- 自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ兄弟姉妹は、なぜ有意義なつながりを築けないのか?
- 兄弟姉妹の関係に相互性がないことに悲しみや苛立ちを感じるケースはあるのか?
- 自閉症の可能性がある兄弟姉妹との有意義な関係を維持することは可能なのか?
これまで、心理学分野の研究により、兄弟姉妹間の疎遠の根本的な原因が数多く特定されています。
虐待、トラウマ、両親の死、経済的な問題、薬物使用障害や精神衛生上の問題、政治的な違い、高い競争意識の関係などがそれにあたります。
しかし、このような一般的なカテゴリーにうまく当てはまらない場合もあります。
疎遠になっている兄弟姉妹は、なぜ有意義なつながりを築けないのか、混乱することになります。
兄弟間の距離や疎遠の原因として、未診断の自閉症スペクトラム障害(ASD)もその一つと考えられます。
成人の自閉症に関する最近の研究では、アメリカの成人の2.2パーセントが自閉症スペクトラムの状態にあると推定されています。
米国疾病管理予防センターは、18歳以上の540万人、つまり約45人に1人がASDであると推定しています。
近年、認知度の向上により子どもや大人が診断されやすくなったため、自閉症と診断される人の数が急増しています。
高機能自閉症、特に平均以上の知能を持つ大人は、人生の後半に診断されることも多くあります。
彼らは高機能自閉症が診断に含まれるようになる前に生まれたり、また多くは、自分の自閉症的特徴を隠したり、何とか隠したりしてきました。
子どもが診断されてから、自分自身であも自閉症であることに気づく親もいます。
ある女性が体験談を次のように語りました。
「姉は感情的になり、いつも私を遠ざけました。
そのため、私は姉と意味のあるつながりを持つことができませんでした。
姉の考え方は白黒とてもはっきりしていて、妥協することができず、その気もありませんでした。
私は孤独で拒絶されているように感じました。
私は学校の教師として、自閉症の生徒を教えていました。
その時、私はピンときたのです。
これまでの姉のことを考えると、自閉症の症状だと思えたのです。
姉は診断もされず、支援も受けられませんでした。
私たちはオーストラリアに移住したイギリス人なので、親戚の多くは近くにいませんでした。
そのため、自閉症的な行動に関して、参考になる家族はいませんでした。
最近になって、イギリスで多くのいとこが自閉症スペクトラムと診断されていることがわかりました。
この家族の謎を追究した自分を誇りに思います」
また、ある人は、兄が自分と距離を置き、関わりにくくなっている要因として、自閉症を考えたことはありませんでした。
しかし、甥が自閉症スペクトラムと診断されて、兄の行動が甥の症状と同じようであったことに気づきました。
「兄は、私が望むような感情的なつながりを持つことができないだけ、だとわかりました。
今は、それ以上のことを期待せず、ありのままの兄を受け入れることができるようになりました」
自閉症は発達障害の一つです。その症状や重症度は多岐にわたります。
しかし、一般的には、行動、コミュニケーション、社会的な問題を幅広く引き起こします。
自閉症の人は、以下のような行動指標をいくつか、あるいは多く示すことがあります。
- 社会的な関わりを持つことが難しく、一人の時間を要求する
- 感情的になっているように見える
- 異常な感覚反応や嗜好がある(光、音、布や食べ物の質感に敏感であるなど)
- ある特定の事柄に強い関心を持ち、他の事柄を排除してしまう
- 集中力や整理整頓が苦手で、特に興味のないことには集中できない
- 日課が決まっており、変化が起こると暴れる
- 変化や移り変わりが苦手
- 感情的なコミュニケーションを処理するのが難しく、圧倒されてしまう
- 表情、ボディランゲージ、社会的な合図を解釈するのが苦手である
- 自分の内面や他人の感情についての知識や表現に苦労することがある
- 自分が家族の一員であると認識することができない
- 自分の子どもと関わること、または子どものニーズに対応することが難しい
- 感情をコントロールするのが難しい
- 会話というより、「講義」になる
- 不安、うつ、ADHD、学習の遅れや障害など、精神衛生上または神経発達上の問題の症状で苦労している(ただし、これらに限定されない
子どもの一人が自閉症である場合、家族内のストレスは相当なものです。
多くの場合、定型発達の兄弟姉妹「きょうだい」(同世代の子どもたちと同じような脳の働きをしている人たち)にとって最初の手がかりとなるのは、その子の孤立感です。
いくつかの研究によると、自閉症の人の定型発達のきょうだいは、しばしば孤独感や抑うつ感を感じています。
兄弟姉妹の関係に相互性がないことに悲しみや苛立ちを感じ、兄弟や姉妹とのつながりが希薄であることに喪失感を抱いている人もいます。
多くの障害や病気と同様に、家族の生活は、たとえ軽症であっても、自閉症を持つ一人の人間を中心に回っているように見えることがあります。
そのため、自閉症の子どもよりも親の時間や注意を受けられない(または受けていると感じる)と、定型発達のきょうだいには憤りが生まれます。
幼少期には兄弟姉妹の困難の根源を特定できなかったものの、大人になってから、自閉症の可能性がある兄弟や姉妹と有意義な関係を維持することは単に不可能だと気づいたとき、きょうだいの状況が深刻になるのです。
明らかに、自閉症の可能性は、疎遠になってしまった兄弟姉妹は真剣に検討するべきものです。
このテーマは研究の余地も多くあります。
(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay)
うちの子は重度の自閉症、知的障害があり話すこともできません。
きょうだいが小さかった頃、
「一緒にいても、話したり、遊べなくてつまらない」
そんなことを言っていました。
小さな子からすれば、それはそうだと思います。
それでも、ずっといろいろな場面で優しくサポートしてくれました。
また、うちの子もよくニコニコ笑顔できょうだいの顔をよく見ています。
言葉を口にできなくても、大好きなんだと思います。
そんな、「きょうだい」の関係もとても素敵だと思っています。
発達障害の子のきょうだいは他人の考えや感情を理解する力が高い
(チャーリー)