- 自閉症の学生にとってキャンパス内の騒音はどのように対策できますか?
- 自閉症の学生にはどのようなサポートが提供されていますか?
- 静かな場所や支援が必要な自閉症の学生はどんなアプリやツールを利用できますか?
アイルランド・ダブリンシティ大学(DCU)は、自閉症の学生にキャンパス内の騒がしいホットスポットや静かなゾーンを知らせる屋内ナビゲーションアプリを試験的に導入する予定です。
これは、発達障害の学生にとってキャンパスをより使いやすいものにするための、同大学の取り組みです。
DCUが実施した調査によると、自閉症の人たちは、コミュニケーション、社会性、情報処理、生活スキル、ナビゲーションなどの分野でさらなるサポートを必要としており、キャンパス内の静かな空間や静かな時間帯へのアクセスも必要であることがわかりました。
世界初の自閉症フレンドリーな大学だという同大学は、まず2016年に、自閉症のスタッフや学生のニーズを満たすための一連の取り組みを開始しました。
キャンパス内のセンソリーポッドの設置、自閉症に優しいオープンデー、学生向けの自閉症ツールキットの開発などです。
DCU学長のデア・キーオは、この取り組みの第2段階として、自閉症のスタッフへのサポートの推進と、騒音レベルに反応する室内ナビゲーションアプリの試験運用を行うことを発表しました。
キャンパス内の主要な場所に騒音センサーを設置し、騒音量がマップに表示されるものとなります。
「自閉症にやさしい大学の取り組みは、大きな変化をもたらしました。
発達障害の学生だけでなく、全学生が違いと受容について理解するようになりました」
DCUのセント・パトリック・キャンパスで幼児教育を専攻する最終学年のマシュー・スミスは自閉症です。
大学の取り組みは本当にインパクトがあるものだと言います。
「私は、自閉症による困難に直面することがほとんどありません。
学ぶ上で自分の自閉症について考える必要がないのは、自閉症に優しい取り組みの証だと思います。
DCUは、自閉症のあり方に対して敵対的なこともある世界で、理解してくれているのだと思います」
DCUのプロジェクト第一段階の影響を調査した自閉症研究者のメアリー・ローズ・スウィーニー博士によれば、自閉症の学生の中には、学習環境や自閉症に特化したサポートに満足し、成長している人もいますが、そうでない人も多くいると言います。
「多くの学生が、圧倒され、孤独で、孤立し、落ち込み、学業のペースや仕事の量に課題を感じていると報告しています。
とくに、ストレス解消のための静かな空間やストレス対処法、また、勉強や講義、課題に関する計画や時間管理、整理整頓といった学業面でのサポートが必要であることが、調査により指摘されています」
スウィーニー博士は、この調査結果から、この大学の取り組みを知っている自閉症の学生は、それが自分たちの生活にプラスの影響を与えていると感じていることも示唆されたと言います。
「提供されている自閉症に特化したサービスやサポートの利用率はもっと高くなる可能性があります。
というのも、評価対象期間中は新型コロナが大きな制限要因になっていたためです。
このプロジェクトの第2フェーズでは、自閉症のスタッフをサポートするという新しい原則が追加されています」
現在DCUでは、約2万人の学生のうち、92人の学生が自閉症で登録されていますが、これは実際よりもかなり少ないと考えられています。
自閉症の人たちの支援団体であるAsIAmの最高責任者であるアダム・ハリスは、DCUの取り組みは、学生やアイルランド中の他の教育機関に多大な影響を与えると述べています。
「自閉症の人たちも、ただ他の人たちと同じチャンスを求めているのです」
(出典・画像:アイルランドTHE IRISH TIMES)
困っている人の負担を軽減する技術。
こうした技術の開発と利用はますます進んでほしいです。
(チャーリー)