーセント低下するかもしれません。
これらの発見は、フィンランドのヘルシンキ大学で子どもと青少年の健康を研究しているミカエル・クニップが主導した2020年の研究からのものです。
彼の別の研究では、犬と一緒に育つことで、1型糖尿病を発症する可能性が半減するかもしれないことがわかりました。
この病気では、体を食べ物を使うのに不可欠なホルモンであるインスリンを作る体の細胞を免疫システムが破壊します。
アレルギー、喘息、1型糖尿病はすべて免疫システムの問題から生じます。
ペットを飼うことは、子どもたちの免疫システムを強化することでこれらの状態を予防するのに役立つかもしれません。
免疫システムは、体に害を及ぼす可能性のある微生物や細菌と戦うように設計されています。
しかし、すべての微生物が有害なわけではありません。
生まれて早いうちに、免疫システムはどの細菌が害を及ぼすもので、どれがそうでないかを「学ぶ」必要があります。
正しく発達すると、免疫システムは有害な細菌にのみ攻撃します。
適切な訓練がないと、免疫システムは体の内外にある実際には脅威ではないものに反応し始めることがあります。それが、アレルギーや喘息、1型糖尿病を持つ人に起こります。
動物自体が私たちの免疫システムを訓練するわけではないかもしれません。
「家の中で犬や猫に早期に触れることは、健康な微生物への接触を増やすという考えです」
そう、研究を行ったクニップは説明します。
さまざまな微生物が外で動物の肉球や毛皮に付着します。
その後、動物はそれらの微生物を家に持ち込み、家族を細菌にさらします。
これらが、子どもたちの免疫システムを鍛えるのに役立ちます。
そのため、屋内だけで過ごすペットは、免疫に基づく病気に対する保護を提供しないとクニップは指摘します。
屋外の細菌を室内に持ち込む必要があるからです。
大きな動物、とくに犬は猫よりも免疫の利益を提供するようです。
「一般的に、犬は猫よりも大きいので、より多くの微生物を家に持ち込むからでしょう」
ペットから免疫システムの利益を得るのは、とても幼いときだけのようです。
たとえば、クニップの糖尿病の研究では、赤ちゃんの時に家に犬がいた子どもたちだけが糖尿病を発症する可能性が低くなっていました。
「人生の最初の3年間、特に最初の1年間が、免疫システムを訓練するために重要です」
ペットを飼っていない場合、どのようにしてその利点を得られるでしょうか。
家族と動物を飼うことについて話し合ってみてください。
「あなたと家族にとって適切な種類のペットを選ぶことが本当に重要です」
もしかしたら、犬や猫は選択肢ではないかもしれません。
面倒に感じるかもしれません。
その場合は、
「カメやハムスターのようなものを考えてみてください。
これらのペットもやはり交流できて楽しいですが、少し責任が少なくて済みます」
魚の水槽を眺めるだけの時間でも、いくらかのストレス解消になります。
2023年の研究では、病室に金魚がいる子どもたちは、いない場合よりもずっと不安や恐れが少なかったことがわかりました。
もし自分のペットを飼えない場合でも、動物と交流する他の方法を見つけることができます。
たまには猫カフェに行って、ちょっとした抱擁を楽しんだり、動物保護施設でボランティアをしたりすることもできます。
動物との交流は見合う価値のあるものだとロドリゲスは言います。
「でも、動物にも感情があります。
動物の境界と必要なスペースを常に尊重し、自分がされたいように扱うようにしてください」
(出典:米Science News Explores)(画像:たーとるうぃず)
本当にすばらしい存在です。
これまでずっとペットを飼うことができなくて、うちの子には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ハムスターくらいなら飼えるかも。
(チャーリー)