- 1. 自閉症の人が感覚刺激行動をする理由は何だろうか?
- 2. 感覚刺激行動(スティミング)を止めるべきなのか?
- 3. 自閉症の人の幸せや表現を尊重することの重要性は何だろうか?
自閉症の子どもたちの感覚に刺激を与える行動を止めず、むしろ理解し、そうした子どもたちを応援する。
これを使命にしている母親がいます。
2人の子をもつ母親、ジェシ・ブラウンは息子が声を出して腕をばたつかせるところ、娘がディズニー映画のセリフを何度も繰り返すところの動画をSNSに投稿しています。
「以前、息子がこのように楽しそうに刺激しているときの動画を投稿したときに、多くの人に見せることに抵抗はないかと聞かれたことがあります。
まるで、隠して、見せないようにするべきだと言っているように」
そう、ブラウンはインスタグラムのキャプションに書いています。
「この投稿は、むしろ息子を応援したいと思ってやっています。
自閉症のすべてを受け入れ、受け入れることを促進したい。
その、自分の役割を果たすためです」
ブラウンの子ども、10歳の娘のライラ、8歳の息子のバディ、2人とも自閉症です。
ひんぱんに感覚刺激を行っています。
それは、自己表現にもなっています。
米クリーブランド・クリニック小児自閉症センターのキアラ・グレイバーはそうした感覚を刺激する行動「スティミング」は自閉症の子どもや大人だけのものではないと説明します。
「スティミングは反復的で制限的な行動パターンです。
何かを得るためにやっているわけでも、何かから逃れようとしてやっているわけでもありません。
年齢を問わず、誰もがそのカテゴリーに入る何かを持っています」
母親のブラウンは、子どもたちの刺激行動はさまざまで、多くの場合、その行動は肯定的な表現であり、心配するようなものではないと言います。
「バディは腕をパタパタさせるのが大好きなんです。
興奮しているときにパタパタします。
時には圧倒されているとき、怒っているとき、信じられないほど幸せなとき、そんなときに手をパタパタさせるんです。
また、大きな声を刺激にするときもあります。
私たちには意味不明の音声です。
私たちは『幸せノイズ』と呼んだりしています」
娘のライラは、エコーラリアとスクリプティング(台本に従うエコーラリアの一種)によって、ディズニー映画のセンテンスやフレーズを繰り返すことが多いといいます。
「エコーラリアとは、歌や映画、テレビ番組から聞いた言葉やフレーズを繰り返すことです
別の文脈で聞いたこと、あるいは昨日聞いたことで、それを繰り返して口に出すのです。
スクリプトは、『私は何かに対する特定の反応を学んだ』ことを示すようなものかもしれません。
たとえば、多くの子どもたちは、挨拶をするときや初めて誰かに会うときに決まってこう言うのです。
『こんにちは、私は〇〇です』
それは子どもたちが学んだ台本であり、その状況に適用しているのです」
そう、専門家のグレイバーは言います。
ブラウンは、子どもたちのこうした感覚刺激行動であるスティミングを止めさせることはありません。
むしろ、奨励しています。
「我が家では、もし子どもたちが感覚刺激行動をしていても、それが自分自身や周りの人に害を与えていないのであれば、その刺激を止めることはしません。
私はできる限り、それを応援します。
それがどんなに愚かに見えようとも、それが公共の場でどんなに気まずくなろうとも、子どもが感覚刺激を止めないようにすることのほうが重要です」
その背景にある考え方は、彼女が口にする言葉、 “Don’t hide their happy “(子どもから幸せを奪うな)に集約されています。
「幸せを奪わない。
もっと多くの人にこれを守ってほしいと願います。
世の中の発達障害の人たちがみんな幸せでいることが許され、存在することが許され、スペースを取ることが許されているのなら、どうして私の子どももありのままの姿で、ありのままの姿で存在してはいけないのでしょうか?
子どもたちは、他の人たちと同じように自分のスペースを確保しているだけです。
私は自分の子どもの幸せな状態を止めさせようとは決して思いません」
専門家のグレイバーも、感覚刺激行動は誤解されたり、敬遠されたりするべきではないと言います。
「スティミングについて、まず、それを止めなければならないというのは誤解です。
その人らしさの一種なんです。
凝視したり、からかったり、何かする必要はないんです」
(出典・画像:米GMA)
他の人の迷惑にならない、自分を傷つけない、ものであれば、私もうちの子の感覚刺激行動/スティミング/常同行動を止めたりすることはありません。小さなころからずっとそうです。
この方と同じで、うちの子にとって幸せに過ごしている時間であり、幸せに過ごすのに必要な大事な時間だからです。
また、話すことができないうちの子の感情を教えてくれる、唯一と言える表現でもあるからです。
変な目で見られても、別にかまいません。
(チャーリー)