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母親の妊娠中の感染は、子どもの自閉症の原因ではない。研究

time 2022/10/11

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

母親の妊娠中の感染は、子どもの自閉症の原因ではない。研究
  • 妊娠中の感染症が子どもの自閉症との関連性はあるのか?
  • 母親の感染症が自閉症や知的障害の原因となるのか?
  • 妊娠中の感染症と自閉症や知的障害との因果関係はあるのか?

妊娠中の感染症と自閉症との関係について、母親が感染症にかかりやすいという理由だけで、自閉症の子を持つことと関連する可能性があることが、新しい研究で明らかになりました。

「妊娠中の一般的な感染症は、子どもの自閉症のリスクを増加させることはないようです。
母親の感染症を予防しても、子どもの自閉症には関係しない可能性が高いでしょう」

そう、この研究を行ったスウェーデンのカロリンスカ研究所のマーティン・ブリンジ精神科医は言います。

これまでの多くの研究が、妊娠中の母親の感染と、子どもの自閉症や知的障害との関連を伝えています。
しかし、妊娠中の母親の感染が、子どもの自閉症や知的障害の原因となっているのかは、まだ不明です。

たとえば、自閉症と知的障害は、免疫系に影響を及ぼす可能性のある遺伝子変異と関連しているために、そうした子どもの母親は、深刻な感染症にかかりやすくなっているのかもしれません。

今回の研究では、1987年から2010年の間に生まれたストックホルム郡在住の549967人(うち女の子は267995人)のデータを分析しました。
スウェーデンの全国患者登録と全国医学出生登録のデータから、このうち約34000人が、その母親が専門医の治療を要する感染症にかかっていたことがわかりました。

母親が感染症にかかっていた子どものうち、3.3パーセントが自閉症でした。
そうでない母親の子どもでは、2.5パーセントでした。
つまり比較すると、感染症にかかった母親の子どもは16パーセントも自閉症になる確率が高くなっていました。

しかし、妊娠前年に母親が感染症にかかっていた場合でも、子どもが自閉症となる確率は25パーセント高くなっていました。

「妊娠中に感染症にかかった母親と、妊娠中に感染症にかかっていない母親とでの比較は意味はないのかもしれません。
母親にグループレベルでの系統的な違いがあるのかもしれません」

さらに自閉症などでない兄弟姉妹をもつ394093人について調べた結果、ブリンジはこう言います。

「母親の感染症にかかっていた兄弟姉妹は、母親が感染症にかかっていなかった子どもと比較して、自閉症のリスクが高くなってはいませんでした」

実際、妊娠中に感染症にかかった母親の子どもは、自閉症の兄弟姉妹がいる子どもが自閉症をもつ確率より6パーセント低くなっていました。

この研究結果は、The Lancet Psychiatry誌のオンライン版に掲載されています。

研究を行ったブリンジはこう言います。

「妊娠中の母親の感染は、自閉症と関連するかもしれませんが、おそらく因果関係はないでしょう。
私たちの発見は、母親の感染が自閉症を引き起こすという確立された見解とは異なります。

自閉症の子の母親は、妊娠期間だけでなく、一般的に感染症にかかる傾向が高いのです。
つまり、これらの母親の感染症感受性を高める未知の要因(遺伝的、環境的、またはその組み合わせ)が存在するようです」

一方で、妊娠中の母親の感染と知的障害との因果関係は否定することはできませんでした。
対照群と比較して、妊娠中に感染した女性は、知的障害を持つ子どもを持つ可能性が37パーセント高くなっていました。
一方で、妊娠前年の感染は、同じ結果の可能性を9パーセント高めるだけでした。

しかし、今回の研究結果は、稀な感染症や、今回のような専門的な医療を必要としない比較的軽い感染症が、自閉症や知的障害の原因となる可能性を排除するものではない、と科学者たちは警告しています。
たとえば、これまでの研究で、風疹、ジカ熱、サイトメガロウイルスなどの稀な感染症は知的障害の可能性を高めると結論づけられています。
米ブラウン大学疫学のスティーブン・ブカ教授はこう言います。

「感染予防は、特定のサブグループ、特に自閉症の遺伝的リスクのある人たちには有効である可能性が非常に高いのです」

この研究に関与していない、デンマークのコペンハーゲン大学教授で生物学的精密精神医学の研究責任者であるマイケル・ベンロスは、これまでの研究で、中枢神経系と反応する母親の抗体が、子どもが知的障害を持つ可能性を高めることを発見しています。

「妊娠中のさまざまな時期の母体における特定の感染症や中枢神経系反応性抗体と、自閉症や知的障害との関連性を調べるには、大規模な研究が必要です」

将来的には、今回の研究を行ったブリンジの研究チームは、今回の研究がパンデミック前に行われたことから、新型コロナの潜在的影響について調べたいと考えています。

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

妊娠中の感染と子どもの自閉症についての関連についての研究はこれまでにいくつか見ました。

しかし、

(原因:)母親の妊娠中の感染

(結果:)子どもの自閉症

ではない。

というのが今回の研究結果です。

今回の研究結果から示唆されるのは、

 

(原因に見えたもの:)妊娠中の感染や妊娠前年の感染

(交絡因子:)母親の何かしらの特性

(結果に見えたもの:)子どもの自閉症

 

ではないか。

ということです。

さらなる研究が望まれます。

自閉症の原因と考えられること。米コロンビア大の自閉症研究

(チャーリー)


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