- 自閉症スペクトラムの子供が特定の活動に強くこだわることはどう捉えたら良いですか?
- 子供が特定の趣味に没頭することで、家庭や学校でどのようにサポートしたら良いですか?
- 子供が社会的な認知や称賛を得ることが、発達にどのような影響を与えるのでしょうか?
9歳のルーカス・ケーサーは、鉛筆の削られたばかりの芯に触れます。
「削って、触って、削って、触って」
ルーカスの日課です。
「毎日です」
そう、母親のアリソンは言います。
小学4年生のルーカスは、これまでに何本の鉛筆を削ったのでしょうか?
「少なくとも100万本はありますね」
そう、アリソンはいいます。
100万本?
「ええ、そうです」
ルーカスは4歳のときから、おじいさんの工房で鉛筆削りを始めました。
そして間もなく、ルーカスは自分用の鉛筆削りを手に入れました。
5歳の誕生日に祖父母からもらった手回し式の鉛筆削りを手に取ります。
「これが僕の最初の鉛筆削りです」
これがルーカスの最初の鉛筆削りとなりました。
自宅の下階にある作業台に、ルーカスは次々と鉛筆削りを置きました。
今では手動と電動、合わせて数十台の鉛筆削りが作業台を占拠しています。
「電源タップも、もういっぱい」
そうルーカスは言いながら、鉛筆削りのプラグを抜き差しします。
後ろの棚には、ルーカスがこれ以上鉛筆削りのモーターを壊さないよう、鉛筆削りを休ませるようにと両親が買ってくれたタイマーも置かれています。
「いつも言っているんです。
義務ではないのだからと」
そうアリソンは笑います。
「4歳のとき、息子のルーカスは自閉症スペクトラムと診断されました。
ルーカスは鉛筆と鉛筆削りにこだわりを持っています」
ルーカスの母親のアリソンが、鉛筆でいっぱいの本棚を指差します。
何万本もの鉛筆が箱や収納箱に整然と並んでいます。
ルーカスのFacebookには、フォロワーが3000人近くいて、鉛筆のほとんどはフォロワーから寄付されたものです。
「ルーカスはその2つの鉛筆の箱を12時間で使い切ります」
ルーカスは小学校でもそうです。
ルーカスの特別支援教育担当のドナ・マコスキー先生は、ルーカスの鉛筆削りについてこういいます。
「私がお願いしたら、一日中やっています」
マコスキー先生は、ルーカスはときどき多動になってしまうといいます。
小さなテーブルで鉛筆を削るルーカスに、マコスキー先生が「これがどう役に立つの?」と尋ねるとルーカスは答えました。
「集中力を取り戻せます」
マコスキー先生はこう言います。
「5分間鉛筆を削ると、また集中できるようになるんです。
そして勉強に取り組みます」
しかし、ルーカスの鉛筆削りは自分のためだけではありません。
小学校の各教室に、芯がとがった鉛筆を提供しています。
自分の通う小学校だけでなく、他の2つの小学校にも。
先日、ルーカスが手渡したとき、3年生のロブ・スコット先生はルーカスの仕事ぶりを賞賛してくれました。
クラスの全員もこう言いました。
「ありがとう、ルーカス」
ルーカスが顔をほころばせました。
さらに感謝の言葉が届いています。
「ルーカス、鉛筆削りの技術を教えてくれてありがとう」
鉛筆を贈ってくれた人、ルーカスが削った鉛筆を受けとった人の両方から、ルーカスに多くの手紙が届いています。
母親のアリソンは手紙を見て泣きそうだと言います。
「鉛筆を削るのが好きなことをみんなは理解できないけれど、それでも息子という人間を受け入れてくれる。
本当にうれしいことです」
ルーカスの両親は、ルーカスが鉛筆削りで作る大量の削りかすの使い道も思いつきました。
ルーカスが鉛筆削りで作った大量の削りかすを、ワックスと混ぜて着火剤にしたのです。
「これを配っています。
自閉症への認識を広めたいと思っています」
学校から帰ってくると、ルーカスは数々の鉛筆削りを使い、音のシンフォニーを奏でます。
ルーカスの両親は、大切なものを聞き、見ています。
「鉛筆を削ることが息子のためになるなら、私たちは応援します」
(出典・画像:米KARE11)
見つけた大好きなことを応援する。
素晴らしいです。
さらに、鉛筆削りを超えた他の何かにつながっていったら最高ですね。
火災警報器が大好きな発達障害の少年に大きな笑顔をくれた出来事
(チャーリー)