- 家族旅行をする際、自閉症の子どもが安心できる環境をどう整えるのか?
- 自閉症の子どもとの旅行を成功させるためには、どのような段階的な準備や計画が必要なのか?
- 旅行業界がどのようにして自閉症の子どもやその家族をサポートしているのか?
ニコール・ティボーは、長男を出産したとき、家族で旅をすることを誓いました。
しかし、息子が2歳半になった頃から、旅行が「厄介」になってきました。
「以前の旅行では楽しんでいたことが、悪夢に変わったのです。
以前は大好きだったディズニーワールドでは、キャラクターや大きな音、人ごみを嫌がるようになりました」
6ヵ月後、息子は自閉症と診断されました。
米国疾病対策予防センターの2020年のデータによると、米国では36人に1人の子どもが自閉症であることが判明しています。
しかし、ティボーは家族旅行をあきらめたくありませんでした。
自閉症の子どもを持つ母親仲間がいる支援団体に連絡を取り、どうやって旅行しているのか聞いてみました。
「息子がパニックを起こしてしまうために、一緒にスーパーに行くことさえできません。
何がとても悲しかったかというと、親たちのほとんどが旅行はしないと言っていました。
家族旅行をしないんです」
発達障害のある人々のケアを支援する擁護団体、国際資格認定および継続教育基準委員会(IBCCES)の2019年の調査によれば、自閉症の子どもを持つ親のうち、家族で休暇を楽しむと答えた人はわずか13パーセントでした。
ティボーは決意しました。
「私たちは挑戦し続ける。これを解決する」
家族で小さなことから始め、息子を連れて日帰り旅行、そして週末旅行をしてから飛行機に乗りました。
「そのうちに、感覚の引き金になるもの、それを避ける方法、前もって計画を立てる方法、人前で感覚がおかしくなってしまったときの対処法など、多くのことを学びました」
3人の子をもつ母であるティボーは、15歳になった末っ子も見えない病気をかかえています。
ティボーは今、マジカル・ストーリーブック・トラベルという旅行代理店を経営し、自閉症の子がいる家族の旅行計画や準備をサポートしています。
「100万年経っても旅行できるとは思っていなかった家族が、それを乗り越えて子どもたちと素晴らしい思い出を作る手助けができるのは、とても意味のあることです。
自閉症の多くの子どもたちにとって、今まで行ったことのない新しい場所に行くということは、とても難しいことで、大きな不安を引き起こす可能性もあります」
アクセシブルトラベルの専門家であり、目に見えない障害を持つ4人の子どもの母親でもあるジェニファー・ハーディーはこう言います。
「家族は、子どもがパニックをを起こしてしまたっときに、落ち着かせることができる安心な環境がない状況を心配しています。
しかし、私の子どもたちは、社会規範や期待を理解するのに苦労することが多いのですが、旅行することで、新しい文化を理解し、柔軟性や自立のスキルを学び、新しい食べ物や新しい交通手段、新しい音楽を聴くなど、新しい経験をすることができます」
ハーディの末っ子が5歳の時、旅行先でローストダックが好きになったことにおどろきました。
「フライドポテトとピーナッツバターサンドの他は食べなかった息子です。
おどろきでした」
長年にわたり、旅行業界は目に見えない障害を持つ人たちを受け入れてきませんでした。
IBCCESの調査によると、自閉症の人がいる家族の97パーセントが、そうした家族のために今ある旅行プランは満足できるものでないと答え、93パーセントがそうした家族向けの旅行プランがあれば、もっと旅行に行きたいと答えています。
現在、旅行業界はより多くのクルーズライン、ホテル、テーマパーク、そして都市までもが自閉症に配慮した取り組みを行い、より包括的なものになってきました。
「自閉症の子どもは一人ひとり違います。
そのため、旅行に必要な計画や準備のレベルは、場所によっても違ってきます。
重要なのは、個々のニーズを満たすための最善の方法に焦点を当てながら、予想されることや混乱に対処する方法について事前に子どもが慣れることができるように、計画を調整することです」
著書をもつ専門家のドーン・バークレイはこう言います。
「どんな子どもでも、特に感覚過敏のある子どもには、決して旅行を強要してはいけません。
旅行について徐々に受け入れるようにしていき、必要に応じて調整します。
成功体験を持つことができれば、それが子どもにとってポジティブな支えとなります」
自閉症の子との旅行について、専門家からのアドバイスを紹介します。
- 旅のシチュエーションが描かれた絵本を読む。
- 旅行のさまざまな場面で予想されることを段階的に説明する「ソーシャルストーリー」でロールプレイをする。
- 動物園や新しい料理を出すレストランなど、楽しめそうで、新しい体験ができるところに行く。
- YouTubeで旅行先について予習する。
- 自分のベッド以外のベッドに泊まったことがない子どもは、他の家に住む家族などに頼んで、家族を一晩泊めてもらう。
- Wings for Autismが行っている飛行機の搭乗練習イベントなどに参加する。
- ホテルに電話することを恐れず、ロビーの人通りの少ない場所を希望するとか、どのような洗剤を使うかなど、特定のニーズを持つ自閉症の人と旅行していることを正直に伝える。
- 天候が悪い場合に備えて、屋内でできるアクティビティをいくつか考えておく。
- 家族が自炊できるように、キッチンや簡易キッチンのあるホテルやバケーションレンタルを予約することを検討する。
- 1日に4、5個のことを詰め込もうとするのではなく、1、2個のことをやって、残りの1日をプールでリラックスして過ごす。
(出典:米USA TODAY)(画像:Pixabay)
実際のところ、人混みを考えたりすると、やっぱり難しいです。
しかし、遠くに行けないのであれば、近場で歩いて、たくさん一緒に出かけようと思います。
(チャーリー)