- 映像と音声のずれを認識する能力が自閉症の早期診断に役立つのか?
- この研究結果は早期治療にどのように貢献する可能性があるのか?
- 視聴覚テストが自閉症診断に革命をもたらす可能性は本当か?
米ラトガース大学の研究により、自閉症を早期に診断できる可能性があることが明らかになりました。
今後のさらなる研究で、音声と映像を一体のものと視聴できなかった乳児が自閉症スペクトラム障害 (ASD) を発症することが示されれば、医師は何年も前に自閉症を診断できる可能性があります。
早期診断による早期治療はより良い結果に強くつながります。この研究は重要なステップになるかもしれません。
ラトガーズ大学ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学小児科・精神科特別教授で、児童発達研究所の所長であるマイケル・ルイスはそう語っています。
今回の研究成果はEuropean Journal of Pediatrics誌に掲載されています。
ルイス教授らの研究チームは、ASDの子どもたちが音声と映像を一体の事象として認識することに苦労していることを以前より確認していました。
そして、この困難が、ASDの子どもたちの社会的障害や言語障害に寄与しているのではないかという仮説を持っていました。
今回の研究では、ASDと診断される前(一般に3歳前後)にこのような困難が生じるかどうかを調べるため、4~24カ月の乳児を、ASDのリスクが高いことを示す発達の遅れのある子どもたち、定型発達の子どもたちの2つのグループに分けました。
両グループの子どもたちに、画像と音声の時間間隔が徐々に長くなる2種類のビデオを見せました。
最初のビデオは、ボールが壁にぶつかって跳ね、音を出すというもの。
もう1つは、女性が話している映像です。
ボールの映像では、両グループは同じようなパフォーマンスを示しました。
しかし、女性の映像を見ると、大きな差が現れました。
発達の遅れのある子どもが音声と映像のずれを認識するには、平均して、定型発達の子どもが認識できる時間の10倍の時間のずれが必要でした。
この結果は、研究チームの最初の仮説を裏付けるものでした。
他にも驚くべき発見がありました。
音声と映像の不一致を知覚する能力は、語彙を持つに十分な年齢に達した子どもたちにおいて、語彙の大きさとは関連していませんでした。
今後の研究で、音声と映像の不一致を識別するのが最も遅かった子どもたちが、高い割合で自閉症と診断された場合、そして、この研究に参加した88人よりももっと多くの子どもたちが参加した研究でも同様な結果が現れれば、この視聴覚テストが革命的なものであることが証明されるかもしれません。
そう、自閉症の診断における革命的なツールになる可能性をルイスは述べています。
「早期診断によってASDがすぐに治るわけではありませんが、弱い部分を助け、強い部分に向かわせるサポートサービスを早期に提供できるようになります。
目標は、学校教育や最終的にはキャリアにおいて幸せにすることです。
それはほとんどの人にとって達成可能な目標であることは間違いありません」
映像と音声のずれがわかるか否か。
それだけで自閉症の診断ができるようになれば、たしかに幼児にも行えて、早期療育につなげられる画期的な方法になりますね。
さらなる研究を期待しています。
自閉症の子は人より「幾何学模様」を好む。米国立精神衛生研究所
(チャーリー)