- 自閉症の人は痛みを感じにくいですか?
- 自閉症の人が痛みを感じる場合、どう対応すればよいですか?
- 自閉症の人たちはどのようにして痛みを伝えるのでしょうか?
自閉症の人はより痛みを感じる。
この研究結果が国際疼痛学会の公式誌で発表されました。
この研究を行った、イスラエル・ハイファ大学のアイリット・ウェイズマン=フォーゲル教授の研究チームはこう述べています。
「痛みの感受性が高まっていることを示すこの証拠は、自閉症の人は痛みを感じにくいという通説を変えるものです」
この研究結果は、自閉症の人の痛みに対する効果的な治療に影響を与える可能性があることを強調するものであると研究チームは考えています。
この研究は自閉症の人たちが痛みに対して鈍感であるという「一般的な仮定」を検証することを目的としました。
自閉症の人は痛みや温度に対して「外見上では無関心」であると考えられてきたためです。
しかし、これまでのほとんどの研究では、自閉症の人の痛みに対する感受性の違いは示されていませんでした。
ウェイズマン=フォーゲル教授らは、成人104名(うち52名が自閉症)の痛み知覚について、綿密な検査を行行いました。
この参加者数は、自閉症における痛みの心理を検証したものとしては、これまでで最大のものです。
2つのグループは、簡単な認知テストでは同じようなスコアでしたが、自閉症の人たちは精神科治療薬の使用頻度が高く、不安感が強いと評価されました。
また、痛みと日常的な環境刺激(匂い、騒音、光など)に対する感受性が高いことが分かりました。
定量的な感覚検査では、熱と痛みの検出閾値に自閉症の人とそうでない人との間に差はありませんでした。
これは、自閉症の人について末梢神経系が正常に機能していることを示唆しています。
しかし、自閉症の人たちは、わずかな痛みの刺激に対しても、常に高い痛みだと反応しました。
また自閉症の人たちは、短い痛みの刺激はうまく抑制できるものの、長く続く痛みの刺激はうまく抑制できないこともわかりました。
そのため、自閉症の人が日常生活で長く続く痛みを経験することは、慢性疼痛を発症する可能性があります。
これは重要なことです。
これらの知見を総合すると、痛いと感じる働きが強く、継続的な痛みを抑制する働きが弱いように考えられます。
これは、自閉症スペクトラム障害の根本的なメカニズムとして知られている興奮と抑制に関する不均衡の理論と一致します。
自閉症の人の痛みへの反応では無視されてきたものです。
今回の研究は、自閉症の人は痛みをあまり感じないという認識に疑問を投げかけ、むしろ、より痛みを感じる可能性があることを示唆します。
「このような誤った解釈は、診断の遅れや治療不良を招き、苦しみや自閉症の症状を悪化させます」
ウェイズマン=フォーゲル教授はこれまでの認識は、自閉症の人の慢性疼痛疾患を発症するリスクを高める可能性があるとしています。
今回の研究は、基本的に認知機能が正常な自閉症の人たちに焦点を当てたものですが、こう述べています。
「これらの結果は、認知機能や言語コミュニケーションに障害があり、痛みを伝える能力がない自閉症の人たちにも当てはまる可能性があります」
そして、こう結論付けています。
「これらの知見は、医師、親、介護者の自閉症における痛み現象に対する意識を高め、自閉症の人とその家族の幸福と生活の質を向上させるための早期かつ効果的な治療につながるかもしれません」
(出典:英NEWS MEDICAL LIFE SCIENCES)(画像:Pixabay)
うちの子は話すことができないので、実際のところ本人はどう感じているのかわかりませんが、
・注射をしても何一つ表情は変わらない、注射を嫌がることもない
・ちょっと気になるところがあると掻きだして、すごい出血していても、かまわずずっと掻き続ける
などを見てきて、うちの子については痛みに「鈍感」だと認識しています。
(2歳くらいのときに、雪玉を作って渡すと指が動かなくなっても、表情一つ変えずずっと持ち続けていたこともよく憶えています)
なので、「痛みには鈍感」という認識でずっと注意をしてきました。
自閉症の人でもさまざまなのではないかと私は思っています。
(チャーリー)