- 自閉症の子どもが攻撃性を示す割合や特徴は何か?
- 攻撃性が自閉症の子どもとその家族にどんな影響を与えるか?
- 自閉症の子どもの攻撃行動を理解することが、どのように支援やケアに役立つのか?
自閉症の子どもの少なくとも半数は、殴る、蹴る、罵倒するなどの何らかの攻撃性を示すことがありました。
親たちはそうした子どもの行動に対処し、社会に参加できるように子どもを支援しようとしています。
しかし、自閉症の子どもの発達状態に伴う攻撃的行動を示す割合や特徴については、十分にわかっていませんでした。
米カリフォルニア大学の家族・地域介入研究室の研究者は、自閉症の子どもと自閉症でない子どもについて、3つの重要な発達期間におけるさまざまなタイプの攻撃行動について比較しました。
その結果、自閉症の子どもは自閉症でない子どもよりも、ひんぱんにより強い攻撃性があることが親の報告からわかりました。
「攻撃性は、自閉症の若者とその家族が多く直面し、深刻な問題が表れていました」
そう、今回の研究「Understanding aggression in autism across childhood」を行った、ローレン・クエッチ心理学助教授は言います。
「自閉症の子どもの特有のニーズに関する知識は、過去数十年の間に飛躍的に成長しましたが、まだまだ先は長いのです。
自閉症の青少年の生活において攻撃性が果たす役割を理解することは、ケアのギャップにうまく対処するのに役立ちます」
2020年12月から2021年3月にかけて、クエッチ助教授たちは、450人の自閉症の子どもと432人の自閉症でない子どもの定量的・定性的データを集めました。
データは6歳未満、6~12歳、13~17歳の年齢の3つのグループに分けられました。
これらの主要な発達段階において、攻撃的行動と破壊的行動に関する複数の養育者の報告にもとづいた指標で、子どもたちを比較しました。
その結果、3つの発達段階すべてにおいて、自閉症の子どもの言語的攻撃性と破壊的行動の強さがより高いことが明らかになりました。
また、6歳未満の自閉症の子どもは、自閉症でない子どもに比べて身体的攻撃性のレベルが有意に高くなっていました。
しかし、身体的攻撃性のレベルは、年齢が上がるにつれて、自閉症でない子どもたちと同等になりました。
質的調査からは、自閉症でない子どものほうが、怒りをコントロールしながら表現することが多かったのに対し、自閉症の子どもはすぐにカッとなってしまう傾向が見られました。
「これは、いくつかの要因によると思われます。
定期的に誤解されることによるイライラ、他人の感情を認識することや自分の感情を他人に表現することの難しさ、感覚の過剰刺激、さらには胃腸の問題による身体の不快感や不規則な睡眠パターンによる疲労など、併発する健康問題も、すべて攻撃性に寄与すると考えられます」
この研究は、国際自閉症研究学会の機関誌「Autism Research」に掲載されました。
うちの子は深刻なものではないと思いますが、
家族にはこんな苦労があることも、知っておいていただければと思います。
(チャーリー)