- 自閉症を持つ子どもを育てる家族にとっての離婚率はどの程度なのか?
- 自閉症スペクトラム障害を持つ子どもが成長する過程で、親の離婚率が高まる時期はあるのか?
- 離婚のリスク要因として、親の教育水準や子どもの年齢、きょうだいの存在などはどのように関連しているのか?
自閉症は世界中の何百万人もの人とその家族に影響を与えています。
自閉症を持つ子どもたちの家族が直面する課題は多岐にわたり、早期介入や特別な教育ニーズから終生のサポートまでさまざまです。
これらの課題の中でも、研究者たちの関心を引いているのは、自閉症が家族のダイナミクスに与える影響です。
とくに、親の離婚への影響が注目されています。
最近の長期にわたる研究では、ほぼ30年にわたって自閉症の子どもたちの親の離婚率を調査しました。
この研究結果は、『the Journal of Family Psychology』に掲載され、これらの家族内で結婚の結果に影響を与える重要な要因について明らかにしました。
自閉症(正式には自閉症スペクトラム障害またはASDとして知られています)は、社会的な相互作用、コミュニケーション、行動に関連する幅広い症状や課題を特徴とする発達障害です。
自閉症を持つ人は、しばしば世界をどのように認識するかにおいて独自の強みや違いを持っています。
それは、それぞれの人ごとに異なる影響を与える終生の状態です。
研究者たちは、自閉症を持つ子どもたちの親の離婚率に光を当てることを目的にこの研究に取り組みました。
自閉症などの発達障害を持つ子どもを持つ家族は、しばしば独自のストレスや要求に直面することを認識していたからです。
自閉症を持つ子どものケアは感情的にも経済的にも負担がかかる場合があり、これらの要因は婚姻関係にプレッシャーをかける可能性があります。
これらの家族における離婚の発生率とパターンを理解することは、離婚リスクが増加する重要な時期を特定し、婚姻の安定性または解消に寄与する要因を把握するのに役立ちます。
この知識は、医療提供者、政策立案者、サポート組織にとって重要であり、これらの家族の特定のニーズに対応するための支援サービスを提供する際に役立ちます。
「私たちは、現在は成人した自閉症や他の神経発達障害を持つ人たちを2歳の頃から30年以上にわたって追跡して、彼らの家族とも連絡を取り続けています。
私たちは、これらの家族にとって時間とともに家族構造(離婚を含む)がどのように変化し、これに予測要因があるのかに興味を持ちました」
そう、この研究を行った米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のデビッド・ゲフェン医学校のキャサリン・ロード教授は言います。
この研究には、自閉症の子どもを持つ108の家族が含まれていました。
研究者たちは、結婚の状態、離婚時の子どもの年齢、親の教育、人種などの要因に関するデータを収集するために、アンケートや評価を組み合わせて使用しました。
また、これらの家族で離婚がいつ起こったかを追跡し、特定の期間がより高いリスクを持つかどうかを調査しました。
研究者たちは、自閉症を持つ子どもが30歳になるまでに親が離婚するリスクは約36パーセントであることを見つけました。
とくに2つの特定の時期に離婚リスクが高くなっていました。
子どもが生まれてから5年以内で、それらの離婚の約40パーセントが生じました。
約10〜15歳の間に、それらの離婚の約25パーセントが生じました。
重度の発達障害をかかえる子どもたちを持つ家族はそうではありませんでしたが、自閉症スペクトラムにある子どもたちの中で、認知能力や言語能力が高い家族の間では、10代になると離婚率が上昇する傾向が見られました。
「驚くべき発見は、思春期になると、自閉症の子どもたちがとても明るく、言語能力が高い場合、離婚率が増加し始めたことです。
これは、こうした青少年やその家族に対する緊張が高まり、明確な道が少ないためだと私たちは仮説を立てました」
そう、ロード教授は言います。
「一方、より重度の発達障害を抱える子供たちの家族では、この期間に離婚率が上昇することはありませんでした」
離婚リスクにはさまざまな要因が関連していました。
親の教育水準が低い家族や、子どもが生まれたときに若い母親を持つ家族は、離婚の可能性が高くなっていました。
人種による違いも見られました。
教育水準が低い有色人種の母親は離婚リスクが高いようでした。
また、自閉症の子の「きょうだい」の存在も離婚リスクに影響を与え、とくに13歳前後に顕著な影響がありました。
「異なる州や人口における離婚率を正確に判断するのは非常に難しいため、私たちは自閉症や発達障害のない家族の研究と比較できませんでしたが、ほとんどの離婚が子どもがとても幼い時期(5歳未満)に起こったことは言えます。
2人の自閉症の子どもを持つ家族は、離婚する場合は子どもが学齢に達したときでした。
離婚は資源が少ない家族(お金や教育が少ない)にとってより多くなっていました。
子どもの自閉症の影響の度合いとは関係ありませんでした」
この研究は貴重な洞察を提供していますが、いくつか考慮するべきこともあります。
対象となった家族のサンプル数は全自閉症の人口を代表するものではありません。
1990年代初頭の特定のクリニックに通った家族たちだけに焦点を当てています。
また、自閉症の診断の変化と増加する認識度が、現在の家族の自閉症体験にどのように影響を与えたかも考慮する必要があります。
しかし、こうした制約はあるものの、この長期研究は自閉症の子どもを持つ親の離婚率についての洞察を提供しています。
これは、これらの家族が直面する独自の課題を理解し、それに合わせてサポートサービスを提供する重要性を示すものです。
「多くの人たちが自閉症の家族の離婚率が非常に高いと言っています。
しかし、離婚率に関する州ごとや市ごとのデータがないため、この主張を慎重にする必要があります。
また、とても幼い子ども(3歳未満)を30年前にクリニックに連れて行って、助けを求めた家族を対象にした研究です。
こうした家族には、そうした行動をとれる強みをもっている可能性がありますが、それが簡単には測定できないのです」
これまでに私のまわりで見聞きした限りでは、たしかに多い印象はあります。
ただ、発達障害の子をもたない夫婦と比べてとくに多いかと問われれば、そうでもない気もします。
(調べたところ、日本全体の離婚率は約35パーセント前後でした)
(チャーリー)