- 1. 自閉症の子供にとって、バーチャルリアリティ(VR)はどのように役立つのでしょうか?
- 2. 自閉症児向けのVRレッスンには、どのような種類のシチュエーションがありますか?
- 3. フロレオのVRシステムは、どのようにして利用者に社会的スキルを教えるのですか?
ヴィジェイ・ラヴィンドランは、常にテクノロジーに関わってきました。
アマゾンでは、アマゾン・プライムを構築し、スタートさせたチームを監督していました。
その後、ワシントン・ポスト紙にデジタル最高責任者として入社し、同社をジェフ・ベゾスにを売却する際にアドバイスをしました。
しかし、彼の最大の関心事は、当時6歳の自閉症の息子のことでした。
「驚くべきことが起こったんです」
ラヴィンドランがバーチャルリアリティヘッドセットを使っていたところ、息子が試してみたいと言い出しました。
Googleストリートビューで30分ほどヘッドセットを使った後、子どもはバーチャルリアリティの中でやったことを演じ始めました。
「息子があんなに楽しそうに遊ぶのを見たのは初めてでした。
それで、ひらめいたのです」
多くの自閉症の子がそうであるように、ラヴィンドランの息子も、ごっこ遊びやその他の社会的スキルに苦労していました。
1年後、ラヴィンドランは「フロレオ」という会社を立ち上げ、行動療法士、言語療法士、特別支援教育者、そして自閉症児に関わる親たちを支援するために設計されたバーチャルリアリティのレッスンの開発を始めました。
フロレオのシステムには、iPad、iPhoneと、ローエンドのモデルで15ドルから30ドル程度のVRヘッドセットを利用します。
費用は1カ月あたりおよそ50ドル。
フロレオは現在、保険適用を可能にするために取り組んでおり、米国の4つの州で認可を受けています。
子どもはヘッドセットを装着してバーチャルリアリティのレッスンを受け、コーチ(親、教師、セラピスト、カウンセラー、個人的な補助者など)はiPadを通じて子どもをモニタし、対話します。
レッスンは、水族館やスーパーへの買い物など、さまざまなシチュエーションを想定しています。
その多くは、非言語的な合図を解釈するのに苦労する自閉症の子どもたちに、ボディランゲージを解釈することを教える内容になっています。
2017年、フロレオは米国立衛生研究所から200万ドルの助成金を獲得しました。
まず、自閉症の子どもがヘッドセットを利用できるかどうかをテストし、その後、自閉症の人が警察と対話する際にこの方法が有用かどうかを検証する無作為化対照試験を行い、その結果は有望なものでした。
ラヴィンドランがAutism Research誌に発表した研究によれば、98パーセントの子どもがレッスンを完了し、感覚過敏のある自閉症の子はヘッドセットに抵抗感を持つという懸念を払拭することができました。
自閉症の人たちを支援する団体のゾー・グロスは、横断歩道のレッスンのように、不慣れな状況をリハーサルするのに役立つバーチャルリアリティレッスンには可能性を感じていると述べています。
「フロレオのレッスンには、空港でのウォークスルーや、トリック・オア・トリートなど、日常生活ではあまり起こらないような社会的なストーリーがあります」
しかしグロスは、行動療法業界が、自閉症の人々に社会的スキルを教えるために新しい技術を利用することを一般的に強調していることに疑問を呈しています。
しかし、ラヴィンドランがこのプロジェクトに全面的に参加することを決意したのは、初期時点で成功があったからです。
「本当にたくさんの人が喜んでくれたんです。
私たちが開発したものを家族に見せると、みんな私を抱きしめてくれたんです。
自分の子どものために、こんなハイテクな解決策を考えてくれている人がいるんだ、と泣き出す方もいました」
フロレオのシステムを使用した臨床医は、感覚刺激に圧倒されるかもしれない現実世界とは異なり、仮想現実環境は、子どもがレッスンに集中しやすくなると言っています。
米ニュージャージー州にある自閉症と関連疾患を持つ子どもたちのための非営利私立学校、セレブレート・ザ・チルドレンでは、このシステムを継続的に使用しています。
バーチャル・ヘッドセットを装着すると、頭のわずかな動きで環境をコントロールできるため、生徒たちは非常に大きな力を得ることができた。
そう、同校の共同設立者でエグゼクティブディレクターのモニカ・オスグッドは言います。
「バーチャルリアリティは、私たちはこれからも使い続けていきます。
生徒に本当に役に立つからです」
米オハイオ州カイヤホガ郡発達障害者委員会の特別指導マネージャーであるケリー・レイニーは、過去1年間にフロレオを使用して、生徒の生活スキルや社会的スキルが向上したと述べています。
彼女の同僚で幼児教育の専門家であるホリー・ウィンタースタインは、セラピストが通常使用する会話カードよりもこのツールの方が効果的だと述べています。
当初は2台のヘッドセットでスタートしましたが、すぐに8人のスタッフ全員分の機器を購入しました。
「フロレオで学んだソーシャルスキルは、定着しています。
私がこれまで扱った中で、おそらく最高、あるいは最良のソーシャルスキルツールの一つです」
そう、言語病理学者でフロレオの顧客であるミーチャ・ラーマンもそう言います。
現在までに、同社はおよそ600万ドルを調達しています。
投資家には、ヘルスケア・ソフトウェアに特化したベンチャーキャピタルや神経疾患に取り組む企業に投資する初期段階のベンチャーキャピタルファンドが含まれています。
ラヴィンドランは、同社が利益を上げているかどうかについては明言を避けました。
ラヴィンドランにとって、この会社は使命のようなものでしょう。
「療育法としてのバーチャルリアリティを探求し始めたとき、趣味のプロジェクト的に少しばかりの資金を投入して人を雇い始めました。
儲かるビジネスになるのかはわかりません。
しかし、私がしなければならないと思ったんです」
(出典・画像:米The Seattle Times)
すごく共感するところがあります。
(チャーリー)