- 乗馬療法に代わる方法として、機械式馬シミュレーターは効果があるのか?
- 自閉症スペクトラム障害の子どもたちが、ミラコルトを利用することでどのような改善が見られるのか?
- 研究チームは行動評価を通じて、どのような成果を得ることを目指しているのか?
研究者と技術者からなる学際的なチームが、自閉症の子どもに役立つ機械式馬シミュレーターの有効性を研究しています。
このチームには、米ベイラー大学の機械工学准教授のブライアン・ガーナー博士、教育心理学臨床教授のジュリー・アイビー博士らが参加しています。
乗馬療法は、馬の歩行の動きを利用して股関節の安定性を高め、動作の改善に重点を置いた療法の一種です。
しかし、季節的、身体的、経済的な理由で、子どもたちの乗馬療法が制限されることがあります。
このため、ガーナー博士は乗馬のリズムと動きを模倣する装置「ミラコルト」を発明しました。
助成金を受け取ってから、チームは研究を開始し、現在も参加者を受け入れているとアイヴィー博士は言います。
参加者は、自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断され、運動障害もかかえている6歳から12歳の子どもです。
「それ以下の年齢で参加させた場合、おそらく我々の要求することはできないでしょう。
馬の上でじっとしていられないかもしれません。
馬に乗っている間、脳の活動を助けるためのアクティビティをさせるんです。
パズルやボールをかごに入れる、などです。
馬に乗りながら、言語や運動を含むさまざまなアクティビティを行います」
アイヴィー博士は自分の役割についてこう言います。
「治療が効果的であったかどうかを確認するために、プロジェクトの前、途中、終了時に行動評価を行うことを担当しています。
自閉症に関連する多くの行動的な事柄が改善されているかどうかを調べています」
アイヴィー博士はこの研究で、自閉症の子どもたちが課題を抱える傾向にある、言語、バランス、運動協調、注意、社会的相互作用に改善が見られることを期待しています。
ガーナー博士は、このミラコルトが多くの人の人生を変えるものになることを期待しています。
ある家族が、脳性まひの青年のためにミラコルトを自宅に置いたことがその例です。
「26歳の青年が初めて自力でトイレに行くことができるようになったのです。
私たちが当たり前のように行っていることが、障がい者にとっては大変なことなのです。
このような人たちが困難を克服し、向上するのを助けることができれば、生活の質にかなりのプラスの影響を与えることができます」
機械シミュレーターのミラコルトは馬の動きを模倣しており、自閉症の子どもたちにとっては、これが癒しになるといいます。
「自閉症の子どもたちは、感覚に問題があったり、姿勢を保つことが難しいのです。
馬に乗ることで、彼らは安定したと感じます。
心も落ち着いて、大好きになります」
ガーナー博士は、ミラコルトをユニークなプロジェクトとして研究室に眠らせておきたくありませんでした。
「オーストラリアやカタールなどで、すでに販売されています。
これは本当に嬉しいことです。
研究室での長年の苦労を振り返ってみると、そのことがよくわかります。
なぜ、私はこんなことをやっているのだろうと思うこともよくありました。
その理由は、人々の生活に影響を与えることができるものだからです。
だから、やる価値があったのです」
研究はまだ途中であるため、最終的な結果はまだ出ていません。
「予備的な結果やテーマとしては、多動や不安の軽減、総運動能力の向上、表現言語の向上、いくつかの感情反応の改善などが見られます」
そう、アイヴィー博士は述べています。
(出典:米BAYLOR LARIAT)(画像:Chariot Innovations)
お馬さんに乗ることは、そう手軽ではないでしょう。
発達障害の子にお馬さんがいいことはこれまでに多くの情報があります。
機械で代替できることは限られると思いますが、期待したいところですね。
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(チャーリー)