- アレキシサイミアとは何ですか?
- 自閉症の子どもたちが他人の感情を理解しにくいのはなぜですか?
- アレキシサイミアの治療方法はありますか?
一部の人たちは、想像できるあらゆる色合いで世界観を彩ることができます。
怒りのための燃えるような赤、悲しみのための癒しの青、喜びのための明るい黄色などです。
しかし、アレキシサイミア(失感情症)という状態の人たちは、表現力豊かな色をいくつか持っていません。
つまり、「感情においての色覚異常」と言えるような、アレキシサイミアをかかえ人生を送っています。
ほとんどの人は感情を見て認識できますが、アレキシサイミアの人たちはより限られた色彩、または全く色彩を持っていないと例えることができるでしょう。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の人たちは、平均よりもアレキシサイミアを持つ可能性が高くなっています。
親しい人たちを含め、他人の感情反応を読み取ったり理解したりするのが難しいことはめずらしくありません。
そして、この問題は幼い頃から始まることがあります。
最近の研究によると、感情を処理する能力は、子どもたちが両親についてどう感じるかに、主要な自閉症の診断よりも大きな影響を与えていました。
2020年のイタリアの研究者による調査では、自閉症の子ども24人と通常の発達をする子ども24人を募集し、子どもたちの言語的および非言語的IQを測定し、それぞれの被験者の両親への愛着や感情を認識し説明する能力を評価しました。
チームは被験者とその家族からの回答を一連のアンケートで集め、両グループ間の違いと予測要因を理解するためにさまざまな統計分析を行いました。
自閉症の子どもたちは感情を認識し表現することにより多くの課題に直面しました。彼らの約21パーセントがアレキシサイミアの閾値を超えたのに対し、通常の発達をする子どもは8.3パーセントでした。
自閉症の子どもたちは同年代の子どもたちと同様に感情を経験しながら、感情を理解し、表現し、説明することに苦労していることを示す、重要な発見です。
それでも、感情処理の限界にもかかわらず、自閉症の子どもたちは通常発達の子どもたちと同じレベルで両親への愛着を示し、通常発達の子どもと同様の安全感と信頼を示唆しています。
自閉症の子どもたちが、定型発達の同年代の子どもたちと同様に、強く安定した絆を形成する能力を研究結果で示したことは、自閉症の子どもたちが意味のある感情的なつながりを形成することができないという一般的な認識に反するものです。
そして、アレキシサイミアは、子どもの両親との関係についての認識を形成する上で重要な役割を果たしていました。
感情を処理する能力は、自閉症の診断自体よりも、親との絆をどのように認識するかにとって重要な予測因子となっていました。
自閉症で、アレキシサイミアのレベルが高い子どもたちは、他の子どもたちよりも、母親や父親との関係をより否定的に見られる傾向がありました。
米国国立衛生研究所によると、約10パーセントの人たちが病理学的と考えられるレベルでアレキシサイミアを経かかえていると考えられます。
とくに子どもたちにとって、感情認識の問題と自閉症のダブルパンチで生活することは、感情的および社会的な発達に有意な影響を与えることがあります。
米国国立衛生研究所の報告書は、高いレベルのアレキシサイミアを持つ人において、心理療法の可能性について伝えています。
アレキシサイミアのスコアが治療中に減少し、治療の成果が向上することと相関しているといういくつかの証拠も示しました。
認知行動療法や集団療法は、自分の感情を認識し、コミュニケーションするのを助け、感情情報を適応的に使用する能力を高める、有望な結果を示しています。
しかし、報告書はアレキシサイミア専用の治療法が顕著に不足していることを強調しました。
アレキシサイミアのための標的治療を開発することは、これをかかえる人たちの心理療法の効果を大幅に改善し、彼らに感情的および社会的な幸福へのより良いチャンスを提供することにつながります。
これはとくに子どもにとって当てはまります。先の研究の著者はこう指摘します。
「自閉症におけるアレキシサイミアは、感情処理だけでなく、親への愛着のように、社会性情緒発達の他の重要な領域においても重要です。
関係の質と子どもの情緒的能力を高めることを目的とした母親と父親を含む療育介入においては、アレキシサイミアを評価し、それに対処すべきです」
(出典:米Psychiartist.com)(画像:たーとるうぃず)
「感情処理の限界にもかかわらず、自閉症の子どもたちは通常発達の子どもたちと同じレベルで両親への愛着を示し、通常発達の子どもと同様の安全感と信頼を示唆しています。」
ずっと一緒にいても、不安があったりするので、ここがとても私にも重要で、うれしく思います。
(チャーリー)