- 自傷行為のリスクが最も高いのはどのような人なのか?
- どのような子どもが最も深刻な自傷行為に至る可能性が高いのか?
- 深刻な自傷行為のリスク要因は主に何に関連しているのか?
アメリカの子どもたちや10代の若者たちの間で、自分の体を切ったり燃やしたり、壁に頭をぶつけたり、髪を抜いたり、さらには自殺で死のうとする人が増えています。
自傷行為のリスクが最も高いのはどのような人なのかを把握することは、これまで困難な課題となっていましたが、医師たちが最も危険な状態にある子どもや若者を特定するのに役立つリスクプロファイルを開発しました。
「米国は精神衛生上の危機の真っ只中にあり、過去数年間、精神衛生上の診断と入院が急増し、これらの入院の多くは、自傷行為や将来の自傷行為の懸念によるものです」
そう、米テネシー州ナッシュビルのヴァンダービルト大学モンロー・ケア・ジュニア子供病院の小児科と病院医学の助教授、ジェームズ・アントーン博士は言います。
「自傷行為は、腕や太ももを切るような軽いものから、死ぬほどの量の鎮痛薬を飲んだり、窓から飛び降りたりするなどまであります。
私はどんな子どもに、入院してより集中的な治療や監視を必要とするかを調べたいと考えました」
米国では、精神的な問題を抱えた子どもたちのための入院ベッドが顕著に不足しています。
状況はさらに悲惨なものとなっています。
どのような子どもが最もリスクが高いかを知ることで、限られた資源をより有効に活用することができるとアントーン博士は指摘します。
アントーン博士らの研究チームは、年齢、性別、精神疾患や医学的状態に基づいて、深刻な自傷行為に関する4つのリスクプロファイルを作成しました。
2016年4月から2020年3月まで、2つの小児病院で精神科の理由で入院した約1100人の子ども(そのうち37パーセントが自傷行為のために入院)についてのデータからです。
その結果、ADHD、双極性障害、自閉症スペクトラム障害、またはその他の発達障害を持つ10歳から13歳の男の子は、入院が必要な深刻な自傷行為に及ぶ可能性が80パーセント高くなっていました。
一方、うつ病や不安障害、トラウマ関連障害、人格障害や摂食障害を持つ14歳から17歳の女の子も、深刻な自傷行為のリスクが高いことが明らかになりました。
この研究調査では、深刻な自傷行為の大半を自殺未遂が占めていました。
また、研究チームらの予想に反し、深刻な自傷行為のリスクが中程度の子どもは、必ずしもうつ病ではありませんでした。
「自殺願望があるなら、うつ病に違いないと思われがちですが、不安障害など、自傷行為や自殺の原動力となるものは他にもあるのです」
本研究は、「Pediatrics」のオンライン版に掲載されています。
米ボストンのマクリーン病院の臨床サービスディレクターであるエリザベス・ベイリーも、子どもや若者が自傷行為をしようとする理由はたくさんあると言います。
「自傷行為は、個人の自己調整または圧倒的な感情の制御、無感覚や空虚な感情からの脱出、または自分自身を罰する目的のために行われます。
また、自分の苦しみについて他人に伝える暗黙のコミュニケーションの形式ともなります」
しかし、子どもたちは腕の傷跡を隠すために長袖を着たりして証拠を隠すので、自傷行為の兆候を見つけるのは必ずしも容易ではないと言います。
それでも、気をつけるべきことはいくつかあります。
「外向的で社交的な子どもが突然引きこもったり、学業に熱心で成績優秀な子どもが一定期間課題を終わらなくなったりするのは、始まりかもしれません」
自傷行為は、メディアでは女の子や女性の問題として描かれることが多くなっていますが、今回の研究には参加していないマクリーン病院のアンナ・プレヒはこう言います。
「最も自傷行為リスクの高い子どもたちは、不安やうつ、そしてADHDや行為障害などの外在化行動を含む他の精神疾患を持つ10〜13の男の子であるという発見は、診断や性別に関係なく自傷行為を評価することの重要性を強調するものです」
(出典:米MedicineNet)(画像:Pixabay)
危険性が高くなることを、知っておいてください。
注意し、子どもを守ってください。
自閉症の少年は3倍ADHDの子は4倍、自傷行為の危険性。研究
(チャーリー)