- 自閉症の子どもの行動改善に、膵臓酵素補充療法は効果がありますか?
- 自閉症の子どもが示す適応困難な行動をどうやって減少させることができますか?
- 食品の選り好みがある自閉症の子どもに対して、効果的な栄養補給方法はありますか?
米テキサス大学ヘルスサイエンスセンター(UTHealth)ヒューストンを含む32の臨床施設で行われた研究によると、高プロテアーゼ膵臓補充療法により、自閉症スペクトラム障害を持つ幼児の適応困難な行動、例えばイライラといった症状が改善しました。
この研究は、”Jama Network Open”に掲載されました。
「自閉症を持つ子どもはしばしば多くの適応困難な行動を共に持つことがあります。
たとえばイライラがそうです。
私たちはこれらの行動を副作用のリスクが低い方法で対処できるかどうかを知りたいと思っていました」
そう、UTHealthヒューストンのマクガバン医科大学で精神医学および行動科学の教授であり、UTHealthヒューストンの発達神経心理学クリニックのディレクターのこの論文の主著者であるデボラ・A・ピアソン博士は述べています。
ピアソン博士によれば、自閉症の子どもたちは食べる食品に選り好みがあり、しばしばパンやパスタのような炭水化物を好む傾向があります。
一方で、行動や認知機能に関連するセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を構築するために必要ないくつかのアミノ酸は、食品からのタンパク質の消化からしか得られません。
今回の研究では、合計190人の3歳から6歳までの子どもが参加しました。
試験の最初の二重盲検フェーズでは、92人の子どもたちが治療対象グループに無作為に選ばれ、食べ物に毎日3回900mgのマイクロカプセル化された高プロテアーゼ豚膵臓酵素を振りかけました。
比較対象となるグループの98人の子どもたちは12週間、食べ物に何の効果もないニセモノを振りかけました。
第二のオープンラベルフェーズでは、すべての子どもたちが24週間にわたり、同じその酵素を振りかけました。
12週間の結果によると、食べ物にその酵素を振りかけた子どもたちの親は、偽物を振りかけた子どもの親に比べて、子どものイライラ、過活動/非遵守、不適切な話し方の症状の顕著な減少を報告しました。
第二の24週フェーズでは、上記の行動だけでなく、無気力/社会的引きこもりにおいても顕著に減少が報告されました。
治療に関連した重大な有害事象は報告されませんでした。
ピアゾン博士はこう述べています。
「この研究は、神経伝達物質の合成に必要な必須アミノ酸の供給を強化すると考えられている、膵臓酵素の補充療法が、最小限の副作用で自閉症を持つ幼児の行動機能の改善に関連していることを示しました」
(出典:米テキサス大学ヘルス・サイエンス・センター・ヒューストン)(画像:たーとるうぃず)
セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を作るのに必要なアミノ酸を、食べ物のたんぱく質から分解して作る機能をもつ「膵臓酵素」を補充することで、自閉症の幼児がもつ問題を減少させることができたという研究です。
「酵素」というと、それ由来の健康食品が巷にいろいろ出回っていますが、「酵素」であれば何でもいいというわけではありませんので。
(チャーリー)