- どのようにして自閉症の子どもが攻撃的になったときに落ち着かせることができますか?
- 自閉症の子どもの攻撃的な行動を防ぐためには、どのような方法が有効ですか?
- 公共の場で自閉症の子どもが攻撃的な行動をとった場合、周囲にどう対応すればよいですか?
親が直面する困難な状況の一つに、攻撃的な子どもを落ち着かせることができないときがあります。
親も恐怖や危険を感じ、周囲に人がいる場合は、気が気でなくなることもあります。
自閉症の子どもを持つ親は、闘争的な行動に出たときには子どもに特別な配慮が必要となります。
研究によれば、自閉症の子どもは同世代の子どもたちよりも攻撃的な傾向があるようです。
Autism Research誌に掲載された最近の研究では、自閉症の子どもは幼少期を通じて、言葉による攻撃性や破壊的な行動の強さがより高いレベルであることが示されています。
一方で、6歳未満の自閉症の子どもは、自閉症でない子どもよりも身体的な攻撃性が高いものの、年齢が上がるにつれて、自閉症でない子どもと同じレベルになることも示されています。
自閉症の子どもが成長することにともない、解消されるものであることは重要なポイントです。
米チルドレンズ・マーシーの小児科教授で、ダウン症・自閉症クリニックの共同リーダーであるダレン・オルセン博士はこう言います。
「自閉症の成人については、他人に対して攻撃的になるよりも、攻撃の犠牲になる可能性の方が実際にはかなり高い」
自閉症の子どもが攻撃性を示した場合、その状況を打開するために、次のヒントでオルセン博士がアドバイスします。
■ クールダウンさせる
親はつい、子どもの爆発を理性で抑えようとしがちです。
しかし、それがうまくいくことはほとんどありません。
話し合いで解決しようとしたり、もっと悪いのは、子どもの爆発する激しいエネルギーに応じたり、親がそれを上回る爆発をすると、より事態を悪化させます。
「余計に話したり、触ったり、刺激を与えたりしても、火に油を注ぐだけです」
このような状況を打開する一つの方法は、子どもの周囲の環境を変えることです。
たとえば、興奮させるような刺激の近くから子ども離すことは、刺激を少なくするよりも簡単かもしれません。
また、その子の限界を超えた刺激を特定できなくても、環境を変えることで、とにかくその刺激から逃れることができるかもしれません。
他の刺激が取り除かれた後は、深い圧力に癒やされる子どももいます。
また、何かを噛んだり、癒しの画像を見たりすることも効果的です。
ただし、親がその選択肢を優しく提示し、子どもに押し付けないことが条件です。
「親が落ち着く方法を教えることで、それが役に立つ子どもがいます。
しかし、他の子どもは、違うかもしれません。受け入れないかもしれません。
まず、わかりやすく優しいコミュニケーションをとることが最も重要です」
■ 子どもに理解してもらう
自閉症の子がパニックを起こしている最中は、子どもは口をきくことができません。
子どもが落ち着いてから、何が起こったのか、なぜ起こったのか、今後攻撃的な行動を防ぐにはどうしたらいいのかを整理し、対処する必要があります。
「攻撃性については、非常にシンプルでわかりやすい言葉で話すのが一番です。
たとえば、殴る、蹴る、噛むなどの暴力的な行動は許されないこと、その行動には論理的な結果が伴うことを、親がストレートに伝えてもよいでしょう」
そして、子どもが暴れたときには、反省し謝ってもらう必要があるかもしれません。
しかし、それらは過度に厳しかったり、恥ずかしいものにしてはなりません。
子どもの発達段階に沿ったものであることが重要です。
また、子どもが次にそうなってしまいそうなときに、代わりにできる選択肢を1つか2つ考えさせるよう提案します。
また、親が自分も同じように感じることがあることや、同じような状況で自分を調整するのに有効な方法を紹介するのも有効です。
親は否定的な行動に対処すべきですが、それ以上に子どもが健全な反応を示したときにも気づく必要があります。
「最も重要なのは、子どもが穏やかな行動を選択したときには、親はそれを見逃さずにほめることです。
子どもが攻撃的でないコミュニケーション方法を選択したときに、それが受け入れられるものだと理解することができれば、子どもにとっては自分自身を表現するために使用できるツールを持てたことになります」
■ 周りに伝える言葉を決めておく
子どもが攻撃的な行動をとれば、親も他人と関わるのが難しくなります。
状況が激しすぎて、リアルタイムで何をすべきかを、親も判断するのが難しくなります。
公共の場で子どもが攻撃的な行動を始めた場合には、冷静に対応するのは難しく、恥ずかしさや羞恥心が表面化して、親が「戦う」「逃げる」「固まる」状態になってしまうこともあります。
子どもが攻撃的な行動をとってしまったときに周囲の人に話すために、親は決まったセリフを用意しておくとよいかもしれません。
「うちの子はまだ感情をコントロールすることを学んでいる途中なんです」
「ちょっと休憩が必要なんです」
大げさにしたり、詳細な説明であったりする必要はありません。
必要なときに、親が躊躇せずにすぐに伝えられるような、一貫したものであればいいのです。
子どもが攻撃的になり始めたら、それを言うことによって、周囲の人も事情を理解し親がその子どもを見ていることを知ることができます。
■ 攻撃的になることを防ぐ
自閉症の子どもの攻撃的な行動は、ランダムで起こるのではありません。
最近の研究によれば、幼い自閉症の子どもの攻撃性は、感覚の過剰刺激によるフラストレーション、定期的な誤解、自分の感情を他人に表現することの難しさ、他人の感情を認識することの難しさに起因すると考えられています。
「攻撃的になってしまった瞬間に、もし彼らの脳の中に入って、その原因を知ることができたら、大きく助かるのですが」
そう、オルセン博士は言います。
何がきっかけで暴れるのかを理解できれば、子どもが攻撃的になる頻度を減らしたり、暴れることを完全に防いだりすることができます。
最も一般的な引き金となる刺激は、騒音や刺激的な質感のものです。
そして、そのような刺激に対処する能力が限界に達したとき、爆発してしまうのです。
暴れるきっかけを理解し、それを避けることに加えて、防ぐためのコミュニケーションも重要です。
声によるコミュニケーションが苦手な子どもであれば、非言語的な合図を拾い上げるのです。
要求やニーズをすぐに満たすことができなくても、少なくとも理解しようと素早く対応することに効果があります。
しかし、以上の方法を試しても、子どもが攻撃的になってしまう場合には、親には自分を責めないでほしいとオルセン博士は言います。
「一部の子どもたちは、コミュニケーションの手段として攻撃性を使用する傾向があります。
できる限りのことをしている親たちに心から同情します。いつも心配し努力していることを知っています」
うちの子にも小さな頃のある一時期、よく噛みつかれました。
幸い、すぐに止みました。その後は一切噛むことはありません。
自傷や他害にまでいたると本当に深刻な事態です。
(チャーリー)