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自閉症による音の高さや長さの変化の識別困難が社会性にも影響

time 2023/04/24

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症による音の高さや長さの変化の識別困難が社会性にも影響
  • 自閉症の人が音声への指向性が低いだけでなく、どのような聴覚処理の強みを持っているのか?
  • 自閉症の子どもたちは、韻律的特徴を理解する能力にどのような影響を受ける可能性があるのか?
  • 自閉症スペクトラムの人が大きな音に対して感受性が高くなることで、何が起こりえるのか?

自閉症の子の親から「この子の聴力はおかしいと思う」という言葉をよく聞きます。
これは、子どもの聴覚処理が非典型的であることの指摘といえます。
私も、息子が幼児の頃、自分の名前に反応しないことを心配する親族から、聴覚のチェックを何度も依頼されたことを思い出します。

研究により、自閉症の子は確かに、「音、特に音声への指向性」が低いことが確認されています。
しかし、自閉症の子は、聴覚処理に関連する多くの強みももっています。

私の9歳の子どもは、楽しい即興演奏を家族の楽しみの一つにしていますし、弟と一緒に作る簡単なメロディーを鼻歌で楽しむこともあります(音程は完璧です)。

自閉症の子の聴覚入力の処理には多くの強みがあり、その中でも重要なのは純音に対する優れた音程記憶であることが研究で確認されています。

自閉症の子は純音を識別し、記憶することに長けています。
しかし、この長所は音声一般にあるわけではありません。

たとえば、自閉症の青年について、音程識別は言語遅延の可能性が高いことと相関があることが研究で発見されています。

非言語音におけるピッチ識別の優位性と(一部の個人における)言語遅延の可能性の増加の関係は、発達中の「言語情報への注意力の低下」、または言語情報の処理に影響を与える音に対する過敏性によるものではないかと示唆されています。
実際、音の複雑さや認知的要求が増すにつれて、処理の課題や、聴覚連合野の血流低下や脳の単語処理に関連する領域(左中側頭回後方部)の活動低下などの対応する神経学的指標も増加していました。

さらに、多くの自閉症の子どもは、「蝸牛のレベルでの周波数選択性の低下」が原因と思われる背景音のフィルタリングの困難から、背景音に対して音を処理することが困難をかかえています。

聴覚処理のもう一つの要素として、音の高さや長さの変化、イントネーションなど、音声の韻律的特徴を識別することがあります。
韻律は、例えば、質問と命令を区別したり、皮肉を伝えたり、感情を表現する際に重要な役割を果たすなど、コミュニケーションや理解力に影響を与えます。

韻律特徴の理解に関する研究は、様々なタスクやデザインを用いる限られた研究であるため、まだ結論が出ていません。
しかし、自閉症の子どもは、感情を伝える韻律特徴や質問と発言を区別する韻律特徴を知覚しにくいことが示唆されています。

また、自閉症スペクトラムの人の中には、韻律的特徴の使用が減少し、「平坦な表情」を示す人がいます。
音色の変化が少なく、感情反応が平坦であることが特徴です。
これは、社会的コミュニケーションや仲間に受け入れられるかどうかという問題に関連している可能性があります。

自閉症の子どもたちの多くにとって、聴覚処理のもう一つの重要な課題は、大きな音に対する感受性の高まりです。
つまり、定型発達の子どもたちと比べて、大きな音に対する不快感の閾値が低くなっていることです。

これは、ショッピングセンターのような騒音に満ちた空間での不快感、トイレの水を流す音など予期せぬ音の侵入を嫌う、あるいは私の場合、5歳の子どもが私が話すのをやめ聞くことだけを要求する、などさまざまな形で現れることがあります。

これらの聴覚処理の違いは、処理困難を悪化させる疲労体験と関連し、学習、情報処理、ワーキングメモリに個々に影響を与える可能性があります。

2022年のスタロックの研究では、自閉症の人たちは、様々な文脈で非定型的な聴覚処理に対処するための戦略を数多くもっていました。
注意を集中するためのマインドフルの習得、読唇術などの視覚的補助手段の活用、背景雑音が少ない環境を意図的に選ぶ、耳栓を活用する、静かな場所に引きこもる、背景雑音が制御されているオンライン学習、そして、厳しい環境にいる場合には時間制限する、感覚を休ませるなどもありました。

自閉症は、聴覚を含む感覚入力の処理方法に個人差が大きい、異質な状態であることを知っておかなければなりません。

なお、聴覚処理の個人差やそれが対人コミュニケーションにどのような影響を与えるかについての認識や評価が、社会一般に知られていないと自閉症の人が感じていることも研究でわかっています。

私は、定型発達の人たちの社会的・学習的な期待に応えようとするだけでなく、背景音のフィルタリング、韻律的特徴の解釈、その他一日中の対応からくる疲労を理解した上で、感覚的休憩などの環境調整を考えながら子育てをしています。

(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay

聴覚過敏だけでなく、

「音の高さや長さの変化、イントネーションなど、音声の韻律的特徴を識別できない」

ために、

「質問と命令を区別したり、皮肉を伝えたり、感情を表現する際に重要な役割を果たすなど、コミュニケーションや理解力に影響」

につながることがあるのですね。

自閉症の方を誤解しないように、広く知られてほしいと思います。

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(チャーリー)


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