- 他の人と異なる方法で周囲の世界を体験することにはどんなメリットがあるのか?
- 発達障害を持つ人々は、どんな強みを持っているのか?
- 職場でのニューロダイバーシティはなぜイノベーションを推進するのに適しているのか?
アレクサンダー・グラハム・ベル、ヘンリー・フォード、リチャード・ブランソンに共通することは何でしょうか?
彼らは歴史上最も偉大なイノベーターたちであり、全員がニューロダイバーシティ(神経多様性)の人なのです。
「ニューロダイバーシティ」とは、人はそれぞれの方法で周囲の世界を経験し、そして相互作用することで、人は大きなメリットを得られるという考え方です。
学習や行動に「正しい」方法は存在しません。
違うことをマイナスだとは考えません。
ニューロダイバーシティの人は、自閉症、ADHD、失読症、計算障害、トゥレット障害など、発達障害に関連していることが多くあります。
残念ながら、多くのニューロダイバーシティの人たちにとって、こうした異なる特性は労働市場では評価されていません。
英国家統計局によれば、自閉症の人で雇用されているは10人に2人です。
しかしニューロダイバーシティ、発達障害の人は、細部へのこだわり、集中力、パターン認識、データの偏差の発見、既成概念にとらわれない思考、会社に対する忠誠心などの強みを持ち、職場に大きな価値と可能性をもっています。
企業や組織は、ニューロダイバーシティ人材を積極的に採用するべきです。
そして、彼らが潜在能力を最大限に発揮し、職場の価値を高めることができるよう、彼らの強みを最適化する必要もあります。
グローバル・イノベーション・インデックスは、生産性の伸び(経済学者が生活水準を長期にわたって向上させることができるかどうかを評価するために使用する指標)が現在、過去最低水準にあると報告しています。
実際、イノベーションの指標とされるIPOの件数も、過去20年間で最悪の水準にあるとウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。
イノベーションと生産性が、世界的に大きく落ち込んでいる今、企業はニューロダイバーシティとそのような個人が職場にもたらす資質とイノベーションについて学ぶ必要があります。
たとえば、失読症のような一般的な神経学的差異は、多くのニューロダイバーシティの人が視覚学習者であることを意味します。
彼らは表計算ソフトや大量のテキストを扱うよりも、画像やビジュアルシンキングツールを使った方が、より簡単に情報を処理することができるのです。
視覚的思考は創造性を高めることが知られています。
デビッド・ヘイリーの研究によれば、脳が受け取る情報の70パーセントから90パーセントは視覚によるものです。
視覚は、ニューロダイバーシティの人たちが情報を処理する際に重要な役割を果たします。
そして、これらの人の多くが、創造性と視覚的思考においてユニークで、間違いなくより磨かれた才能を持っています。
既成概念にとらわれないアイデアや新しい問題への取り組み方が、「イノベーション」に火をつけるのです。
ニューロダイバーシティの社員は、職場でイノベーションを推進するのに最適な人となります。
彼らのユニークな情報解釈は、課題を別の視点から見ることを可能にし、革新的な事業を推進する上でとても強力な武器になるのです。
職場でのニューロダイバーシティがイノベーションを推進する。
企業にとってそれが重要なことであるのは明らかでしょう。
これまでの改善を超えた大きな進歩、革新、新たな価値の創造にはこれまでとは違った視点、発想が求められます。
それはもちろん日本でも。
むしろ、停滞している日本だからこそ、ますますそうした方たちの活躍、その機会を増やすことが必要に思います。
(チャーリー)